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プロローグ~神田 美香~

私は神田 美香(かんだ みか) 16歳。

都内の公立高校に通ういたって普通の高校生。

そう、いたって普通の。


ーー 2回繰り返す辺り普通でないと薄々は自覚している美香。


いや、普通ですよ。

見た目もどこにでもいる感じのまさにモブ中のモブって感じの見た目だし。

結構な確率で友達の友達に似てる~!って言われる感じ?

『そうなんだ~。(苦笑い)』しか返しようもないんだけど。

成績も中の中、強いて言えば絵を描くのは好きかな!

あとは視力が良い!

視力検査のCが結構小さいとこまで見える。

食べることも好きだな~!

ってそれは特技じゃないか。


あとは…まぁ…

ちょっと可愛い物とか人とか動物とかに興味がある事くらいかな。

ちょっとよ!ちょっと!!


うちで飼ってる真っ白なセキセイインコのダイフクちゃん。白くて丸いフォルムから#ダイフク__大福__#と名付けたその日からそのワガママボディーと愛らしい仕草にメロメロなのッ❤️

って言ってもダイフクの顔をすりすりしたり、ハムハムしたり、ぱくっとしたりするくらいよ?

あのすりすりした時に香る芳ばしさが堪らないのよね~!(うっとり)


ーーおいおい、何だよぱくって。


えっ、だからダイフクの顔を


ってさっきから誰と会話してるのかな私は。

そんな事より早く帰ってダイフクにすりすりハムハムしなくっちゃーーー!

と足早に学校を後にした美香だった。



『あっ!あの赤ちゃんかぅわいぃぃ~!』

信号待ちをしていた美香は向かいにいる母子のベビーカーに乗った赤ちゃんのあまりの可愛らしさに思わずガン見していた。


『何で赤ちゃんの頬っぺたってあんなにプクプクしてて可愛いんだろ~!あ~ハムハムしたいっ!(じゅるりっ)』


となんともアホなことを考えながら自慢の視力を遺憾なく発揮していると、信号が青に変わった。


『すれ違うときにあのプクプクを目に焼き付けておかなくちゃ!』とまたまたアホなことを考えながら横断歩道を渡っていると



キキーーーーーーーーーーーーッ


耳つんざくようなブレーキ音


美香の右手から勢い良くバイクが近づくーーーーーー



反射的に母子を突き飛ばした美香だが、そのすぐ後ドンッという衝撃音と共に美香の体は宙を舞った


『あぁ、私死んじゃうんだな』


それは何故か確信めいた感覚だった。


そして生まれてから今日までの自分の人生が頭の中を駆け巡っていく。

その後半はほとんどダイフクとの思い出。


『ダイフクぅー。今まで素敵な思い出をありがとう!頭から丸かじりしても大人しくしてくれてほんとにありがとねっ!お母さんとお父さんに可愛がってもらうんだよぉー。』


ーースローモーションのように地面に向かって落ちていく


『あのお母さんと赤ちゃん大丈夫だったかな?最後に赤ちゃんの頬っぺたハムハムしたかった ーーーー 』


その思いを最後に美香の意識は途切れた


享年16歳。

最後の最後まで残念女子であったが、母子を守れた事だけが救いである。


この物語は

そんな残念女子が転生し、フェチズムを抱えながらも真っ直ぐに

そう、ただただ真っ直ぐに突き進んで行く物語である。

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