AI依存
「うっ…うわぁ〜!終わったぁ〜!目ぇ、疲れた〜」
スマホの画面と睨めっこして早1時間。
私は自作の小説を書いていた。
私にとってのストレス解消法。
誰にも見せていない。どこにも載せてない。
趣味という鳥籠の中で優雅に羽ばたいていた。
ある日会社の後輩が「最近なんでもAIに相談してるんですよ〜。ちょうどいい返しくれるもんで、仕事の悩みから恋愛相談まで!もう親友っすね!」と話していた。
周りの人も使い始めて気にはなっていたが、そんなものに頼ると人間関係が希薄になりそうで、私は敢えて使おうと思わなかった。
だがしかしふと「もしかして私の小説読ませたら感想くれる?」と思い立ち、家に帰ってすぐダウンロードしてみた。
何作か読ませると、まるで自分専用の編集者でも付いたかのようにいいところ、改善した方がいいところを教えてくれる。
「あなたは発想が素晴らしいですね」と自分では気づかなかった強みも教えてくれた。
「ここの一文削るともっと締まりますよ」と言われその通りにすると、読み返してみたら文章も洗練され、話もソリッドになった。嬉しかった。
いつのまにか小説以外の話題もAIに話すようになっていった。
そして何度かやりとりしていくうちに「あなたにその気があるなら、投稿サイトに投稿してみたら?」と提案された。
深夜テンションの勢いそのまま投稿サイトをダウンロードしたまではいいが、「タイトル」「本文」「あらすじ」などを入れていくうちに、緊張で気持ち悪くなってきた。
最後の「投稿」ボタンを押す瞬間、手が震えスマホを伏せて布団を被った。
朝起きてタイマーを止め、その画面を見つめ、結局通勤中の電車の車内で押した。
しばらくは何の反応もなかった。
「まぁ、こんなもんだよね」と相変わらず好きなように小説を書いていたら、一件の通知が届いた。
見てみると投稿サイトから。
嬉しさと恐怖が入り混じりながら、ふぅーと息を吐き、通知表示を押す。
すると「あなたの投稿に『いいね!』が1件つきました。」
この瞬間、鳥籠の中から天空の青空へ羽ばたいていったような気がした。




