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 ゴブリン達に誘拐? されここまで来たが、こんな綺麗な場所があるなんて知らなかった。一面青い花が咲き誇りその花に太陽が指してまるで輝いているよう。


「きれー」


 その景色に見惚れてながら、ゆっくり近づいて座り込む。青い花をよく見てみると、図鑑に載ってたドラインクロル草。やった! これで薬ができる! えーと、確かメモには十輪って書いてあったかな。ドラインクロル草を根っこから抜いていき、うさちゃんリュックから取り出した瓶に入れていく。

 瓶に入れ、中身の確認。うん、メモ通り。後は持ち帰るだけ。

 瓶をうさちゃんリュックに入れ、くるっと方向転換してゴブリン達の所へ行く。


「ここまでつゅれてきてくれて、ありがとーごじゃいました!!」


 ゴブリン達に深々と頭を下げる。ここまで来れたのも彼等のお陰だから、お礼を言っておかないと。お礼を言ったことに驚いたのか、一瞬体がビクッとなり、後から顔が赤くなっていく。……可愛いなおい。もう呼び捨てに出来ないじゃん。


「じゃあしょろしょろ」


────キュルルルル~


 ……今のは? あ、一体のゴブリンさん(さん付け決定)がお腹抑えて顔真っ赤。恐い顔しているのにリアクションが! 可愛すぎ!

 お腹の音で笑ってしまった私を睨むゴブリンさん。そんなことされたってもう怖くないよ。ふむ、お腹がすいているのならアレあげたら喜ぶかな。確かリュックの中に……。お、あったあった。


「これ、よきゃったらどーぞ」


 うさちゃんリュックから取り出したのは、お父さん特製サンドイッチ。目の前に出したサンドイッチを警戒しながら匂いを嗅ぐゴブリンさん。あ、そうか。初めて見る物だから警戒するよね。

 サンドイッチを一つ取り、見せるように食べる。……うん、美味しい。さすがお父さん。

 私の行動を見て食べ物だと分かったのかおそるおそるサンドイッチに手を伸ばす。匂いをかぎ、一口食べたゴブリンさん達は、固まった。少し固まった後、持っていたサンドイッチをガツガツと食べ始めた。

 持ってきていたサンドイッチが一つまた一つとゴブリンさん達によって無くなっていく。よかった、気に入ってくれた。……でも野生のモンスターにあげてよかったっけ?


 ラスト一つを手に取り食べようとしたゴブリンさんがピタッと止まり、私を見てサンドイッチを見る。ゴブリンさんは私とサンドイッチを交互に見て、顔を背けながらズイっとサンドイッチを出して来た。


「……いいの?」


 これはゴブリンさんのだし貰うのは……ねぇ。聞いても今の状況は変わらずサンドイッチを渡そうとしている。貰ってとこ。


「ありぎゃとう!!」


 サンドイッチを受け取り、笑顔でお礼をを言うと顔を真っ赤にしてもう片方に持っていたサンドイッチに齧り付いた。私も貰ったサンドイッチを一口、一口食べていった。




 サンドイッチを食べ終わったしそろそろ帰ろうかな。立ち上がろうしたら、ゴブリンさんが自分のおでこをトントンとして私に指さした。おでこ? 触ってみると擦り剝いた感じがした。あー、追いかけようとした時に出来た怪我かな。この位なら今持っている薬で大丈夫かな。

 うさちゃんリュックから薬とハンカチ、水筒を取り出す。水筒(水)でハンカチを濡らしおでこの傷を拭いていく。本当なら洗った方がいいかもしれないが、ま、いっか。……なんか見られてる。やりにくっ。

 薬を塗り片づけをしようとしたらゴブリンさんが手を出して来た。


「……ほちいの?」


 聞いてみるとゴブリンさんは頭を縦に振った。


「でもちゃっきつかってつくないよ?」


 それでも縦に振る。うーむ、これはあげて良い物なのだろうか。モンスターに何も与えるなとは聞いてないからけど……。ま、いっか。


「はい。どーぞ」


 よし。手に持っていた薬をゴブリンさんに渡したし、帰るぞー!! ……あっ。


「かえりきゃた、わかんにゃい」


 そ、そうだったー!! いま自分がいる所も分かっていないのにどうやって帰れと! 無理ゲーだろ! 


 私がぐすり初めて仕舞ったものだからゴブリンさん達がアタフタしだした。そのうち一体のゴブリンさん私を抱きかかえようと近付いてきる。い、いやだ。またあの恐怖体験はしたくない。私はとっさに下がった。その後をゴブリンさんがついてくる。いやいやいや、あれを体験するなら今すぐ逃げる。


 逃げる寸前で近付こうしたゴブリンさんの頭を弓を持っているゴブリンさんが叩いた。しかもグーで。痛そー。

 殴られたゴブリンさんは「グオグオ!!」と騒いでいるが叩いたゴブリンさんはスルーして私に近付いてくる。騒いでいるゴブリンさんをもう一体のゴブリンさんが落ち着かせようとしていた。


 近付いて来たゴブリンさんにビビりながらその場に待っていると、少し距離を置いて止まり私にお辞儀した。しかも執事みたいな片手をお腹辺りに置いてお辞儀するやつ。お辞儀したら、私に手を出した。し、紳士ー! 私の目の前に紳士がいるー!

 お辞儀されたから私もお辞儀をしてその手を取った。手を取ったらそのまま森へ連れて行かれる。後から機嫌の悪いゴブリンさんとそのゴブリンさんにビクビクするゴブリンさんが付いてくる。



            *



 ゴブリンさんに手を引かれながら歩くこと数分、街が見える所まで戻ってきた。いやー長かった。


「ここまでちゅれてきてくれて、ありぎゃとうございましゅた!!」


 私がお礼を言いながらお辞儀をすると、照れて顔を赤くするゴブリンさん、お辞儀を返すゴブリンさん、ドヤ顔で仁王立ちしているゴブリンさんとそれぞれのリアクションを見せてくれた。くっそ、ドヤ顔腹立つ。




 ゴブリンさん達に別れを告げて、手を振りながら街へ戻りヤガラシ先生の所へ直行。ヤガラシ先生に取ってきた薬草を渡し、薬を作って兄さん達に飲ませてくれた。私のおでこの怪我は先生に見て貰い、森でのことを根掘り葉掘りお父さんに聞かれあったこと全部言っちゃた。そこからお父さんの説教が、長かった。もうお父さんを怒らせない。


 数日後、兄さん達の風邪は治り元気になりました。

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