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後悔と訪問

初めて、学校に行きたくないと思った。



百合は制服を着て重い足取りで学校に向かう。いつもの時間に、いつもの道で。しかし、やはりみりに会うことはなく、教室に着いてしまった。

ずっと椅子について彼女が来るのを待つ。けれど、予鈴が鳴っても彼女は来なく、本鈴がなったと同時にみりは慌てて教室に入ってきた。

一瞬、目線が合う。けれど不快そうに眉を寄せて彼女はまっすぐに自分の席についてしまった。



やっぱり、誤解してるんだ。



怒らせてしまったことに酷く後悔した。喧嘩している最中に彼が他の女と、しかも自分の友達と一緒にいればどんな人でもショックに決まっている。

しかも、今彼女は他の女生徒からも疎まれている。



馬鹿だ私。

自分から、一人になるように行動した。



ちくちくと胸が痛む。懸命に涙だけは堪えて百合はとりあえず話をしようと決意した。

けれど、そう上手く事は運ばず、みりは休み時間に入ると彼女に声をかける暇を与えず、どこかに行ってしまう。昼休みもだ。百合は仕方なく紫央里と二人で食べることにする。



「みぃと何かあったの?」


「私が、怒らせちゃった」


「もしかして、噂で?」



昨日お昼を一緒にした時には百合もみりも変わらない態度で話をしていたため、紫央里はあのことは知らない。

百合は昨日の出来事を全て話すことは躊躇い、とりあえず教室で起きたことを話し、その後に彼女が誤解してしまったとだけ言った。



「そっか、よかった。百合ちゃんがみぃを選んでくれて」


「え?」


「ううん、何でもない」



にっこりと笑って紫央里は他には何も聞かず弁当をつついた。それにほっと胸を撫で下ろして、百合も食事を再開した。

結局その日は一度もみりを捕まえることはできなかったため、百合は朝よりも更に重い足取りで帰った。今日は彰との約束の日。制服で彼の家に行くのは危ない。できる限り大人に見えるような服を選んで、鏡を覗いた。



「………あ、そうだ!」



彼女は慌ててポーチを探り、思い付いたことを実行した。






「やっぱりまだ来てないよな」



珍しく仕事が早く終わった彰は既に自宅にたどり着いていた。せっかくだからと自ら食事の用意をする。学生の頃から一人暮らしをしていることだけあり、慣れた手つきで野菜を切る。

そんな時、チャイムが響いた。百合が来たのだと思い、確認もせずに慌てて扉を開ける。



「よ! 元気か?」



そこにいたのは百合ではなく彰よりも少し背が高い男だった。軽い茶色をした髪と整った顔を持つ彼は軽く笑っている。

しかし、それに対照的に彰の顔は見る見る青くなっていく。



「な、何で!」


「まぁまぁ、そんことより上がるぞ」



勝手に来て勝手に上がり込む彼に彰は慌てる。



「何いきなり来てんだよ!」


「いいじゃん、別に。何?見られたくないもんでもあるの?」



百合と鉢合わせすることを恐れているのだが、他にもあまりこの人物といたくないという理由もあり、彰はきっぱりと言った。



「お前に上がってほしくない!」


「つれないなぁ、まったく。じゃぁ、外で話でもするか?」



肩を竦めて彼はまた靴を履いた。しかし、彰は話す気は全くないらしく、玄関で彼が出て行くのをじっと見ていた。

息をついて仕方なく扉を開ける。すると睨んでいた彰は突然目を見開いてその先を見つめた。

つられて彼もそちらに目を向けるとそこには二十歳くらいの女性が戸惑いながら二人を交互に見つめていた。



「え! 何? もしかして彰の彼女?」



思わぬ収穫にテンションが上がる彼に彼女は微笑して口を開いた。






「はい、私は彰の彼女の時ゆりえです」







申し訳ございません。

昨日……すっかり忘れてました(汗)遅れながらも投稿しました!

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