1章6話 魔法を知ろう!後編
「ふんっ.....!....ぬぐぅうう...!」
昼食が終わり、カイトは再び魔力放出の練習をしていた。右掌を前に突き出し、一点に集中する。そこには青い魔力の球があるのだ、と自分に言い聞かせながら。そして、小さな光が一点に集まり、やがて小さなエネルギー弾となった。
「ぐぐぐっ....!」
右手は放出する魔力に耐えきれず震え始め、丸かったエネルギー弾は像が歪み、スライムの様に波を打っている。
「こ..れを、放つ...!」
左手で震えを抑えようとしている腕の先には、ボロボロの人形がぐったりと立っている。
(エネルギー弾を維持したまま、さらに別の魔力を右手から思いっきり放出、放出した魔力で吹っ飛んだ弾を人形に当てる!」
ドン!
エネルギー弾は逸れて、人形の横を通り、奥の椅子に掛けてあったカイトのパーカーに当たった。
「穴空いた!俺の一張羅がっ!」
パーカーの胸部分は焦げ、童貞を殺しそうな服に変わってしまった。
「そんな強く打つ必要なんてないわよん!!実際そんなの強いやつには当たらないし、陽動くらいにしかならないわ。もっと力抜いて!」
と、すぐ後ろでブラッディの声。
「んなこと言ったって、放出の加減なんて無理だろ。魔力がまだよくわかんねーから調節できない。グッとやんないと出ないし、やったらやったでめっちゃ出てコントロールもクソもないし」
「んー、魔力保有量が多いニンゲンならではの悩みね。」
考え込んだカイトをブラッディはニヤニヤしながら、
「恋人に触れるくらいの繊細さと大胆さを!」
「いねーよやめろ!」
完全におちょくっているブラッディを焦りながらも怒り、また練習に戻る。完全に感覚の練習。
魔法の練習はかなりの時間がかかるとカイトは思った。
試行錯誤の末、4時間。
「んー。カイトは魔法向いてないかもネ。」
ブラッディは読書をしながら、紅茶を一口。
「はは、俺もそう思う。異世界主人公あるあるだな。魔法の能力がないっていうテンプレね。」
パーカーを腰に巻きつけたカイトは、諦めたかの様に首をぽりぽり掻いていた。
「主人公...?まーとりあえず魔力放出だけはハンパないから、次からはそれ使った移動の練習、してみよっか!」
「ドユコト?」
「朝に印を付けた結果、カイトは全体的に魔穴がある万能型っていうのがわかったんだけど、それを使うの。穴一つ一つから魔力を放出、ブーストさせるの。」
「ジェットパックみたいな感じかな。」
「ジェットパック...?はよく知らないけど、放出したエネルギーの反動を利用して素早く動いたり、重みのある攻撃ができる様になるかしらね。」
「おお!それめちゃくちゃかっこいいな!考え方次第じゃ空も飛べるぞ!」
「ただ...、魔力の消費はかなり激しいわ。極めちゃったりすれば最小限の魔力で済むだろうけど、練習のし過ぎでぶっ倒れないでね?」
「やっぱり魔力そこ尽きるとぶっ倒れんのか。ブラッディも空飛べんの?」
「あっったり前よ!アタシを誰だと思ってるのかしらん?この国一番の魔法使いよ!?...でも本当に消費が激しいからあんまりやらないけどね。上空ってあんまり安全でもないし。」
「たとえ弱くても、空を飛ぶのはロマンだよな。それに、空を飛べる様になったら放出のコントロールも上手くいく気がする!」
朝から魔法の練習をして、今は夜7時。実も既に4個目を食べている。それでもカイトはピンピンとしていた。
「ふふ、極端ね。でも練習は次にしましょ!もう実の効果もないし、昼よりも魔力は出しづらいでしょ?ブリブリの実は食べ過ぎると体に毒よ。」
(名前なんとかならねぇかな...その実。...そういえば)
「結構面倒見てくれて、色々説明してくれて、ブラッディって結構真面目で親切なんだよな。ありが...」
ニシシっとカイトが笑った。だが、感謝の言葉を言い切る前にブラッディが、
「真面目...!?アタシが...!?」
と驚き、何故か嫌なものを見る目でカイトを睨んだ。
しかしすぐに戻り、
「真面目...真面目ね。ふふ、ふふふ」
と暗く笑った。
「わ、悪い。なんか変なこと言っちゃったか、俺。」
「いーや、なんでもないわ!気にしないでね!」
にっこりとカイトに笑いかけ、胸を揺らし、
「さーてご飯ご飯!行くわよ!」
本を持ちブラッディは歩いて行った。
(なんか、暗かった?...真面目ってそんなに悪いフレーズかな...。」
カイトも悩みながら、食堂へ向かった。
頑張って長く作ろうと思ったけど、無理でした⭐️
次回からバトルバトルしいことを始めたいです
2018年もダラダラやりますよろしくお願いします
あと番外編改稿しました。中身は完全に別です。
元々の内容はどこかの機会で、、、