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異世界でTSしてメイドやってます  作者: 唯乃なない
第1章 バロメッシュ家
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簡単にボロが出ます

 翌日、俺はできるだけ平静を保って過ごした。

 マリーと会ったら普通に挨拶し、他のメンバーとも普通に挨拶をして仕事をした。


 しかし、女子の洞察力は当然ながらそんなに甘くない。

 一発でレベッカに見破られて、さきほどから怪訝な表情で見られている。


 それを無視して淡々とモップをかけていく。


「ねぇ、あんたマリーとなんかあったの?」


 レベッカがモップをつかんだまま俺に聞いてくる。


 ちなみに、レベッカはあまり掃除に熱心では無く、いつも俺の方が広範囲を掃除している。


「い……いえ、別に。なにもありません」


「嘘じゃん。あんたやけにマリーに冷たいし、マリーも元気ないし」


 と、レベッカがモップを壁に立てかけて、じっと俺の顔を見てくる。


 なんでそうやって顔を見るんだ。


 耐えきれずに顔をそらす。


「気のせいです」


「は? その態度でごまかせてると思ってるの? 私たち仲間なのよ。そういうごまかしは無しだから」


 そっと振り向くと、レベッカは真剣な目で俺を見ていた。


 あー駄目だ。


 やっぱりごまかせない。


「じ、実を言うと……マリーとちょっと喧嘩をしまして」


「喧嘩? マリーが喧嘩をするなんてちょっと信じられないけど。それに、マリーのあの落ち込み方はちょっと普通じゃ無いわよ」


 と、レベッカが意外そうに首をかしげる。


 たしかに、マリーは元気そうなふりをしているが、時々どこを見ているかわからない顔をしている。

 男連中は気づいていないようだが、女からしたら一目瞭然だ。


「その……いろいろありまして。聞かないでもらえるとうれしいんですけど」


「あのね、私たち、仲間なの。そういうの無し!」


 レベッカが宣言する。

 ある意味、男らしい。


「それが……ど、どう言ったものか……」


 正直、自分の中でとどめておくのはとてもつらい。

 誰かに話したい気持ちはある。

 でも話したら当然マリーにも伝わってしまうし、このゴタゴタが屋敷内に広まってしまう。


「あんた、昨日ご主人様の前でマリーが好きって言ったんでしょ?」


「ぶっ!」


 思わず吹き出した。


 って、ばれてるんかよ!


「な、なんでそれを」


「ご主人様とガストンが話しているのを聞いたの」


 ちくしょう、立ち聞きとは卑怯な!


 あるいは、あの男が意図的に流布したんじゃあるまいな!?


 なんか、昨日の男の態度はすごく悪かったし。


「い……言いたくないですが、好きって言いました」


「そんで、どうしたの? なんでマリーがあんなに悲しんでるの?」


 レベッカの目は真剣だ。


「えっと、マリーさんが私の部屋に来て」


「うん」


 レベッカが真剣な顔で頷く。


 本気でマリーのことを心配しているようだ。


「いきなりキスされまして」


「うん………………え?」


 レベッカが固まった。


 レベッカの手がスローモーションのようにゆっくりと上がり、俺を指さした。


「マ、マリーと……あ、あんたがキスしたの?」


 なんで俺は指さされているんだろう。


 俺はぎこちなく頷いた。


「そ、そうです」


 そう答えると、レベッカは手を下ろして、壁に立てかけてあるモップを握った。


 どうしていいか分からずに、とりあえずモップを握ったみたいで、握っただけでとくになにもしていない。


「そ、それでどうしたの!? あ、そっか、あんたが押しのけたの?」


「えっと……三回ほどキスされたんですが」


「さ、三回も!?」


 レベッカがモップをつかむ手に力を入れる。


「じゃ、じゃあ、なんでマリーがあんな悲しんでるのよ」


「わ、私が変なことを言ったから」


「何を言ったのよ!?」


 レベッカ迫ってくる。


「あ……えっと……だ、騙しているということを」


 いかん、本当に言っちゃった。


「なにを!?」


「な、なんでしょうねぇ」


 耐えきれなくなって目をそらす


「ごまかすな! 何を騙してるのよ!?」


「いや、そのぉ……」


 レベッカに怖い顔でにらまれて、だんだんと頭の中がぐちゃぐちゃになってくる。

 思考が全然まとまらない。


「だ、だから、私は男だと言うことを……」


「え、男ぉ!?」


 レベッカが変な声を出して、それを聞いた俺の頭も正常に戻った。


 慌てて自分の口を押さえた。


「い、いや……なんでもないです! すみません!」


 俺はモップを持ってかけだした。


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