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F*ther  作者: 采火
本編

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突然の招待状

はぁ、と一つため息をつく。まぁ、これでも一歩を進めたことには変わりないわ。いくら納得がいかなくてもね。


「それで、大切な隠し部屋を氷漬けにしたことについても教えてくれるよね?」


うわぁ、黒い笑み。いや、あの、あれは不可抗力だから許して?


「私に聞かれても分からないわよぅ。魔方陣を解読したら、夢の中で初代の人が私の中にある魔力を使ったとは言っていたけどぉ」

「ん? 待て。解読したのはお前の方なのか? てっきりもぐりの方かと思っていたんだが」


カリヤが気づいて、サリヤもあっと声を出す。


「魔力の質……」

「俺のと違うから気づいてるかと思ってた」


黙りを決め込んでずずずっとお茶を飲んでいたフィルがようやく口を開いた。


「え、でも魔力ないよね? 現に今も感じないし」

「俺にもわかんねーよ。ニカが倒れてから起きるまでの少しの間だけだっただしなぁ」

「ふぅん……潜在的に魔力自体は持ってるのかなぁ。ま、気になるから念のため氷を採取して調べさせてもらうよー」

「また突発的にああなっても困るしな。俺からも頼みたい。ニカも良いだろ?」

「えー……」

「なんでそんなに嫌そうな顔をするんだよ」


だって調べられたりして、もし私の魔力がグレイシアのと酷似……いいえ、同じなんだって知られたら。……怖いじゃない。

無いはずの魔力が私から放たれたのだから、今は落ち着いていたとしても、また再び同じことが起きない保証もないわ。それを案じてくれるのは嬉しい。慣れない魔力の放出が体に負担をかけるだろうというのは、魔力を使う魔法使いにとって最初に知ることだから。

でも、私は知ってるの。魔力の使い方。体に負担を掛けないで魔力を操る方法。それが伝えられたら、どんなに楽か。

結局、こくりと頷く。私としても、どうして今まで無かった魔力が突発的に引き出されたのか知りたいから。魔力があるってジョージは言っていたけど、そんな表面的に隠されていたって話じゃすまないもの。それほどまでに、ニカからは今まで一切の魔力を感じたことがないのだから。知覚できるなら、とっくにしてるわよ、私が。


「それじゃ、今日はここまでにして、僕はあの部屋を片付けにいくからー。あ、それとカリヤ、自分でお願いをちゃんとするんだよー」

「分かってる」


サリヤはそう言って早々に部屋を退出してしまう。あら?もうちょっと凝った話でもするかと思っていたのに拍子抜けだわ。

だけど、カリヤの方は部屋に残ってる。カリヤから私たちにお話? 珍しいわね。

カリヤの視線は私を向いている。なぁに、私に用なの?


「なに?」

「……いや、お前の人間関係が少し不思議でな」


はい?


「二日後、騎士団主催のの友好会が開かれる。それにニカ・フラメルを招待するよう、団長に言われたのだ」


騎士団の友好会? なんでそれに私が呼ばれるのよ。しかも団長様直々に。ていうか。


「どういうことだ?」

「……ちょっと待って、カリヤ。あなた今どこの騎士団に所属してるの」

「以前は王都の騎士団だったが、サリヤについていくこととなってリコリス騎士団に期限付きで異動している」


あああああ! やっぱり!!

それ絶対にアレックスからの呼び出しじゃないの!! 絶対にアレンを公衆の面前でフッたからじゃないの!

グレイシアと親密にしてた人とは会いたくないのにっ! なまじ、アレックスて勘が鋭いから、一番避けていたのに!

どこから私が王都に来てるっていう情報が漏れたのよ!


「リコリス騎士団の団長って」

「……アレンのお父さんで、うちのお父さんの旧友だそうよ」

「あ、なるほど」


くぅ……! こんなところでアレックスという伏線が……!


「それ、断ることってできないかしら?」

「断る理由もないだろう。貴様らにはとんと縁の無い社交界に出られるんだぞ」

「ほら、お父さんだって極力厄介なことを避けろって」

「団長とタレス・フラメルは旧友なのだろう?」


あ、やばい、今、自分の首をきゅっと絞めた感覚がしたわ。

えー、やだやだぁー。行きたくなーいー。


「ニカ、顔、顔」

「そんな、嫌そうな顔をするほどか?」


全身から嫌だという気配が伝わるんなら嫌なのよ。


「騎士団が主催だが、交遊の場だから色々な人間がくる。現に、サリヤも招待者リストを見ながら行くことを決めている。個人的なコネを求めてな」


だからそれが嫌なのよ。そのメンバーの中に、一体どれだけの人がグレイシアやお父さんと関わっていると思うの。お父さんの娘くらいで見られるのならまだ良いけど、もし万が一、億分の一にでも、グレイシアに関わることがばれたら。このメンバーの中で一番非力なのが私なのよ。厄介ごとには巻き込まれたくないわ。


「ニカ、そろそろ顔がとんでもないことになってんぞ」


うん、嫌すぎるから仕方ないわ。

うえー、て顔をし続けてはいたけれど、結局カリヤの答えは変わらない。


「まぁ、どのみち即答で了承したがな」

「事後承諾かよ」


それ、私に選択肢聞く必要はあったの? 強制連行じゃない。

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