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F*ther  作者: 采火
本編

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34/153

人攫い騎士道

 野菜とー肉とー小麦粉とー。後何が必要かな。

 いや、買う物は決まってるんだけどね。メモ書いてきたし。何か面白そうな物ないかなーって。あんまり早くフィルの所に戻るのは何だか嫌だし。

 服屋のあった裏通りから大通りに出る。しまった、考えごとしてたら思い切り役人の屋敷の目の前に出ちゃったじゃないの。あんまり近づきたくないから、早く去りたいんだけど。

 なるべく目立たないようにとは思うけど、何でこんなに人通り少ないの? 前はもうちょっと人が通ってたのに。やっぱり役人が住み始めたから皆も通りたくないのかな。


「そこの貴様、止まれ」


 ん? 私? ちょっと忙しいから後にして……って、あ。


「おい、逃げるな!!」


 いやいやいや、無理無理無理。この人あれじゃない、馬の暴走の後始末をしに来た赤い騎士様。ややこしくなる前に全力ダッシュで逃げさせて貰います。さよなら。


「待てと言ってるだろうが!」


 パシッと腕を取られてしまう。くっ、やっぱり体格の差があるから逃げ切るのは無理か。フィルからすら逃げきれなかったんだから当たり前か。

 キッと騎士を睨みつけてやる。


「離して」

「駄目だ。貴様には聞きたいことがある」

「離してくれないならロリコンって叫ぶわよ」

「良い度胸しているな小娘。だが、状況はちゃんと把握しろ」


 口の端を上げて凶悪に笑った騎士様は私の腕をぐっと引っ張って、私を抱きすくめた。勿論、私の口を抑えることも忘れずに。

 こいつ……騎士とは名ばかりでその実、荒仕事専門系なんじゃないの。こんな幼気(いたいけ)な女の子捕まえて口ふさぐとか、全っ然っっ騎士道とか反映されて無いじゃないの。


「この間は逃げられたが、今日は逃げられん。私と一緒に来てもらおう」


 口抑えて言うだけ言うなんて、こっちに選択権無いじゃない。私があんたに連れてかれるのって決定事項なの?こっちにも用事あるんだから遠慮くらいしてくれてもいいのよ?というか是非とも遠慮して欲しいんだけど。正直、関わりたくない。

 ぐぐぐっと体を押しやって抵抗してみるけど全然効かないし。何コレ、びくともしない。鍛えてるから?あーもうっ最近の私ってついてなさすぎよ。厄年なの?


「何、少しばかり事情聴取だ。主の前に連れて行く」


 はっ!? 役人の前に連れてかれるの!?

 ちょっとそれは駄目。何が駄目って色々駄目。お父さんが嫌いな役人の元になんて行きたくないし、そんなことになったらフィルにも迷惑かかるじゃない。お父さんの采配も意味が無くなる。それだけは絶対に遠慮させてもらう。

 隙をうかがっていると、横抱きで抱え上げられたので全力で暴れさせて貰う。どうにかしてこいつから逃れないと……!


「暴れるな」


 そしたら今度は肩に担がれた。荷物運び状態。それでも暴れてやる。でも、腕をばたばたして背中を叩いてもびくともしないし、足をめちゃくちゃに動かそうにも抑えられていて動けない。


「ちょっとこの人攫い!」

「違う、任意同行だ」


 明らかに面白がってる声。顔見えなくても分かるんだからね!?

 フィルは追いかけて来てまとわりつくタイプであれはあれでうざかったけど、この騎士はそれ以上にひどい。まさか担ぎ上げられて身動き封じられるとは思ってなかったから油断した。


「離しなさいってば!!」

「主の命だ。我慢しろ」


 こいつ……!

 無事、屋敷から出ることが出来たら、この騎士に関するあることないことを面白おかしく捏造した噂込みで垂れ流してやるっ……!



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