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難攻不落の魔王城へようこそ~デバフは不要と勇者パーティーを追い出された黒魔導士、魔王軍の最高幹部に迎えられる~【Web版】  作者: 御鷹穂積
第三章◇勇者集団VS魔王軍

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132◇いよいよ明日開始のレイド戦ですが、今一度参加者のおさらいをしておきましょう!

 



 朝。

 もぐもぐとトーストを頬張る僕。

 パンの上には焼かれた卵とカリカリのベーコンがどーんと乗っかっている。片手でトースト、もう片方の手は牛乳で満ちたグラスに。

 咀嚼し、嚥下したら、ゴクゴクと牛乳を飲む。


 寮室のリビングで、僕とミラさんはテレビを観ていた。

 画面の向こうで流れる情報番組では、レイド戦特集が組まれている。

 ここのところ何回も様々なところでやり尽くされているが、それだけ注目度の高いイベントということだろう。


「世間はとても盛り上がっていますね。こんなにも人々の注目を集めるのなら、何故レイド戦は長らく行われてこなかったのでしょう」


 調理中のミラさんは髪を後ろで縛るのだが、たまに解き忘れたまま食事をとることがある。今日もそうだった。

 普段の下ろした姿も魅力的だが、違った髪型も似合っている。 

 ポニーテールのミラさんの言葉に、僕はサラダをムシャムシャ食べてから、応じる。



「幾つか理由はあると思うけど、基本的に冒険者に旨味があまりないからじゃないかな」


「そう、なのですか?」


「攻略に関わる人間が今回だけで十七人。人が多くなると、どうしても注目は分散してしまうものだから」


「それは確かに、そうですね。ですが今回の参加者は、【湖の勇者】とその仲間である【破壊者】を除けば、超の付く有名パーティーです。目立たず注目されない、ということはないかなと思ったりしますけれど」


「それだけなら、結局メリットがない。自分達で動画を上げても同じだと思う。一緒に攻略するとどうしても比べられてしまうし、連携も取りづらいし、【勇者】は我が強い人が多いから、他のパーティーと組むより自分達で攻略したいって人の方が多いだろうし」


 ランクが大きく離れているなら別だが、上位五パーティーだ。今更誰かの恩恵を授かるまでもなく、彼らを知らぬ者などいない。


「む、むむぅ……そうなると、視聴者へのサービスの側面が強いのでしょうか?」


「それはあるだろうね。四大精霊契約者の共闘とか、普段仲の悪い冒険者達が手を組むとか、そういうのが好きな人は多いよね」


 僕もそういうのは大好物だ。


「実現しない理由は他に、注目度の高いパーティーは忙しいからスケジュールを押さえるのが難しいこと、映像の権利や報酬の話を纏めるのが面倒なこと、複数パーティーの攻略に堪えるダンジョンが少ないこと、それらをクリアしてまで開催に踏み切る偉い人があんまりいないこと、とかかな」


「……魔王様のお父上は、相当なやり手ということですね」


「そう思うよ。僕は今でも、あのメンバーが集まったことが不思議なくらいなんだ」


 レイスくんチームは例外だが、彼らは冒険者のトップ集団。

 自分達こそがという思いはあれど、集団での攻略を承諾するとは思えなかった。


 なんとなく、エアリアルさんはレイスくんの件もあって参加を決めたのかな、と思っているのだが。


「あとは……」


「まだあるのですか……?」


「前回のレイド戦で、師匠がトップ冒険者達を第一層で瞬殺しちゃったから……。業界的にはタブーみたいになっているんだよね。興味があっても、やりたいとか言えない空気が出来上がっているというか」


「な、なるほど……」


「そういう意味でも、復活させられるのはフェローさんくらいだったかも」


 師匠を最強の魔王と尊敬し、彼を隠居に追いやった業界を憎むフェローさん。


 冒険者や組合に広がるイメージなど無視して、企画を提案し、押し通す力を持つ者がどれだけいるか。

 街を挙げてのイベントごとに押し上げたり、参加する冒険者達を全面に押し出したり。

 かつてのイメージが大きかろうと、それを上書きするほどの楽しいイベントにしようという案が盛りだくさん。


 後は――。


「フェニクス達が完全攻略寸前まで来たのも大きいよ。魔王城の攻略まで後一歩って世間が思って、その印象が薄れる前にレイド戦だからね。フェニクス達に出来なかったことを、業界のトップともう一人の四大精霊が達成する。どうなるか、気にならないファンはいないんじゃないかな」


「ふむふむ。……レメさん、一ファンとして楽しみにされていますか?」


「うん……実はそうなんだ」


 魔物の勇者になると決めたからって、趣味嗜好が変わるというわけではない。

 僕は変わらずダンジョン攻略と冒険者が大好きで、このレイド戦も楽しみにしている。


「もちろん、全員退場してもらうつもりでいるけど、それはそれというか」


 難しいところだ。

 彼らが簡単に負けるとは思わないが、簡単に突破されては困る立場。


「うふふ、よいと思いますよ。私もレメさんが魔王城を攻略されていた時にはもちろん全力で戦いましたけれど、それはそれとして映像を食い入るように眺めて無限に再生……いえ、なんでもありません」


 こほん、とミラさんは咳払い。顔が赤い。


「そ、そうですレメさん。いよいよ明日なのですから、今一度対戦相手を確認されてはっ? ちょ、丁度参加者紹介が流れるようですし」


 と、誤魔化すミラさん。

 その様子が可愛くて、僕は自然と表情が綻んだ。


 素直に流されることにして、映像板(テレビ)へと目を向ける。

 確かに丁度、エアリアルパーティーの紹介が始まったところだった。

 進行役のお姉さんが、スタジオに設けられたディスプレイに手を向けながら解説を始める。

 彼女の説明に合わせて、映像が流れるようだ。


『まずは、遠くヤマトの地特有の戦士系【役職(ジョブ)】である【サムライ】持ち――マサムネ氏! カタナなる曲刀は果たして魔法具なのか、なんと――魔法さえも断ち切ってしまうと言うから驚きです! 己の領域に踏み込んだものは何物であろうと両断する秘技「バットウジュツ」は「神速」と並んで目にも留まらぬ攻撃スキルとして有名です!』


 ヤマトという島国出身のマサムネさんは衣装も独特だ。和装、なんていうのかな。

 気さくな武人という感じで、【黒魔導士】差別も持っていない。


『そして次は彼女! 【炎の勇者】出現まで最強の火属性遣いと言われていた【紅蓮の魔法使い】こと――ミシェル氏! エアリアル氏との複合魔法「大爆風」はあまりに破壊力が大きく、ダンジョン攻略を予約する時点で使用を控えるよう頼まれるほどだとか! その高火力は今回何を焼き尽くし、破壊するのか!』


 ミシェルさんは基本的にほんわかしていて可憐な印象なのだけど、ダンジョンに潜ると性格が豹変する。ちょっと危うい言動と強すぎる魔法で一部から絶大な人気を集めている美女だ。


『【(つるぎ)の錬金術師】リューイ氏をみなさんご存知ですか? 【錬金術師】の冒険者は非常に珍しいですが、彼は戦闘適性も持っているようで、ダンジョン内で武器や防具を作りながら戦うのです! もちろんユニークなだけでなく、武器の性能も戦闘能力も非常に高い!』


 リューイさんは寡黙で小柄な職人気質。

 ダンジョン内にあるもので武器防具や道具を作るので、毎回違った画が見られて楽しい。

 そして次は。


『こちらはまだ馴染みのない方が多いかもしれません。【白魔導士】あるいは【大聖女】パナケア氏の後任として入った――』



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・コミック版、企画進行中
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◇『難攻不落の魔王城へようこそ』◇

・書籍版①~③発売中(GAノベル)大判小説
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◇『復讐完遂者の人生二周目異世界譚』シリーズ◇

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・コミック版①~⑦発売中(ライドコミックス)
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