唐辛子を手に入れよう!
皆さん投稿不定期すみません、 ヒロインも出てこなくて,,,,,,,,,,,,,(´;ω;`)ウゥゥ
港に降り立つと、潮と油、それに鉄の焼けた匂いが一気に押し寄せた。
荷を積む音、怒鳴り声、軋む木箱の悲鳴のような音。
それらが入り混じって、港全体がひとつの生き物みたいに動いている。
(……すごいな、ここ)
ユウは立ち止まり、軽く周囲を見渡した。
船長の言葉が頭の奥で反響する。
――唐辛子の粉を手に入れるルートを探せ。
(まずは、売ってそうな場所だな)
そう結論を出し、通りへ足を踏み出した。
並んでいる店は多い。
干物、布、工具、酒場。どこも人が多く、声が飛び交っている。
だが、どの店にも“それらしいもの”はない。
(香辛料自体はありそうなのに……)
小さな違和感が積もっていく。
途中、果物を並べていた老婆に声をかけた。
「すみません。赤くて粉みたいで……かなり辛い調味料って見たことありますか?」
老婆は手を止めて、目を細めた。
「辛い粉ねえ……胡椒のことじゃないのかい?」
「いえ、それよりずっと辛いやつで。食べると舌が痛くなるくらいの」
その言葉に、老婆は少し笑った。
「そんなもん、聞いたことないねえ。あんた、変わったもの探してるね」
軽く手を振られ、会話は終わる。
(……やっぱり簡単じゃないか)
ユウは歩き出した。
次に、荷車を押していた若い男に声をかける。
「すみません。赤い粉のような香辛料を知りませんか?」
「赤い粉?」
男は首をかしげる。
「いや、見たことねえな。粉って言うなら小麦とかそっちだろ」
「辛い調味料なんですけど」
「辛いのなら胡椒か唐辛子って言うんじゃねえのか?」
(唐辛子……?)
一瞬、その単語だけが引っかかる。
だが男はそれ以上知らない様子だった。
(情報が散らばってるだけか……それとも、本当に珍しいのか)
しばらく歩いた末、小さな商店に入る。
外より静かで、木の棚に商品が並んでいるだけの簡素な店だった。
その奥――
ユウは足を止めた。
小さな袋。
その中に、見覚えのある赤い粉があった。
(……これだ)
思わず息を飲む。
だが表情は抑える。
(ここになかったら終わる)
「すみません」
静かに声をかける。
「この赤い粉、もう少し在庫はありますか?」
店主の中年男は、ゆっくりと顔を上げた。
「ん? これか?」
棚を見上げながら、のんびりと手を動かす。
「たしか……どっかにあったような」
(頼むあってくれ……)
ユウは内心で焦りながらも待つ。
やがて、男は小さな袋をひとつ見つけた。
「これしかないな」
「それで全部ですか?」
「そうだねえ。俺も偶然仕入れただけでさ」
店主は袋を指でつまみながら続ける。
「昨日、妙な商人が持ってきたんだよ。東の方から来たって言ってたな」
ユウの耳が反応する。
「その人、今どこに?」
「さあねえ。港の方に行ったのは見たけど、それっきりだよ」
(港……)
ユウは袋を受け取る手を止める。
「……その商人、どんな人でしたか?」
食い気味に聞いてしまい、すぐに言い直す。
「背格好とか、特徴とか」
店主は少し思い出すように目を細めた。
「黒髪の若い男だったな。東方の人間って感じだったよ。荷物も少なかった」
(黒髪の若い男……)
胸の奥が、わずかにざわつく。
「まだこの町にいると思いますか?」
「どうだろうねえ。ただ、さっきまで港の方にはいたよ」
その言葉を聞いた瞬間、ユウは動いた。
店を飛び出す。
外の喧騒が一気に戻ってくる。
(港だ……間に合うか?)
人の流れに逆らうように走る。
視線を左右に走らせるが、黒髪の人間は多い。
(どいつだ……)
焦りがじわじわと胸を締めつける。
そのときだった。
視界の端に、赤が揺れた。
(……あれは)
黒髪の青年。
その手には、小さな赤い袋。
人混みの中を慣れたように歩いている。
「……いた」
声が漏れる。
「待ってください!」
ユウの声に、青年が一瞬だけ肩を揺らした。
足が止まる。
ゆっくりと振り返る。
「……それを探してるのか?」
落ち着いた声だった。
ユウは息を整えながら近づく。
「その粉、どこで手に入れたんですか?」
青年は袋を軽く持ち上げる。
「これか?」
少し間を置いてから答える。
「東の海の向こうだ。俺の故郷の特産品だよ」
その言葉を聞いた瞬間――
ユウの心臓が強く跳ねた。
(――やっと、つながった)
女のときだけ人生がうまくいく件 〜拾った指輪でTSした俺の二重生活〜
もよろしくお願いします!!!!!
明日別作品も投稿するかも




