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うしろ  作者: 真弥
8/8

■○○○○の場合■

 読み終わった小説を机の上に置いた。


 強張っていた身体を伸ばし、少し唸った。


 気が付けばもう深夜帯だ。


 窓の外も暗くなっている。机の上を照らすスタンドライトも、一段と明るく感じる。

 

 改めて小説の表紙を見た。題名通りの小説だった。そう単純に思った。

 

 話の内容も単純だ。


 主人公が替わっていく短編小説で、それぞれが体験した恐怖体験が描かれていくミステリーだった。


 読み終わったばかりの小説を思い出し、目を瞑った。

 

 そういえば……ある疑問を感じ、再度小説を開いた。


 読んでいる途中に気が付いたのだが、主人公七人の苗字に共通点があった。


 それが気なっていたのだ。


 そこに何か隠されているのでは? 直感でそう感じた。

 

 一人一人の苗字を確認した。


 それだけじゃわからなかったので、引き出しから出したノートに、それぞれの苗字を書いていく。

 

 やっぱり共通点はあった。でも何も隠れているように感じない。


 気のせいだろうか。


 それでも何か気になって、何気なく苗字をひらがなに変換して新たに書いていってみた。


 何も見つからない。

 

 試しにひらがなにした苗字の頭文字を並べて読んでみた。


 でも何も無かった。

 

 気のせいだったのか。


 頭に両腕を回し、天井を見た。そして、もう一度、小説を思い返してみた。

 

 ……そうだ。そうだった。苗字以外に、共通点があった。


 そう思い、改めて自分で書いたひらがなを見つめなおした。

 

 そう、小説の題名。この小説は題名が表す通り、それぞれの物語は後ろや背後に関係する恐怖体験を描いていた。


 だからこの苗字の頭文字を後ろから読んだら……。

 

 謎に気が付いた。


 その瞬間恐怖を感じた。


 そして、知ってしまった事に後悔した。

 

 急に自分の背後に気配を感じた。


 振り向くのが怖かった。


 振り向いたら、自分自身がこの小説の主人公達と同じ結末を歩むように感じた。

 

 恐怖を拭い去るように頭を振った。

 

 

 そしてゆっくり後ろを振り向いた。


 

 完

最終話に出てくる小説は、この小説です。


だから主人公は…。

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