転生してるー!
「赤ちゃんのほっぺ……。」
そう呟いた声で目を覚ました。
そしてまた目をつぶること3秒…。
カッ!っと目を開き、勢い良く起き上がり、
両手を上げて叫んだ。
「すっっっきりーーーー!」
思い出した!完璧に思い出したわコレッ!
私、異世界に転生してるーーーー!
幼少の頃から何度か夢で見ていた。
お父さんやお母さんらしき人たちとの暮らし。
夜でもキラキラしてる街。
そして頻繁に出てくるのは白くて丸い鳥。
前世の私はよほどその鳥が好きだったのか、やたら出てきた。
撫でたり、指で追いかけっこさせたり、追いかけすぎて噛まれたり、被ってる帽子に鳥を忍ばせて旅行に行って怒られたり……
ってこの思い出わざわざ事前に見せる必要ある!?
まぁ、そんな感じの日々の何気ない場面が多かったかな?
いつも途切れ途切れだったし、何だか分からない場面も多かったけど、夢のわりには他の夢みたいに起きてからしばらくすると忘れたりもしないし、モヤモヤした気持ちだけがずっと溜まっていた。
しかし、今朝の夢は今までの途切れ途切れな夢とは全く違っていて、神田美香 ダイジェスト!みたいに物心ついた頃から亡くなるまでを一気に見たのだった。
今まで『なんなんだろ~?』と10年近く続いていたモヤモヤがすべて晴れて、とてつもなく清々しい気持ちでいっぱいになり思わず叫んでしまったのだった。
そして、その勢いのまま鏡の前に立って自分の姿を見た瞬間、ビビッと背中に電気が走った!
何!?この美少女はっ!
今までの記憶はある。全然ある。
自分の顔も何千回と見てきたし、今までは自分の顔について特別何とも思ったことはなかった。
しかし、前世を思い出したら感覚が美香のものと入れ替わり、リセットされてしまった様だ。
今の自分の顔立ちはまさに前世の美香の超ドストライクであった。
銀色に輝くシルバーブロンドの髪は寝起きにも関わらずまっすぐサラサラで、そっと触れてみればシルクのような手触りに撫でる手が止まらない。
「可愛いは正義…。」
思わずそう呟いていた。
白く透き通るような肌、薄桃色のチークを塗っているかのような頬、濡れたような赤い唇なんてほんとに美味しそう!
そして何より子供特有のプクプク頬っぺ!
齧りたいーー!
あぁ、齧りたいーー!
口を右に寄せてみたけど、ひょっとこみたいになるだけだった。
しかも可愛い。
普通ひょっとこになったら変顔になるよね?
ただ可愛いだけって凄くない?
ーーーところで、自分の頬っぺたってどうやったら齧れるの?
そんなアホなことを考えながら、懲りずに舌を伸ばしていると、部屋のドアがノックされ扉が開いた。
「失礼いたします!アリスお嬢様の声が聞こえましたが、いかがなさいましたか?」
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アリス「やっと名前出てきたけど、どういうつもり?」
詩音「次はちゃんと紹介しますので!」
アリス「タイトルの王子さまっていつ登場するのよっ!」
詩音「…なるはやで…頑張ります。」