羽虫
雪国の夜のようだと、
夜の影を数えて
ついに明かりに追いやられて
街灯の下で、
羽虫が震えている
あれは未来の私かと
私は一人、手を擦る
皓皓と照る
キャフェのテーブルで、
嗚呼人は誰しも
誰かの最もでありたいのだと
そう気づいて
窓ガラスに映る
私の姿を眺めながら、
温くなった珈琲を啜って
点いたり
消えたり
繰り返していた街灯が
力を失い、色をなくせば
羽虫の姿も夜に溶けて
それっきり
それっきり
私は独り、
恐れぬふりをして
両手で孤独を擦り合わせた