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第四話:アラ川でサイクロプスに襲われた記憶

 先日、ケンは依頼されていた仕事が終わって、シーギ村を流れるアラ川付近の森の中を、仲間のジョージ、ナオミと三人で歩いていた。

 すると、突然、背の高さが自分の三倍くらいもあるモンスターに襲われた。

 一つ目のモンスター、サイクロプスだ。


 そいつが、棍棒で襲いかかって来た。

 不意を突かれたジョージが、棍棒で背中を叩かれ、吹っ飛ばされる。

「ウィンドアロー!」とナオミが魔法を使って、風の矢をサイクロプスに向かって放ったが、よけられてしまった。

 ケンはサイクロプスが棍棒で殴りかかってくるのをさけて、剣で相手の体を斬る。

 しかし、傷が浅い。

 かなりの強敵だ。

 再び、サイクロプスが棍棒で、ケンに殴りかかってきた。

「やばい!」とケンは思った。

 よけられないと思った瞬間、大きな石がサイクロプスの目にぶち当たった。

 目を潰されたサイクロプスは、悲鳴をあげて、その場で棍棒をメチャクチャに振り回している。

「君たち、今のうちに逃げなさい!」と後ろから声がする。

 右目に黒い眼帯を斜め掛けした男が、大声でケンたちに呼びかけた。

 ケンはサイクロプスが振り回している棍棒に当たらないようにしながら、倒れているジョージの脇を抱え上げて逃げる。

 その男も反対側から、ジョージを支えてくれる。

 暴れているサイクロプスから何とか逃れて、ケンたちは森から草原に脱出した。


「もう、ここらで大丈夫だろう」とジョージを地面に座らせる。 

「助けてくれて、ありがとうございました」とケンがお礼を言うと、

「別に気にしなくていいよ」と男は少し微笑んだ。

 その男は右目に黒い眼帯を付けたうえ、顔面が傷だらけだ。

 この人も冒険者で、モンスターに襲われた怪我でそうなったのか思ったケンは、

「あなたも冒険者ですか」と聞くと、

「いや、私は冒険者じゃないよ。建築関係の仕事をしているんです」と男が言った。

 身なりも冒険者ではなく、一般人のような恰好をしている。

 何となく冒険者というよりは、学者のような知的な感じがする人だなあとケンは思った。

「あの、失礼ですが、今のは魔法で石の塊をサイクロプスの目にぶつけたんですよね」とナオミが男に聞くと、

「いや、違いますよ、ただ石を思いっきり投げただけですよ。我ながらうまく当てたなあ、運が良かったですよ」と男が笑いながら答えた。

「あのー、お礼をしたいんですが、お名前を教えていただけませんか」とケンが聞く。

「タナカと言います。礼には及びませんよ。じゃあ、お気をつけて」とタナカを名乗る男はケンたちを残して去って行った。


「あの石の動きは魔法だと思うんだけど」とタナカが去った後、ナオミが少しいぶかしげな顔をしている。

「まあ、助けてくれたんだから、いいんじゃないの」

「うーん、ちょっと気になるなあ。別に魔法使いなら、そう言ってくれてもいいじゃない」とケンとナオミが話していると、

「おい、二人で雑談してないで、俺の怪我を回復してくれよ」と座っているジョージが弱弱しい声でナオミに言った。

「あ、ごめんなさい」とナオミが手かざしで、回復魔法をかける。

 しかし、ジョージの怪我は酷くて、ナオミの魔法でも治すのは無理だった。


 だいぶ調子の悪そうなジョージを、何とか近くのウラーワ村の神聖魔法師の治療院に連れて行く。

 スズキという名前の男の神聖魔法師が経営していた。

 しかし、お金が足りなくて、治療を断られてしまい、そのため、ジョージはパーティから外れることになってしまった。

 スズキの傲慢な態度に、ケチくさいなあ、こっちは困っているんだから、治してくれればいいのにとケンは思った。

 しかし、その場で他の患者がスズキの治療を受けるのを見ていると、神聖魔法師のスズキと患者が丸い光に包まれて、あっと言う間にその人が健康になったのにも驚いた。

 道理で、高い金を取るわけだ。

 結局、ジョージは実家に帰ることになり、そのため、ケンとナオミはこのウラーワ村の冒険者ギルドでジョージの代りになる仲間を探すことになった。


 そんな事もあり、アラ川と言うとサイクロプスを想像したケンは、あのモンスターとは戦いなくない、おかげでジョージは実家に帰ってしまったからなあと思い、冒険者ギルドの主人からの、アラ川のダムを見に行って来なよという勧めに対して、

「そのうち見に行きますよ」と適当に答えて、ナオミとハナを連れて冒険者ギルドから退出した。

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