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第九話 アークロザリオの涙 その2

次回もよろしくお願いします。ー

 3人はトレントの森へと向かう道を歩いていた。

 整備されている歩きやすい道で、街の門から森の入り口まである。

 ここから5分ほど歩くと森に入っていく。


 森に入って20分ほど歩けばアークロザリオの生息域らしい。

 何やら必ずいるスポットがあるらしいのだが、そこにいる個体は他のより以上に硬く、k以上でしか殺せないと言われていらしい。

 

 「んで、なんでそんな個体のいるところに行くんだ?」


 「進の疑問は最もね。でも、斬りたいと思わない? そのkカップ級以上でしか斬れない奴を」

 リーゼがこちらを見て、自信満々に言ってくる。

 そんなに斬りたいんですか。


 「ああ。分かったよ」


 「私の双短剣(あいぼう)じゃあ、ちょっと厳しいかなー」

 ライカが鐔に紅く輝く双短剣(ツインダガー)を取り出して呟く。


 「まぁそいつでも技術を磨けばいけるんじゃないか? それにライカはエルフだろ? 魔力で強化すれば斬れるようになると思うぞ」


 「ん? 私がエルフだなんて言ったっけ?」


 あ。やっちまった。


 「いや、実は昨日温泉で聞こえてな」


 「あ! まさか聞いてたの! てことはリーゼの胸の話しも?」

 するとリーゼから鋭く冷たい視線が進を刺した。


 「貴様……斬る」


 「いやいや、ちょっと待ってくださいお願いします! 別に聞こうと思ってた訳じゃなくてたまたま聞こえちゃったというか……とにかく不可抗力なんだよ!」


 「ほう、あくまで不可抗力と?」


 「は、はい。その通りです」

 こ、怖い……


 「まぁ、いいわ。次はないから」

 冷ややかな声で言われる。


 「はい」


 「さ、もうすぐアークロザリオの居場所につくわよ」

 鬱蒼としているが、どこか神秘的な森の中に一本の大きな木が立っていた。

 そしてそのふもとに、アークロザリオはいた。


 「あいつがアークロザリオか」

 それは、4メートルほどの横幅をもつ四肢型の魔物であった。

 鱗があり、おそらくあれが防御力の強さだろう。


 「うう、やっぱり嫌になってきたよ」

 ライカが何やら怖がっている。


 「ライカ、ビビってるのか?」


 「いやだってあいつ……」

 するとアークロザリオが木の影から様子を見ていた俺たちに気づいたようだ。



 「さ、いくぞ」

 進の合図で一気にアークロザリオへ距離を詰める。


 そこでリーゼがアークロザリオに斬りかかる。

 「風操術剣(マニピュレイトソード)!」


 風を操り剣に纏い、斬りかかる。


 アークロザリオは一歩も動かず頭を下げて防御する。


 「クッ、硬い……」


 リーゼの一撃は突き刺さるも、致命傷には至らない。

 アークロザリオは自身の再生能力により回復する。


 「やっかいな能力を持ってるな」

 アークロザリオが反撃してくる様子はない。


 「反撃してこないのか? なら俺からいくぞ!」

 進がアークロザリオへと突き進む。


 「闇炎剣(オプスクーリタース)!」

 進の剣がアークロザリオを斬る。

 しかし進の剣もアークロザリオの防御力に阻まれる。

 リーゼよりも威力は格段に高いのだが技術はライカよりも低いため、アークロザリオには致命傷を与えられなかったのだ。


 「マジかよ。硬すぎだろ……」

 斬りつけた両手が痺れる。


 「なら、ライカ! ターゲットを頼む!」


 「了解! 標的(ターゲット)!」


 「よし、アークロザリオ。これならどうだ!」

 アークロザリオは反撃をするでもなくなぜか頬を赤らめている


 「き、気持ち悪いな……まさか……マゾ……か? ま、まぁいい。連闇ノ舞(ナイトダンス)!」

 闇の魔力を纏った剣で繰り出す3連撃技がアークロザリオを斬り刻む。


 「グ、キュイイイイン」


 「へ?」

 確かに致命傷となる攻撃だった。

 そして、アークロザリオは死にかけている。


 なのに何故か、その攻撃に対して頬を赤らめている。


 「うっわー」

 思わず気持ち悪いと思ってしまう。


 「だからやだって言ったんだよぉ」

 ライカがぼやいている。


 「だから一歩も動かずに戦っていたのか」

 アークロザリオが息絶える瞬間。


 「あ、あれって」

 リーゼが指を指して言う。


 「涙か!」

 進は急いでアークロザリオに駆け寄る。

 そして空気に触れないよう亜空間収納に涙をしまう。


 「よし。ついでに涙をゲットだな」


 「これをトレントに渡すのだったわね」

 しかし、トレントが現れる様子はない。


 「うーん。やっぱりただの噂だったのかなぁ」

 ライカが残念そうに呟く。


 「ん? あのアークロザリオの後ろにあるのって、扉?」


 アークロザリオの後ろに立っている木にはなんと扉があった。

 

 「こんなの、前は無かったよ?」

 ライカが不思議そうに扉を見る。


 「てことは、この涙を手に入れることが鍵ってことじゃないのか?」


 「それが妥当な考えだな」

 リーゼも納得したようだ。


 「んじゃあまあ、行ってみるしかないよな。もしかしたらトレントにも会えるかも知れないしな」

 この涙が鍵だと言うなら、関係はあるだろう。


 「ええ、そうね」


 「ワクワクするよーなにお願いする?」

 ライカがとびっきりの笑顔を見せている。


 「うーん。まぁ行って考えよう」


 そして3人は扉を開く。

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