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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

元勇者現ゾンビは片田舎でゆっくり死活

作者: 横縞キリン

ここはロギの村。王国の北東に位置する小さな農村。

この村で生活するようになって7年経つ。


7年前、目が覚めたのは雨の降る夜だった。霧のような細かな降雨が頬を濡らす感覚にゆっくりと目を開いた。雨が降っているが、空に星が見えた。

どこかわからない森の中に横たわっている。身体を起こすが、下半身がない。よく見たら地面に身体が埋まっていて臍から上が地表に出ている状態だった。あと服を着てないので美ボディと評判の筋肉が露わになっている。


「寒い……」


つい癖で自分の胸を揉んだ。不安になると揉んでしまう。

自分が先ほどまで枕にしていた固い岩を振り返ってみるとそれは「翔焔の勇者マリュース、ここに眠る。」と書かれた墓石だった。理由はわからないが死んだはずの自分はこの日突然蘇生した。


筋力、体力面は生前より向上していた。墓地のあった森から出て数時間歩いても全く疲れない。全速で走ろうとも息も上がらないでグングン進める。

ただ一つ難点があって、身体が非常に脆い。力が上がっているがパワーと耐久力が比例していなかった。もしも全速力で走っている最中に倒木に足をぶつけようものなら足の方がもげるので周囲に気を配りながら歩く方が安全なのだ。


耐久力もないが、特に乾燥に弱い。

乾燥した日は自然と体表の崩壊が始まるので、水筒を常備している。表向きは普通の人間とさほど変わらないが、身体の内面はほぼ腐敗物で構成されているので、体表がなくなると中のグズグズにボロボロと崩れたところにあらかじめ準備しておいた常温の井戸水をぶっかけるとシウシウと体表が元に戻る。

火気はもってのほか。たとえ小さなろうそく一本でも半径10メートルでも近づきたくない。乾燥するからでもあるが身体が近づくことを拒絶する。生前は「翔焔」と冠されたほどに炎を腕から出したり剣に纏わせたりしていたのだが、現在はもう出来そうにない。


雨の日は誰にも見られていないことを確認して村近くの森に足を踏み入れ、数十メートル進んだところで服を脱ぎ濡れた地面に横たわる。これが身体のリフレッシュ方法。腐った身体の主成分は土と水分、元の肉体だった腐肉に腐葉土から栄養を与える。


毎日代わり映えのないゆったりとした時間が流れる。生前は激動の日々を送っていた。人々の優しさに触れ、土に育まれた食物をいただく生活に幸せを感じる。死んでいるのに生活と呼ぶのも気になるので死活かと思い直した。


そんな静かな村の隅で騒がしく森林の伐採が行われ始めた。新たに切り開かれた数坪分の土地。数ヶ月のうちにその空き地に白い木造建築物が建てられた。

建築の最中から村の住人たちは「この村にも教会が出来るのは大変ありがたいことだね」と喜んでいた。完成した教会の入り口に掲げられたシンボルに俺は見覚えがあった。


続きも思いついたら断片的に書きたいです

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