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「うーん。ないなぁー」
えー、只今森にいます。頬の方は無事に冷やし終えまてある物を探しております。良い場所はあったのですが……。
「なーいー。四つ葉~」
そう、今四つ葉のクローバーを探してます。こっちでも幸運があるらしいが“仲直りには四つ葉のクローバー”と言う考え方があるらしく、それを実践しようと探してます。……何ですが。
「あー、もうダメ!!」
ずっと探してるのに無いんです!! なんでさ~。もう諦めモードになってます。ハァ、どうしましょう~。その場でドサッと仰向けになって倒れた。もう違う物あげようかな。
──クスクス クスクス
──ミツカラナイ ミツカラナイ
──サガシモノ ミツカラナイ
何処からか笑い声が聞こえて驚いて体を起こした。それも無数。え、何? 辺りを見渡して、……何もいない。
──サガシモノ サガシモノ
──ソノママジャア ミツカラナイ
──カンジル カンジル
か、感じるってなんだ? ふーむ、ヨシ。そこに座り直し、手を地面において目を閉じてみる。真っ暗になりその状態で集中してみる。……真っ暗。もうちょっと辺りを見渡して……あ。バッと目を開けて走って行く。今光ってた!! 光ってた場所まで行き探してみる。……見つけた!
そこに一つの四つ葉のクローバーがあった。やった! 見つかった!!
──ミツカッタ!! ミツカッタ!!
──サガシモノ!! ミツカッタ!!
──ウレシイナ!! ウレシイナ!!
無数の声は嬉しそうに声をあげていた。おう、喜んでいる。その声に「ありがとう」とお礼を言うとピタリり止んだが、クスクス笑いなが「ウレシイナ ウレシイナ」と言いながら声が消えていった。
……よし、四つ葉のクローバーが見つかったことだし、これを摘んで帰ろう。そう思い手を伸ばした時、指にチクッと針に刺された痛みが走り「イタっ」と声を出して手を戻した。手を見ると少し血が出ている。何事かと思い四つ葉のクローバーを見ると、小さな……人?
二頭身で指人形位の大きさの人型で頭に白い花を被り、緑色の服を着ている何かが四つ葉のクローバーを守るように両手を広げて「うー!!」と叫んでいる。……可愛い、って違う違う。可愛いさに負けるな私。少しすると二人増え、三人並んで守りに入った。身体をプルプルして涙目をプラスして。うっ!! いかん、心が痛い。悪いことしている感ハンパねぇ。この場合、敵意なくお願いしなくては! さて、どうしようか。少し考え、そういえばガッキーさん達がやってた方法でいけるかな。あれしか今出来ることが無いからやってみるか。
手のひらを見えるようにして両手を地面に付けて、……これでいけるかな?
「あなた達を傷付ける気はありません。私はその四つ葉のクローバーを使って仲直りをしたい子がいるんです。どうかその四つ葉のクローバーを下さい」
「お願いします」と言って頭を下げる。あの小さいのは妖精さんだろうな。それなら決定権は妖精さんにある。その状態で待ってたら手に何かが乗った。頭をあげて見ると、四つ葉のクローバーがあった。
「……いいの?」
「うー!!」
妖精さんはぴょんぴょん跳ねながら体を動かしている。……これはOKということかな?「ありがとう」と笑顔で返せば嬉しそうに「うー!」ってかいしてくれた。後ろから妖精さんがやって来て白い花も手のひらに乗せた。
「これも?」
「うー!」
白い花、たぶんクローバーの花かな。「ありがとう」と返すと「うー!」と返事がかえってきた。でもすぐにショボーンとした顔になり怪我をした所をフーフーしだした。
「大丈夫。大した怪我じゃないよ。びっくりさせた私が悪いから気にしなくていいよ」
「うー」
頭の花を崩さないよいに撫で、「心配してくれてありがとう」と言えば「うー!」と返事が返ってきた。……さて、
「ごめんね、今はあげられる物がないんだよ。また今度でいい?」
そう、急いで来たため彼らにあげる物がない。貰ったクローバーは彼らの物。次来た時にケーキでもあげようかな。すると「うー!」と言いながら頭をブンブン横にふる。
「いやでも……」
そんな風に言うと考えるように顎に手を当て「うー」と唸っている。すると何か閃いたのかピョンとジャンプし自分の頭をとんとん。……これは。
「髪?」
「うー!」
お、当たり。じゃあ渡しちゃいますか。髪は三本でいいかなと思いながら一本づつ抜いていき彼らに渡した。「うー!」と言いながらビョンピョン跳ね回った。……かわいい。さてと、
「譲ってくれてありがとう。じゃあ私これで」
立ち上がって頭を下げ手を降って彼らと別れ家に帰った。
二回目にあの子と会ったのはその日から二週間後であった。