転生したら、愛した人の娘でした
神様ってどうしてこんなに残酷になれるのだろう。期待させておく割には、手酷い裏切りを平気でする。
神様は私を不良品と言った。何が不良品だったんだろうね。私が死んだとき、お詫びに何か一つ願いを叶えようと言った。どうする? と聞かれた私は、私の最愛の人のすぐ側でもう一度生きたいと願った。願ったよ。
でもね、まさかね。赤ちゃんの姿になって暫く目を開けられずにいて、お母さんが生まれてきてくれてありがとうって言ってくれて、幸せな予感がしたのにどうして次の瞬間、どうして絶望の声を聞かなくてはならなかったの。
よく頑張った、ありがとう、そのよく知った声が耳朶を打って、私はハッとしたわ。どうして、何でって。声を上げようとも、歯も無いしわくちゃのお猿さんには何も言えないの。
誰が最愛の人の娘になりたいと言った?
どうしてあの人の娘として私を転生させたの?
ねぇ、神様。どうして?
愛する人が自分の望む愛を返してくれない事を知りながら、私を生かす理由は何。私が願ったから? それなら私、まだあの人のいない世界に生きたかった。
……初めて私が話した言葉は「おとうさん」だったわ。ずっとずっと名前を呼びたくて仕方なかったけれど、無垢な子供であるためにはそう呼ぶしかなかった。私に愛情をたっぷり注いでくれるお母さんはとても良い人よ。でも私は、どうしてもこの体で話す言葉の始まりはあの人にしたかった。
もちろん、あの人はすごく喜んでくれたわ。対照的に私の心はズタズタになったけれど。所詮、子供への親愛は私の欲しい愛では無かったのだから。
そうしてやっと、私は一つの決心を付けることができた。いっそのこと甘えてしまおう。あの人も「おとうさん」も同じ人なのだから、私は思い切り甘えてやろうと考えた。
身体も言葉も自由に操れるようになる頃には、私はすっかりお父さんっ子って呼ばれるようになったわ。ずっとお父さんと手を繋いで、お休みなさいのキスもしてもらって。一緒にお風呂に入ったりはさすがに大人心の私が邪魔をしたから嫌がったけれど。
でもいつまでもそうするのは未練がましい。あの人だって私以外の愛する人が……お母さんがいるのだから。
だから私は期限を区切った。
私の中の明確な線引き。
十六歳。
十六歳の誕生日、つまりは成人を迎えたら、もう甘えるのは終わりにしよう。そう思い続けて今まで甘え続けてきた。そうして今日、十五の誕生日を迎える。
タイムリミットまで後一年。
私は変われるかしら。
少しずつ、大人の準備をしていかないといけない。