表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でTSしてメイドやってます  作者: 唯乃なない
第3章 元の世界に帰れる方法?
87/216

ただいまアルフォンス

 マリーと別れてから、アルフォンスに挨拶するために書斎の扉の前に来た。

 ノックして部屋に入る。


 男はいつものように書斎机に座ったまま、なんだかぼーっとしていた。

 どうも今日は暇な日だったらしい。


 男は俺の顔を見て、驚いた顔をした。


「アリス、もう戻ってきたのか!?」


「え……いけませんでした?」


 怪訝な顔で聞き返した。


「そういうわけじゃ無いが……リラックスできたか?」


 と、男がソファを指さす。


 ソファに座れって事?

 気が進まないなぁ……


 しかし、仕方が無い。

 とにかくソファに座った。


 すると、男が当たり前のように横に座ってきた。

 おいおい。


「…………」


 非難の視線を向けるが、男は全然気がついていないようだ。

 ダメだこりゃ。


 諦めていると、男が俺の手を握ってきた。


「ひゃっ! な、なに!? ってか、最近ボディタッチ多くないですか!?」


「はぁ? お前、この前暴走して俺にベタベタしてきたくせに、今更これくらい……」


 割と批判的な口調で言ったのだが、男は動じずに俺の手を掴んだままだ。


「それとこれとは別です!」


 と、男の手を振り払うと、男がなんか寂しそうな顔をした。

 そ、そういう顔をするな。


「っていうか、なんでわざわざソファに……私は単純に帰ってきたことを報告しに来ただけなのに」


「まぁまぁいいだろう。で、どうだった? リラックスできたか?」


 男が脳天気に聞いてくる。


「リラックスできたかって……男の一人暮らしの家に行ってリラックスできるわけ無いでしょう」


「ん?」


 男が首をかしげる。

 分かっていないようだ。


「いや……あいつのところにも使用人がいるという話だったが……」


「その言い方、あなたは自分で行ったこと無いんですね」


「あぁ、その機会が無くてな……。サロンではよく会うのだが、家に直接行ったことは無い」


 おー……そういうことか。


「たしかにメイドさんが一人居ましたよ。マリーっていう同じ名前のおばさんメイドさんがね。でも、その人、通いなんですよ。夜になったら居なくなるんですよ!」


 その言葉に男は顔をしかめた。


「だが、あいつはそんな変なことはしないだろう」


 その言葉にめまいがした。

 そうか、サロンとかでしか会ってないから、あの洗練された洒落者っぽい雰囲気しか知らないのか。


「……ギュスターヴって人ご存じですか?」


「あぁ、直接会ったことは無いが、噂ぐらいは聞いているが……それがどうした」


 なんとアルフォンスも変態紳士のことを知っていた。

 本当にあの変態は有名人のようだ。


「ギュスターヴも来ていたのですが、ダニエルはあのギュスターヴの親友ですよ。同類です」


「噂の男まで居たのか……。しかし、ダニエルはおかしなことはしないだろう」


 男が首をかしげる。

 全然信じていない。


「だって、あいつ、男言葉でぶっきらぼうに話す女の子が好みだって言うんですよ!? 私が男言葉で罵倒すると喜ぶんですよ!? しかも、全然遠慮しないでセクハラしてくるし! ああもう!」


 思わず感情的になる。


「ギュスターヴとダニエルが二人で私のこといじるんですよ。特にギュスターヴなんか……」


 花瓶の一件を思い出す。

 さすがに言えない。


「と、とにかく、酷いんですから……」


 男が困った顔をしている。


「まさかお前……ダニエルとギュスターヴという男にもキスをしたのか?」


「は?」


 俺はあっけにとられて、男の顔を見た。


 なんでそうなるのか。

 そういえばマリーもそんなことを聞いてきた。


「いや、そんなことするわけないでしょうが!」


「そうか? この前うちの手伝いの男どもにもキスしていただろう」


「うぐっ……」


 声が詰まる。

 あれが変な黒歴史になってしまっている。


「い、いや、さすがに女モードにはならなかったのでそんな醜態はさらしませんでしたが……とにかく危なかったです。男一人所帯を紹介しないでくださいよ」


「そうか、俺も知らなかったらな……。それにしても、そんなに酷いのか? あのダニエルがそんなことをするとは思えないが」


 男が首をひねる。


「まぁ、酔っていたのもあると思いますが……」


「それは悪かったな。じゃあ、ダニエルとゲストに呼ばれる話と相談するのは止めたのか」


「あ、それはいろいろとやることになりました」


 と、ダニエルとギュスターヴと一緒に前の世界の知識を実現化する企画について簡単に説明した。

 アルフォンスは黙って聞いて、頷いた。


「ほお、それは興味深いな。なるほど……そういうことになったのか。だけどお前、それだけいじられて懲りたんじゃ無いのか? よくそれで、やる気になったな……」


 男があきれた顔をする。


 え、あ、そうか。

 たしかに客観的にはそう見える。


「ま、まぁ、そうなんですけど。でも企画は進めたいので、そこは我慢して進めることになりました。でも、一人だとまた変なことされそうなので、今度からは誰かに一緒に行ってもらいます」


「あぁ、そういうことか。誰がいいかな……」


 男が考え込む。


「マリーとか女の子はダメですよ。ダニエルはとにかくあのギュスターヴの前に女の子を連れて行ってはいけません」


「噂には聞くが、そんなに酷いのか……。といっても、うちの男はガストンとフィリップしかいないしな。どちらも居なくなっては困る。気楽に頼めて信頼できる男か……うーん」


 男が考え込む。

 たしかにこの屋敷には居なさそうだ。


「すぐには思いつかないな。まぁ考えておく」


 と、男が請け合った。


「ありがとうございます。じゃあ、これで……」


 と立とうとすると、男が腕を掴んだ。


「わっ、び、びっくりした。なんですか」


 男の顔を見ると、男はじーっと俺の顔を見ていた。


「な、なんです?」


「お前、疲れてるよな?」


 男が唐突に聞いてきた。


「え? ま、まぁ、疲れてますけど……。部屋に戻って休ませてもらっていいですか?」


「それは別にかまわないがそうでは無くてだな……」


 男が視線をあさっての方に向けて言う。

 なんか変な態度だ。


「なにか変なことを考えています……?」


「ば、馬鹿を言え! 疲れているようだから頭を撫でてやろうと思っただけだ!」


 ん……?

 頭を……?


 あ、それよさそう。


「いいですね。お願いします」


 すすっと身体を寄せると、男が面食らった顔をした。


「本当にいいのか?」


「え、なんで?」


 首をかしげる。

 自分で言っておいて、何をうろたえているのか。

 頭を撫でるくらいたいしたことじゃ無い。


「ま、まぁ、そういうことなら……」


 男が手を伸ばしてきて、俺の頭を撫でた。


 あ……気持ちいい。

 なんか懐かしい感じ。


「ふあぁ……やっぱこれいいわ~……」


「無防備な……たしかにこれで男一人所帯に送ったのはまずかったな……」


 男がブツブツつぶやく。


「ダニエルにも頭ガシガシ撫でられましたけど、ご主人様の撫で方は安心感ありますね~。いいわ~」


 何気なく言うと、男が変な顔をした。


 ん?


「ダニエルのやつ、お前の頭まで撫でたのか?」


「え……? そうですよ。だからいじられたって言ったじゃ無いですか。あと、背中を触られたのは本当にまずかったです」


 ふにゃふにゃな気分のまま答えると、男が表情を変えた。


「お前の背中を!? あ、あれはまずいだろ! ダニエルのやつ、そんなことまでしたのか!?」


「しましたよぉ……エロいからもっとやらせろ、とかあほなこと言ってましたよ。男ってしょうもないですよねぇ……」


 と、何も考えずに言ってから男を見ると、男が俺の顔をガン見していた。


「な、なんですか……?」


「お前……それで間違いが無かったのか?」


 男の手が止まる。


 快感が薄れて、だんだん頭が動き出す。


 しまった、面倒なことまで言ってしまった!


「い、いや、それは大丈夫です! ちゃんとそこは怒って抵抗したので!」


「本当か……? お前、いつもみたいに雰囲気に流されたんじゃ無いのか……?」


 男が懐疑的な視線を向けてくる。


 思いっきり信用されてない。


「い、いや、私をなんだと思ってるんですか!? 女モードじゃなきゃそんなことしないって言ってるじゃ無いですか! それから……」


 と、視線を上に向ける。


「撫でるなら撫でるで……」


「よくこれで平気だったな……」


 男が若干あきれた顔で撫でるのを再開する。


 あー、これこれー。

 手を止めるなー。


 またしてもふにゃふにゃな気分になってくる。


「確かにこれは一人で外に出すべきじゃ無いな……。危なすぎる……」


 男が何かいいながらも、俺の頭を撫でる。

 もっと撫でる方に気持ちを込めて欲しいなぁ。

 でも、気持ちいいなぁ。


 だんだん力が抜けて、男に寄りかかってしまう。


「おい……本当にこれでなにもなかったのか?」


 男が不安そうな声を上げる。


「え……? だって別にここまで気を抜いてなかったし……」


 ぼーっとした頭で答える。


「ん、そうか。俺には心を許してくれてるんだな」


「まぁ、初対面のダニエルやギュスターヴよりはそれなりに……」


 そのまま、頭を撫でられ続けられた。


「気持ちいい~」


「く、くそ、お前……そういう表情……」


 変なことを言ったので顔を見ると、なんか赤くなっていた。


「ん? なんかありました?」


「い、いや、なんでもない。そういえば、この前友人に会ったんだが、大分噂が広がっているな」


 男があさっての方を向いて、話題を変えた。


「え?」


 もっと撫でて、って頭を男にあずけながら疑問の声を上げた。


「ダニエルが噂を広げているのか、サロンで勝手に広がったのか分からないが、あのサロンに出入りしていない友人までお前のことを知っていた」


「そ、そうなんですか……?」


 大丈夫だろうか。

 ちょっと不安になってくる。


 が、その不安を頭のなでなでがかき消していく。


「はぁ~~……めっちゃいい……」


 不思議な満足感に満たされる。


「もういいです~。ありがとうございました」


 笑顔で言うと、男は頷きながらも微妙な顔をした。


「お前……もうちょっと振る舞いを考えた方がいいぞ」


「え、なにがです?」


 幸せな気分のまま聞くと、男がため息を吐いた。


「いや……なんでもない。まぁ、部屋でゆっくり休め」


「はい」


 書斎を出て、自分の部屋に戻った。


 さすがにマリーはもう居なくて、俺はベッドにそのまま寝転がった。


 メイド服のままだけど、このまましばらくゴロゴロしていよう。

 夕飯になったら出て行こう。

 今日は気楽だー。


 撫でられまくって幸せな気分……


「ん?」


 あれ、アルフォンスに撫でられるのっていいのか?

 でも、別にNG行為ではないよな。


 ま、まぁ、いいか。

 細かいこと考えない。


 そのまま気持ちよくお昼寝して……と思ったら、結局そのまま一晩寝てしまったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ