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 兄さん達の風邪が治り、寒さが本格的になっていく。


「コーヒーちょうだい」

「こっちも」

「はーい」


 お店はおじ様達でいっぱいです。


「イヤー、ここに来ると落ち着くねー」

「だよなー」

「メシはウマいしコーヒーもウマい。そ・れ・に」



「おまたせしました!!」

「ありがとうフミちゃん」

「はい!」



「「「ハァ~、癒やされる~」」」

「お前らもう帰れ」


 いつの間にかマスコットみたいになってるー。あ、だいぶ喋れるようになったよ。やったね。


「え~、そーゆーなよー」

「俺達にはもうここしかないんだよ」

「そーだそーだ」

「南部にもこーゆー所あるだろうが」

「あそこは酒屋」

「こことは全然違う」

「あそこにはもう行きたくなーいー」


 この街は東部、西部、南部、北部、中央部と区切りがある。東部は自然豊か、西部は貴族の屋敷がいっぱい、南部は漁業が盛ん、北部は様々なギルドがあり街の出入りができ、中央部は商店が建ち並んでいる。ちなみにここは東部でカウンターにいる三人は南部に住んでいる。


「お前らあそこの看板娘に惚れてただろう?」

「あの子は無理」

「倍率高過ぎ」

「それに客の一人とデキてるって話だ」

「「「だーかーらー」」」


「「「フミちゃ~ん」」」

「はーい」


 さて、呼ばれたので行きますか。目の前に目が笑ってないお父さんがいるが……。


「フミちゃん、前にあげたお魚美味しかった?」

「うん!!」

「そーかそーか。またウマイ魚があったら持ってきてあげる」

「わーい! ありがとうおにいさん!」

「……おにいさん」

「「「良い響きだ」」」

「……ハァ」


 フッフッフ、もうおじ様達の媚の売り方はマスターしたぜ。この人達は余った魚を持ってきてくれるからとってもいい人たちだからねー。


「相変わらずだねー、お・っ・さ・ん」

「「「おっさん言うな!!」」」


 そしていつもトウヤ兄さんに遊ばれる。


「おかえりなさい」

「ただいま」

「買えたか?」

「うん」


「ホッホッホッ、相変わらず賑やかだやのぉ~


「あっ、ヤガラシせんせい! こんにちは」

「はい、こんにちは」

「いらっしゃい。先生はいつもので?」

「うむ、宜しく」


 ヤガラシ先生のいつものは、卵サンドにコーヒー。お父さんのお手伝いしにキッチンにいーこお。


──コンコンコン


 ……え、何? 裏口からノック音がする。


「お、おとうさん」

「うん、どうした?」

「だ、だれかがうらぐち、ノックしてる」

「え?」


 するとまたコンコンコン、と音がした。


「ほ、ほら」

「……トウヤ、トウマ」

「なーにー?」

「どうしたの?」

「今すぐ裏口見てこい。なんかいる」

「「……了解」」


 兄さん達が行くのについて行く。ノック音は無くなったが、なんかいる。


「……お前が開けろ」

「何でだよ、トウヤが開けろよ」

「ヤだよ! 怖ぇからトウマが行けって」

「俺だって怖いよ」


 ……ハァ、仕方ないなぁ。兄さん達の間に割って入る。


「だれかいますかー!!」

「ちょ、フミナ」


 声をかけるとコン、と音がした。


「いまあけますね!!」

「待って、お願いだから待って!」

「開けるのは俺達がするからフミナは何もしないで!!」

「……はーい」


 トウヤ兄さんが扉に手をかけ、「いくぞ、せーの!」声をかけ開けた。


「……あれ?」

「誰も、いない?」


 そこには誰もいなかった。……えぇ、どうゆう事? 辺りを見渡しても誰もいない。でも扉の近くには、様々な草が入った入れ物と何か液体が入った小瓶が三つ並んで置かれていた。



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