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「なんだこれ?」

「……薬草?」


 私は薬草より入れ物の方が気になる。……どっかで見たようなぁ。


「あっ!」

「な、なんだよフミナ。驚かすなよ」

「これ、わたしのぼうし!」

「フミナが森で無くした?」

「うん」


 いやー、まさか無くした麦わら帽子が薬草が入って帰って来るなんて思わなかった。修復した後があるけど。でも、これは一体どうゆう事?


「とにかくここに置いといても仕方ない。部屋に持って行こう」

「そーだな」


 トウヤ兄さんが薬草をトウマ兄さんが小瓶を持って部屋に入っていった。


「どうだった?」

「こんなのが置いてあった」

「……これは!?」


 お父さんが小瓶の一つを手に取り中身をみて驚いている。小瓶の中身は普通の水では無く、キラキラした物が入った水。


「先生、これを」

「ふむ、どれどれ」


 お父さんが小瓶をヤガラシ先生に渡して見せると「これはこれは」と驚きの声をあげる。


「まさかこれを見られるとはなぁ」

「この辺りにあるのでしょうか?」

「それはわからぬ。だが人工的に出来た物ではないだろう。こんなにも綺麗な物にはできないからのぉ」

「そうですか……」


 ちょ、大人達で話を進めないで。私も気になる。トウヤ兄さんなんて聞きたくてうずうずしてるし。


「他には何があったかな?」


 ヤガラシ先生に聞かれ帽子をそのまま渡し、一通り見て「ふむふむ」と頷く。


「なるほどのぉ」

「先生、もったいぶらないて教えてくれよ」

「その瓶見せてくれよぉ」


 三人組の一人が小瓶を取って中を見たら、目を見開いてガタッ!! と音を立てながら立ち上がった。


「これ魔水じゃねぇか!!」

『なにー!!』


 バタバタと立ち上がりおじ様達が集まる。……あらぶっていらっしゃる。


「魔水って確か、」

「魔力を溜めた水。これを使うと普通の薬より良い薬が出来るのと、ギルドで売っているポーションとかも作れる」

「そうそうそれそれ」


 ポーション、だと。あの体力回復に使われる回復アイテムがこの世界にあるのか!?


「でも何であーなってるの?」

「魔水は中々手に入りにくいんだよ。それにあれは自然に出来た物だろう」

「どーしてわかるの?」

「それわのぉ、あそこまで綺麗な魔水を人が作るのが出来ないのじゃよ。人が作ると要らない物も入ってしまって濁ってしまうのじゃよ」

「へぇ~」

「あの位だと……、一瓶三万ってとこかな」

「三万!!」

「す、すごい」


 す、すっげー。三万って結構な値段だ。そりゃ、あぁ有るわ~。……そう言えば。


「せんせー」

「んー、なんじゃい?」

「ぼうしにはいっているやくそうで、なにがつくれるの?」

「そうじゃあのー、毒消しが一本とポーションが二本かのぉ」

「へぇ~」


 ふむふむ、なるほど。じゃあもしかしたら……。考えに耽っていると、おじ様達がドスドスと音を立てながらこっちに向いて迫ってくる。怖い怖い怖い!! とっさに兄さん達の後に逃げる。


「先生! 五万で俺に売ってくれ!!」

「俺は倍出すから三本とも売ってくれ!!」

「あっ、テメー三本なんてずるいぞ!!」

「そうだぞ!!」


 わーぎぁー騒ぐおじ様達。……やっぱり大人ってお金になる物は欲しがるもんなんだ。


「すまんのぉ。それを見つけたのはこの子達でワシのではないんじゃ」

「じゃあ……」

「欲しいと言うのならこっちに言いなさいな」


 一斉にお父さんを見るおじ様達はお父さんに詰め寄る。


「マスター、頼む!」

『これを売ってくれ!!』


 おじ様達はお父さんに頼み込むことにしたみたい。……これを見付けたの私と兄さん達なのに。


「だ、そうだ。どうするお前ら?」


 お父さんは私達を見て答えを待っている。これは私達で決めろと?


「どーするって」

「言われてもねー」

「フミナはどーしたい?」


 兄さん達が私に聞いてくる。私はもう決めてある。

 期待がこもった眼差しを向けるおじ様達を通り過ぎヤガラシ先生の所まで行く。


「せんせー」

「うむ、なんじゃい?」

「これでおくすり、つくってください」


 ペコっと頭を下げた私に先生「いいのかい?」と聞いてくる。


「魔水だけでお金が貰えるだよ」

「うん、いいの。だってもってきたひとがいるのに、うったりなんかできないもん」


 そう、ちゃんとノックをして知らせた人? がいるのに売ったりなんか出来ないし材料も揃ってる。これは作って欲しいって事じゃあないかと考える。


「そうかいそうかい。フミちゃんは優しいのぉ。そこまで考えているとは」

「エヘヘッ」


 わーい、先生に褒められたー。頭を撫でられてウキウキしていたら、後が煩くなってきた。


「そ、そんなー」

「フミちゃん考え直してくれないかい?」

「そうだぞー」


 後からおじ様達がワーワー文句を言っているが無視無視。


「ヤダ! おくすりつくってもらうの!」

「で、でもねこれだけ売る方が良いんだよ」

「ダメ!」

「持ってきた人は見たかい?」

「……みてない」

「じぁ、きっと売りたいから持ってきたかもしれないよ」

「ちがうもん!!」


 あーもー、煩い! お金に目が眩んだ大人はこんなにも面倒くさいとは。こうなったら、必殺!!


「そんなこというおじさんなんて、だいっきらい!!」


 この一言でその場の空気が変わった。おじ様達はガーンって音が付くぐらいに落ち込み出した。「嫌い……」「そんなー」などの声が聞こえてくる。子供だから出来る必殺技、大っ嫌い攻撃、ちょっと涙目になることがポイント!


「わ、わかった。もう買ったりなんかしないから、ね」

「だからおじさんのこと、き、嫌いなんて言わないでくれるかい?」

「俺の癒しがー」


 魔水を売らないと言った? 言ったよね、私聞いたよ。私はパァと顔を輝かせ、笑顔でお礼を言った。……え、卑怯? そ、そんなことない! これも作戦の一つ!!

 おじ様達が持っていた魔水を返してもらい、それをヤガラシ先生に預ける。先生曰く、三日位で出来上がるそうだ。


 三日後、出来上がったポーションと毒消しを裏口に使えなくなった帽子を籠に作り直したのに入れて置いておいた。その翌日、籠ごと無くなっていた。

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