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嘘と感動

またつまらない授業を聞いて、百合は目を細める。

黒板の音が静かなこの空間に響き、先生の声が抑揚なく聞こえてくる。



ねみー。



そのどちらも彼女を眠気に誘う。うとうとと、少しずつ自分の意識を手放していく彼女。

しかし、安らかな眠りは訪れなかった。



「時条さん!」


「―――っ!?」


「寝たら襲いますよー!」


いつの間にか近付いていた先生、つまり彰は目の高さを合わせて百合を見ていた。

彼女は無意識に彼の顔を掴んで、突っ込んだ。



「ぉお! 襲ってみやがれ、変態が!」


「ぎ、ギブギブ!」



握力でKOする大人はおそらくそうはいないだろう。

顎をさすりながら、彼は苦笑して立ち上がる。



「もう、ちゃんと授業受けて下さいね」



百合はしかめっ面をしながらも、意識を授業に戻した。

見慣れない公式がずらっと並んでいる。



わっかんねー。



結局ただノートを書いただけだった。






少し長い金髪が風に揺れて光を放つ。それは日の光が彼女の髪に反射して。



「やっぱり一人なんですね」



何故かどんな場所にいても彼はやってくる。

購買で買ったパンを片手に百合は屋上にいた。



「悪かったな」


「いえ、何となく…」



何故か彰は淋しそうに笑う。その表情に彼女は何故か何も言えなかった。



「時条さん、僕は………」



がしゃーん。



「「―――!」」



ガラスの割れる音に二人は反応し、下を覗いた。見ればそこには他校生の男子が数人群がっていた。

見るからにガラの悪そうな彼等に百合は嫌な予感を覚えて眉間にシワを寄せる。



「………はぁ」


「え? あ、時条さん!」



吐き出して彼女は走り出した。一拍遅れて彼も後を追う。

いつもとは違い、かなり本気で走っているためか、なかなか追いつけぬまま、靴も履き替えずに飛び出した。



「おい、時条百合は何処にいる?」



彼等は彼女の名前を叫びながら女生徒に詰め寄っていた。

百合は怯むことなく彼女達の前に入り込んだ。



「やめろ!」



彼等はじっと百合を見つめて詰め寄る。



「あぁ? 何だおめーは! 俺達は時条百合に用があんだよ! 邪魔すんな」


「………」



顔知らねーのかよっ!



思わず心の中で叫び、彼女は後ろの女生徒に視線を送った。彼女は何かを察して少しずつその場から離れて行く。



「いいからおめー、早くあいつ出せよ!」


「だぁ! だからそれはこのお……」


「駄目ですよ! その人に何を言っても!」



名乗ろうとした彼女の前に更に今度は彰が割り込み、言葉を発した。



「この人は、成長ホルモンが少ないという生まれつきの病気を持つ」


「は?」


「そのために幼い頃に両親に捨てられ、親戚を回り」


「ちょ、おま」


「愛を知らぬまま…心身共に成長できぬまま、ここまで来てしまったのです!」


「てめー、何言ってん―――」



殴り付けようと上げた手はそのまま止まり、彼女は信じられない光景に顔を引きつらせた。



「そうだったのか……くぅ、泣けるなぁ」


「そうか……だから自分を傷つけたいんだな」



よくわからないが、何故かそれで納得してしまったらしい。



全員殴りてぇ。



「彼女の心は今ズタボロに傷付いて、今やっとの状態なんです! だから、そっとしといてあげて下さい」


「そうだな、それが一番だな…。よし、てめーら! 帰るぞ」


「「「へぇい」」」



ふざけたお芝居を聞き、彼女はついにキレた。



「いいのかよ! おめーら時条百合に用があったんじゃないのかよ!」



思わず叫んだその名に彼等は案の定動きを見せた。



「それは俺なんだよっ!」







まだ、ギャグですね。大丈夫ですよね?

そろそろシリアスになってくるかも…です。

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