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「ぶ、打ったことは謝ります。貴女を平民と下に見て要求したのも謝ります。確かにわたくしは家のことは何もしていないし考えたことがありませんでしたわ。家の者にも『侯爵』という権力を使って我が儘を言っていたことを自覚致しました。……ですから」
言葉を切ったあの子が私に向かって指を指した。
「そ、それは謝罪の品ですわ!! わたくしが謝って挙げているのですから有難く使いなさい!!」
ビシッと指を指しながらあの子。顔を真っ赤にして、自分のプライドと戦って何とか出した言葉。私に向かって指している指をダンデルトさんが「コラコラ」言いながら指を下ろさせた。
謝罪の品を見た私は思った。あぁ、これはあの子が一人で作った物だな。貴族、それも『侯爵』という上のくらいの人らしい女の子がクッソ高いプライドを折って自分で作って、謝罪もして。それに品のチョイスが……。
謝罪の品を見て少し考えた後、クスクスと笑う。「な、何よ!?」とあの子が叫んだ。
「ううん、何でもない。これ、有難う」
「ふ、ふん!! 解ればいいわ!」
「あ、後、私からも」
私も持っていた袋をあの子に手渡した。あの子は恐る恐る受け取ってくれた。
「な、何ですの!?」
「良いから、見てみて」
あの子は袋の中身を確認して、バッと私に顔を向けた。
「こ、これ」
「うん」
「私の方も、何も知らないのに貴女を傷つけてごめんなさい。それは謝罪の品です。受け取ってください」
ペコリとあの子に頭を下げた。あの子は驚いて中身を取り出した。そこには……。
四つ葉のクローバーとその白い花の栞とちょっと歪なチューリップの刺繍が入った白いハンカチが出てきた。