エピローグ:故郷へ
あたしは故郷のナガーノ山に帰ることにした。
弟のタロのことが心配だ。
そのことを告げると、仲間のケンがあたしに言った。
「ハナ、お別れかあ。さびしいなあ」
あたしは、すぐにタロを連れて戻ってくると説明した。
ナガーノ山では、弟の病気は治せない。
「あ、そうか。弟さんの病気を治す必要があるもんね」と仲間のナオミが言った。
ナオミに神聖魔法で治してくれるかと聞いたら、
「もちろん、喜んで。けど、私の力量で治せないかも」とちょっと心配そうな顔をしている。
まあ、その時は、あらためて医者か神聖魔法師を探せばいいと思った。
政府からゴーレムを倒した報奨金を貰ったから、お金は沢山ある。
タロの病気が治ったら、また一緒に冒険したいと二人に言った。
「大歓迎だ!」と二人は嬉しそうに笑っている。
ただ、ナガーノ山でもう一つ用事がある。
式を済まさなければいけない。
「え、式って何?」とナオミが聞く。
結婚式と答えた。
「えー、もう結婚すんのかよ」
「まだ、十二才でしょ」
ケンとナオミの二人が驚いている。
まあ、族長が勝手に決めたことで、相手の事は同い年ということしか知らないし、当分の間、一緒に暮らすわけでもない。
結婚式と言っても、皆で食事するだけだ。
そのことを言うと、
「許婚ってやつかな」
「形式的みたいな感じなのかも」とケンとナオミが話している。
ところで、あたしはこの二人に前から聞きたい事があった。
けど、多分正直に答えないだろう。
ケンとナオミは、両方ともいい人なんだけど、頑固で素直じゃないしね。
それにこの二人ときたら、ちょっと子供っぽいんだよなあ。
やめとくかと思っていると、
「どうしたの、ハナちゃん?」とナオミがあたしに顔を近づけて来たので、思い切って聞いてみた。
ケンとナオミはいつ結婚するんだって。
びっくりする二人。
「いや、俺たちはそんな関係じゃないよ! ただの幼馴染だよ!」とケンが慌てている。
「そ、そうよ、単に仲間ってだけ!」とナオミも頬を真っ赤に染めて、恥ずかしがっている。
その様子がおかしくて、あたしは思わず笑ってしまい、二人に向かって言ってしまった。
「ウソツキ!」
(終)




