[アングラ儲け話]オレオレ詐欺はヤンチャたちの希望
過去、合法ハーブ、出会い系サイトといったネタを書いてきましたが、オレオレ詐欺はこれまでのアングラ商売とは一味違います。
第一に必要な資金が少ないこと。
他の商売はある程度の資本や(無資格で突っ切るパターンも多いですが)資格が必要です。商品の仕入れや設備の準備や運用など事前の準備が必要でした。
それに対しオレオレ詐欺は電話1つあれば最悪事務所すら必要ありません。鴨リストさえあれば営業可能です。
今から10-15年ほど前のオレオレ詐欺の黎明期は、金のない半グレは皆オレオレしてたんじゃないのかというほどオレオレ率が高かったです。それほど手軽に始められ稼げる商売として認知されていました。
第二に、明確な違法行為でありアングラ度が高い事。
世の中多数の詐欺手法がありますが、その多くは会社組織であり、一見まともな会社にみえる組織運営をしています。それに対してオレオレ詐欺ではその辺を取り繕うつもりのない組織が多かったように思えます。
悪く言えば組織として未熟で、子供の遊びの延長のような雰囲気も受けましたし、アングラである事を割り切った運営をしていました。
■雑居ビルの掟
事務所内にいる人間は基本事務所から外出しません、できません。
雑居ビルにガラの悪いのが出入りしていると注目があつまります。建物の共用部分では私語厳禁、買い出しは一人の代表を決め纏めてパシらせる、通勤はスーツ推奨と外部の目を気にしていました。買い出しも頻繁には出せないため、社内には備蓄のお菓子・カップ麺が大量にあったそうです。
「ガラの悪いのがたむろしてる」という通報から摘発された集団もあります。事務所付近では静かに目立たず、が約束です。
■逮捕要員である出し子は不遇
ATMから現金を引き出す出し子は、必ず防犯カメラに映り指紋も残ります。真っ先に警察に捕まりますし、そこで情報を吐けばやはり裏切り者扱いされます。オレオレ詐欺の仕組み上必要なパーツですが、最も代えが効き逮捕リスクも高いのが出し子なのです。
ちなみに出し子が単独で捕まった場合、黙秘を貫くことができれば釈放される事もあります。逆に出し子がゲロると組織が潰れます。下っ端の仕事ではありますがその教育も大事だったようです。
お仲間の組織は出し子が捕まったが黙秘で無事だったのに、自分のところはゲロって全員逮捕されたとなれば、その怨みが向かうの先は当然ゲロった出し子です。そんな出し子がどうなるのか? きちんと教育した出し子でないと安心できません。
■社保なし口座振込なし
アングラ度の高い組織です。会社は税金を払っていませんし、従業員も税金なぞ払いません。そんな訳で社保がないのは当然で、給料も現金払いです。二十歳ソコソコで毎月の給料袋が「立つ」のはアングラならではでしょう。
ちなみに、現金払いという事で各種税金を無視できると考えた場合、手にした現金は真っ当な給料に比べ二倍近い価値があります。違法な現金五十万円は、適法な額面給与百万円に相当します。
オレオレ出身の営業マンが真っ当な会社に転職し給料をもらった時「何で給料からこんなに金(税金)が引かれてんっすか!」と社長に詰め寄った人がいる、という笑い話を聞いたことがあります。彼らにとって給料は税金が引かれず全額手元にくるのが当たり前なのです。