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進路と過去

初詣は無事に終了し、皆で食事をして、そして陽はあっという間に落ちて行く。

西の空に落ちるそれをただ意味もなく見つめる五人は自然と笑みをこぼした。



「綺麗」


「うん、でもしばらくこうやって落ち着いて空を眺めることできないかもね」


「何で?」


「………来年度何年になるか自覚ないな? 野原」


「あぁー! そっか、受験だ」



今更ながら思い出したのか紫央里はがっくしと肩を落とした。その様子に真二が少し心配そうに首を傾げて呟いた。



「神社に行った時何をお願いしたの?」


「うぅ、いい思い出ができますよーにって」


「あーぁ、やっちゃった。しぃらない」



皆で賑やかな笑いを上げる。心地よい、安心できる空気に百合はやっと心から気を緩ませた。



「皆行く先決まってるの?」


「あー、決めてない」


「そりゃぁ、受験の自覚ない人はね…」


「じゃぁ、天上はどうなんだ? 前回の調査では未定だったけど」


「あー! 先生になってる。面倒」


「みり……そういう言い方はないんじゃないか?」


「百合ちゃんは?」



突然話を振られて百合は瞬きを繰り返す。一拍してからゆっくり口角を上げて微笑んだ。その仕種があまりにも大人びていて誰もが目を瞠る。



「まだ、内緒」






「て、どういう意味だよ」



二人で彰の家に戻り、それぞれくつろぎ始めた時、思わず彼は口を開いた。普通に考えれば彰は百合の担任で、秘密にされる人物ではない。



「ちゃんと本当に決めたら彰には言うよ。担任だし。だけど、まだ行けるかもわからない所を言いたくないだけ」



先ほどとは違い、自信を持てない様子で彼女は呟く。親もいない彼女にとって進学か、就職か、それは重大な悩みになるだろう。

進学するにもお金の問題があり、就職には今通っている高校では少し辛いものがある。



「進学したいなら…金くらい」


「だめだよ。そんなの。彰は私の担任で、他人なんだから。たとえ恋人でもそんなの頼れない。それに…私自身けじめをつけたいの」



きっぱりと断られて彰は俯いた。確かに、家族でもなく、夫婦でもないこの関係で、そんな関わり方をしてはいけない、と彼自身も思う。

特に、二人の関係は特別で、教師と生徒。それは卒業しても、過去というもので残る関係。



「大丈夫、心配しないで。私はできることをちゃんと理解して、行動するから」



にっこりと彼女は笑う。今は、その笑顔と言葉を信じるしか、彰には道はなかった。



「ごめんな、力になれなくて」


「別に気にしないで。彰はいろんなことを教えてくれたし、力になってくれたよ」



落ち込む彼に百合は近付いて、彼の頬を両手で包みこむ。少し冷たい彼女の手を更に彼の手が包んだ。






「ありがとう。子供の時の約束を守って、私の先生になってくれて───」





ゆっくりと落とされたキスと言葉。それに驚愕して、彰は目を見開いたまま彼女を見つめた。

忘れられていた真実。記憶の奥底にしまわれていると思われた過去。ずっと、話したとしても、思い出すことはないだろうと、彼は思っていた。



「覚えて、たんだ?」


「まさか。彰から話聞いて、次第に思い出したんだよ。小学生の時に友達いないとか、同じ状況に私もいたなぁって思ってたらさ。でも、ちょっとショックだったなぁ」



呟かれた意味を理解し損ねて、彰は変な顔で百合を見る。その様子に内心笑いながらも、大げさに溜め息をついて見せた。



「だって、私より先にまだあった間もない朱理に自分の過去話すんだもん」


「な、それは」


「しかも何か変な雰囲気になってたし」


「────っ!」



口答えできない様子に優越感を覚えて少しだけ口角を上げる。自分が優位になれることなどあまりないことで、普通なら許されることでもない。こういう時間を過ごせるということは、恋人という実感を持たせてくれる。



ずっと、この時間が続きますように。



ばれてはいけない、秘密の恋は苦しみを感じもせずに、甘く彼女を喜ばせる。

少しずつ、その秘密の関係にも終わりに近づきながら。







もう、予定なんか無視をしてしまっている私。すみません。本当すみません。すでに土下座しても頭が高い状況ですね。

っというわけであらすじの予定は削除しておきます。もう出来次第お送りしたいと思いますので、ご了承ください。

できる限り今学期中に…っというか今年度中に。

私の大学は未だに春休みに入っておりません。まだテストすらしてません。あぁ、もう死にそうです。

話がまたつまらなくなると思いますが、できれば最後までお付き合いください。

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