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第十七話:タナカゴーレム軍団と軍隊の対決

 軍隊がスガーモ大通りを行進して来た。

 兵隊が五百人くらい。

 でかいハンマーを持っている兵士が多い。


 大砲を十台、他にも金属の弾を飛ばす大型弩砲や、てこの力で大きい石を飛ばす投石兵器まで持ってきた。

「新旧いろんな武器を持ってきたなあ」とケンが驚いている。


 屋根がついた豪華な馬車から、偉そうな軍服を着ている太った軍人が降りてきて、ケンたちに近づいてきた。

「やあ、冒険者諸君。協力、感謝する。わしはフサ将軍だ」


「何だかいろんな武器がありますね」とケンが話しかけると、

「昨日、通報してくれたんでな。急遽集めたんだ。まあ、君たちの役目は終わった。後は軍隊にまかせて、冒険者諸君は下がってなさい」となんとなく偉そうな態度のフサ将軍。


 将軍の頭は両耳あたりを少し残して禿げている。

 失礼ながら見事なハゲぶりだなあとケンは思った。


「おい、タナカ! もう逃げられない以上、速やかに投降しなさい」と兵士が呼びかけるが、

「うるせー! おれに汚職の濡れ衣を着せて、拷問して目を潰しやがって。拘留されているあいだに、俺の妻も心労で死んだんだぞ」とタナカが屋上から怒鳴っている。


「本当なんですか」とナオミがフサ将軍に聞くと、

「ああ、アラ川ダムを作る業者と政府の担当者に贈収賄事件が起きて、タナカも捕まったんだ。奴は関係なかったけどな」

「それって、ちょっと酷いんじゃないですか」とナオミが言うと、

「うむ、まあそうなんだが……」とフサ将軍は口を濁した。


「こっちから行くぞ!」とタナカが叫ぶ。

 スガーモ神殿を取り囲んでいた軍隊に向かって、ゴーレム軍団が襲いかかった。


 ケンたちが少し離れて見ていると、それぞれ一体のゴーレムを大勢の兵士たちが取り囲み、ハンマーで殴りかかっている。

 ゴーレムは次々と倒されていく。

 タナカ側が押され気味だ。


 しかし、タナカは降伏する気は無いらしい。

 兵士の降伏勧告にも応じないようだ。


「わしにまかせろ」とフサ将軍自らタナカを説得すると乗り出した。

 でかいメガホンでタナカに呼びかける。


「あー、テスト、テスト。タナカ君、聞こえているか。わしはフサ将軍だ。君の気持も解らんでもない。素直に自首して謝罪すれば、国王様も罪一等を減ずるとおっしゃっておられる。速やかに投降しなさい」

「うるせーよ! 何がフサ将軍だ。フサフサどころかハゲじゃねーか!」とタナカが屋上から大声で怒鳴る。

「何だとー!」ハゲを指摘されて、フサ将軍は怒り心頭の様子だ。


 タナカはその後も一方的にわめきちらす。

「謝るのはそっちだろ、ハゲ!」

「やれるもんならやってみろ、このハゲ!」

「おら、さっさと大砲で攻撃しろよ、ハゲ!」

「怖いのかよ、このハゲ将軍!」

「ハゲ! ハゲ! ハゲ! ハゲは何をやってもバカにされるんだよ、このハゲ!」

「ハゲは死ぬまでハゲ! 死んでもハゲ! あの世に逝ってもハゲ! 生まれ変わってやっぱりハゲ! 輪廻転生ずっとハゲ! 異世界転生してもハゲー!」


 タナカの罵詈雑言にフサ将軍は顔を真っ赤にして激怒。

「ぐぬぬぬ、もう許さん! わしがこの場で処刑してやる。大砲用意!」


 屋上から大声で罵詈雑言を叫び続けるタナカの様子を見て、もうやけっぱちになっているのかとケンが思っていると、

「なんか変よ。あのタナカって人、将軍をわざと煽っているとしか思えない」とナオミがケンに小声で言った。


 確かに、ちょっと言動がおかしい。

 知的な感じの人だったのに。

「ねえ、もし大砲で攻撃してこの建物が崩れたら、瓦礫の山になるんじゃない」

「そしたら、また黒魔石をばらまいて、大量のゴーレムを出現させることが出来るってわけか」


 ケンはフサ将軍の方へ行って、話しかけた。

「将軍、スガーモ神殿に砲撃するのは少し待った方がいいんじゃないでしょうか」と忠告するが、

「うるさい、冒険者ごときが口を出すな!」と相手にしてくれない。


「国王陛下を殺そうとした極悪人だぞ、わしが成敗してやる!」とフサ将軍が息まいている。

 ケンは将軍の様子を見て、王様が殺されそうになったことよりも、タナカに「ハゲ!」って言われたことに怒っているような気がした。


「砲撃準備!」と将軍が大声で命令する。

 ケンはフサ将軍に、

「あの神殿はコンクリートブロックで出来ています。それが崩れると瓦礫が大量にできて、それを使って、コンクリート製の強力なゴーレムが大量に出現するかもしれません」と再び忠告するが、

「何百体出ようが、そんなもん片っ端から大砲で撃破してやる!」と将軍は豪語している。


 砲撃の準備が出来たようだ。

「発射!」

 一斉に砲弾がスガーモ神殿の下方に当たる。


 スガーモ神殿の下の部分がボロボロになった。

 今にも崩れそうだ。

「さっさと降伏しろ、タナカ!」と将軍が怒鳴る。


 しかし、斜めに傾いた神殿の屋上でタナカはまだわめいている。

「うるせーよ、ハゲ!」

「まだまだ大したことねーぞ、ハゲ!」

「もっと腰を入れて攻撃せんかい、ハゲ!」

「俺に砲弾を当ててみろよ、ハゲ!」

「ハゲ! ハゲ! ハゲ! ツルッパゲ!」とさらに挑発する。


 ますます激怒する将軍。

「もう許さん! 建物全体に砲撃しろ!」

 大砲や大型弩砲、投石機など持ってきた武器を全部使って、スガーモ神殿に攻撃する。

 

 建物全体に砲撃されて、スガーモ神殿があっけなく崩れていく。

 屋上にいたタナカが見えなくなった。


「ざまあみろ、ハゲの恨みは怖いぞ。思い知ったか、ガハハ!」と満足気に笑うフサ将軍。

 スガーモ神殿が崩壊、瓦礫の山になった。

 凄い砂埃でよく周りが見えない。


 しばらくすると、タナカが奇跡的に生きているのを兵士が発見した。

 全身傷だらけのタナカが兵士に引きずられて、将軍のところに連れて来られる。


「ふん、わしに逆らうからだ。お前は死刑だな」と笑う将軍に対して、

「お前もだよ、ハゲ!」とタナカが笑う。

「何だと、どういう意味だ」


「あれ、なに?」とハナが天を指さす。

 砂埃が消えて、巨大な黒い石が空中に浮かんでいるのが見えた。


「多分、各地から集めた黒魔石をくっつけて、一つの巨大な塊にしたんだ。そうすると、もしかして……」とナオミが言った。

「やばいぞ!」とケンが叫ぶ。


 巨大な黒い石を中心に、スガーモ神殿の瓦礫が空中に舞い上がって、ぐるぐると回る。

 その周りに強風が吹く。

 竜巻のような凄い風だ。


 みんな必死に巻き込まれないようにしている。

 スガーモ神殿の瓦礫からゴーレムが作られていく。


 超巨大なゴーレムが出現した。

 山のように大きい。

 それを見た、フサ将軍や兵士たちは顔面真っ青になっている。


 超巨大ゴーレムを見上げながら、

「デカい」とハナがつぶやいた。

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