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F*ther  作者: 采火
本編

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22/153

名札があれば見えるわ

「で、俺は自分の事話したぞ。今度はお前の番」

「随分と何でも話すわね」

「別に聞かれて困るものじゃないし。俺がやりたい事あらかじめ知っておいた方が楽だろ? ほらニカ、お前の事も教えろって」


 促されて、少しだけティーカップの中身を見つめる。嘘はつけない。たぶんフィルは見通してしまう。それなら少しだけ、少しだけ、ニカの事を話せばいいかな。


「私が小さい頃、ルギィと一緒にここに来た事があるの。お父さんとケンカして家を飛び出して、ルギィと会ったのはほんの偶然だった」


 私には魔力が無いから、ルギィは見えはしなかった。マントを被って、ルギィって名前の紙をぶら下げて、彼は現れた。今考えると随分と滑稽な格好だったなぁ。

 ルギィは私が生まれたときから、私がグレイシアだって分かってて、時々見守ってたらしい。そこに偶然、泣きながら家を飛び出した私を見て、慌てて保護したんだって。

 お父さんとのケンカの内容は簡単。お父さんが持ってたグレイシアの手記に私が落書きをしたから。たまたまね、見つけちゃったのよ。それで私は自分がグレイシアであるって明かせないのに、いつまでもお父さんがグレイシアを追いかけてるのが腹立たしくて、破り捨てるかわりに、手帳を駄目にしようと色々と落書きをしたんだ。


「お屋敷に三日間いたのよ。その時に色々あさって読んでたの。だからグレイシアの事は少しだけ詳しいかな」


 滞在してた三日の間にルギィがお父さんに説教かましたんだって。いい加減にしろって。グレイシアを忘れろって。説教してきたから、もう帰っても大丈夫だって言ってきた時、ルギィの優しさで胸がいっぱいになったのを覚えてる。その時にもうここには来ないって約束した。だってそれこそ未練がましいじゃない?

 ちなみにルギィとのやりとりは全部筆談。ルギィは水と風の精霊だから、水で宙に文字を書いてくれたの。

 そこにいるって分かってるのに、姿が見えないのも、言葉を交わせないのも、どちらも心が痛い。だけど、私がグレイシアだと知っている存在自体が貴重だから。……今回は、フィルの件はついルギィに甘えてしまった。

 私がルギィを呼ばなかったら、フィルはきっとここにいないんだろうなぁ。私がこの屋敷の敷居を再びまたぐ事も無かっただろうし、そもそもユートと私はこの世にいなかったかもしれない。


「ふぅん……。そうだ、グレイシアの本が読めるってことは、ニカって魔法学が少しは分かるんだよな?」

「独学だし魔力皆無だから、本当に知識程度よ」

「でも知らないわけじゃねーだろ? じゃ、少し手伝ってくれね? 魔具を作ろうとしてるんだけどさ、この屋敷にその魔具作るための材料があるか確認したいんだわ。無いなら明日買うから、確認作業一緒にやってくれるか? ちょっと屋敷が広すぎて一人じゃ無理そうだし」

「私に分かる範囲ならいいけど……」


 材料の確認かぁ。消耗品の類なら確かに確認はしないとだけど。


「何探すの?」

「まずは銀。その後は宝石を幾つか」


 鉱石の類ならたぶん、二階の研究室ではなくて、たぶん地下の倉庫かな。鉱石は、特に宝石の類はとりわけ誰にとっても高価だから厳重に保管してあるはず。


「石の類は地下だってルギィに教えてもったから、探しに行こうぜー」

「今から?」

「おう」


 にこにこ笑うフィルに呆れてくる。何この反応。引っ越してきた家を探険でもするかのようなこの反応は。

 まるで大きい屋敷の地下室ってすげー面白そうだよな! とかなんとか言いそうな反応ね。


「大きい屋敷の地下室ってすげー面白そうだよな!」


 ……ああ、うん。なんか私、フィルの行動が読めるようになった気がするよ。




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