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今日から俺は四天王!  作者: くらいん
第1章
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1章 1話 2人の始まり






空が青い日に限って気分がいいのは何故だろう。

やっぱり、俺の好きな色が青だからなのか。

いや、気分がいいのは別にも理由があるな...





そうだ、今日は日差しが暖かい。

散歩には、特に小さい頃から一緒の親友とゆったり歩くのにはもってこいだ。






.....うーむ、待てよ。他にもっと理由があるんじゃなかったか?


.....こんな見上げるのにも苦労する空や、ただ暑いだけの太陽よりも大事な理由があるはず...」

「おい!!聞いてるのかい!これから大冒険が始まるんだからしっかりしてくれよ!」




あん?大冒険...?


..............そうだ!そうだった!!


これから俺たち2人は、異世界に行くんだった!




「いやぁ悪いな悠仁。異世界に行くっていう大事な日に、ボケボケっとしてて。でも、『もうこの世界に帰ってこれない』ってなると周りの景色が恋しくなるもんだなっ!」



バカみたいに浮かれて話しているのはこの話の主人公、『黒崎海斗』である。

名前だけカッコ良さそうなこの黒髪の元高校生は、ラノベで読んだ異世界に行けると言う話を親友から聞いたのだ。


そして、それを聞いてからまず彼は高校を辞めた。

次に、親含めお世話になった人たちに涙の別れと感謝をした。

最後に、異世界に持っていきたいものをリュックいっぱいに詰め込んだ。

そして、今に至る。

バカみたいに浮かれている、と言うよりはバカそのものなのだ。



「........なんで浮かれてるのかサッパリだな。まあ、

少し恋しいってのはあるけどね。」


冷静に返したこの男の名は『朝田悠仁』と言う。どうやら地毛らしいストレートの金髪をいじりながら、ご自慢の緑色の目を海斗に向けている。


朝田悠仁いわく異世界へ行くための『ゲート』は自分の家にあるらしいのだ。

2人は今、悠仁の家に向かっている。




「さあ着いた。ここが僕の家だよカイト。」


「んなこた分かってるわ。しっかし相変わらず豪華ですこと。」


まあ、ストレート金髪の緑目、しかもショタ顔ときたら、大体は大豪邸のおぼっちゃんなんだよなぁ...。

そんなことよりも、だ。


「その、ゲート?だっけか。どこにあんの?何十回、何百回とお前の家で遊んできた超ユージンファンの俺でも、それらしいもんはなかったけどな。」


「簡単に見つかるような仕組みじゃないんだよ。『魔力』が必要なのさ。」


へえ!魔力じゃ分からんな...。そもそも、一般人の俺が魔力でどうこうするってのは無理だな。




「さて、僕の部屋にあるこの素晴らしい作品だが....」

ああ、お前の自画像だな。

「実はこの額縁に魔力を注ぐと、ゲートを出すための魔法陣が現れて、異世界に行けるのさっ」

来た。遂に異世界に行けるぞ...!

「ユージン!早速行こうぜ!」

...?なんかユージンの反応が変だな。

なんだってんだよ?


「...あの....非常に言いにくいのだが、カイトは異世界に行けないんだ」


「は!?」


「僕が『異世界に行く』と言っただけで、あっちからお呼ばれしてるのは1人だけなんだ。」


なっ何を言ってんだこいつっ!ああ、冷や汗がっ!


「おいおい!お呼ばれってなんだよ!そんな正式な儀式なの!?つか、2人で行くみたいなカンジだったじゃんか!」


「いや...えっと、学校まで辞めちゃうくらい張り切るのを見てると言い出せなくて.....ま、まあ僕が旅立つ大事な日に君が居てくれないとね」


.....俺も人の事言えないが、こいつは昔から自己中なとこがあるな。




「異世界の説明をしよう。」


「いやー、もういいっすわ。」


「....。あっちの世界では異世界の事を『ミリネア』と呼んでいる。こっちで言う『地球』みたいな、ね。」


朝田悠仁は今から行く異世界、ミリネアの話をしている。それを聞く黒崎海斗は死んだ目で悠仁を見つめている。


「ミリネアには大きな大陸があって、さらにその大陸では3つの国に分かれてるんだ。あ、あと離島にもう1つ国があったかな」

「ほげー。そーなんすかーっ。」


海斗はリュックに詰めていたスナック菓子に手を出した。


「今から行う異世界召喚は、王国軍か、魔王軍か、どちらかに行く仕組みになっている。僕は召喚された方の味方になるのさ。昔からのしきたりでね。」


「そかそか。お前の身なりからして、多分王国軍行くと思うぞ。」


海斗は炭酸飲料をガブガブ飲み始めた。



「今、僕が首にかけている2つのペンダントがあるだろう、黒と、黄色の。」

「...2つかける事で召喚がランダムになるってワケか。黄色だけ掛けると王国軍ってことね。」


食べれる物を食べきった海斗は暇つぶしに話を聞いてる。


「そうそう。でも、魔王軍はあんまり行きたくないね。良いイメージがないんだ。せっかくだし、君の髪の色と一緒の黒いペンダントを見るかい?」


「ええ...黄色い奴がいい.....へぇ、でも綺麗なもんだな。宝石みたいだ。」


それを聞いた悠仁は、意外な顏をした。


「...その禍々しい塊に綺麗と言う言葉を使う人なんてなかなかいないよ。嫌がるかと思って渡したのに。」


「お前これ大事な物じゃないのかよ...。」


彼はどうやら魔王軍が嫌いなのだろう。






「じゃあもう行くよ。今までありがとうね。」


「おう、じゃあな厨二病野郎。」


「よしてくれ。魔法は本当にあるぞ。」


「はいよ。俺だってお前の魔法見るまで信じてなかったさ。」


「今思えば、なんで君に魔法を見せてしまったんだろうね」


「さあな、昔のことなんか忘れちまったな」



くだらない会話が続く。

どうしても、別れを引き延ばそうとしてしまう2人がいる。男でも、高校生でも、寂しいものは寂しいのだ。




「....もう行かないと。ミリネアの皆が待ってる。」




「...ああ、達者で。」


悠仁が右手を自画像の額縁に向ける。


突然、彼を中心に光る大きな魔法陣が現れる。


ごうっ、と大きな風をなびかせ悠仁は決意に満ちた表情をしている。









たった1つのペンダントを光らせて。







その時、海斗の右手に違和感!





「あっ、黒のペンダント!!!!ユージン!!待って!!!」




「えっあっカイト!!!きちゃダメだ!!!!!!」









2人は、光に包まれる––––


それぞれの使命を果たすために。



















「「「異世界へようこそ、勇者様。」」」




ああ、しまった........。

リュックを忘れたな....。

不慣れですがよろしくお願いします。

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