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女のときだけ人生がうまくいく件 〜拾った指輪でTSした俺の二重生活〜  作者: 生家事


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12/14

競争!!!!!

皆さん、、毎日I投稿にした方がいいのか、2日にI投稿どっちがいいと思いますか?

ギルドを出た四人は、そのまま町の外れにある森へ向かった。


朝の空気はひんやりとしていて、歩くたびに吐く息がわずかに白く揺れる。石畳の通りを抜け、やがて土の道へと変わる頃には、人の気配もまばらになっていた。


荷車の音も、商人の呼び声も、少しずつ遠ざかっていく。


代わりに耳に入ってくるのは、風に揺れる草の音と、自分たちの足音だけだった。


やがて、森の入口が見えてくる。


木々が重なり合い、陽の光を遮るように影を落としている。入口の時点で、すでに空気が一段階ひんやりしていた。


「ここかぁ……」


ミアが少しだけ声を落とす。


さっきまでの元気とは違う、わずかな緊張が混じっていた。


「思ったより暗いね」


レンが周囲を見ながら言う。


「浅い層でも油断はできないよ。視界も音も、町とは全然違うからね」


「分かってるって」


カイルが軽く肩を回す。


その仕草はどこか楽しそうですらある。


「ルール確認な」


振り返って、三人を見渡す。


「多くて、しかも状態のいい素材を持って帰ったやつの勝ち。シンプルでいいだろ?」


「うん、分かりやすい!」


ミアがすぐに頷く。


レンも小さく笑って補足する。


「ただし、危険な深追いは禁止。浅い層だけでやること。そこは守ろう」


「了解了解」


カイルは軽く手を振ると、そのまま森の中へ足を踏み入れた。


「ちょ、ちょっと待ってよ!?」


ミアが慌てて追いかける。


レンもその後ろを落ち着いた足取りで続いた。


――少し遅れて、俺も森に入る。


一歩踏み込んだ瞬間、空気が変わった。


湿った土の匂い。

葉の擦れる音。

遠くで鳴く鳥の声。


外とは別の世界みたいに、音の質が違う。


(……落ち着くな)


視線をゆっくりと巡らせる。


木の幹。

低木の配置。

踏み荒らされた跡。


まだ浅い。

人の出入りも多い場所だ。


少し前を歩く三人の背中が見える。


カイルは迷いなく進み、ミアはその後ろで周囲を気にしながら歩いている。レンはその中間で、時折足元を確認していた。


「ねえ、ほんとに魔物出るの?」


ミアが小声で聞く。


「出るよ。浅いところなら小型だけどね」


レンが答える。


「気配に気づけるようになると、だいぶ楽になるよ」


「気配って、どうやって分かるの?」


「慣れかな。音とか、空気の動きとか――」


そんな会話が聞こえる。


(……まだ慣れてないな)


三人の背中が木々の間に消えていくのを、俺は一度だけ目で追った。


ミアは軽い足取りで前へ進み、カイルは迷いなく奥へ踏み込んでいく。レンは少し後ろから、周囲を確認しながら歩いていた。


それぞれの動きを見てから、俺はわずかに進路をずらす。


同じ場所を歩く必要はない。むしろ同じ獲物を狙う方が効率が落ちる。


(競争ならなおさらだ)


足を止めず、視線だけを地面へ落とす。


踏まれていない落ち葉の向き。

少しだけ削れた土の表面。

折れて間もない細い枝。


一つひとつを“形の違い”として拾っていく。


(……新しい足跡だな)


時間が経った跡は、形が崩れる。

でも今見えているのは、まだ崩れていない。


歩幅と重さを頭の中で組み立てる。


(人じゃない。軽い……小型の魔物)


進む方向を少し変える。


三人のルートから自然に外れ、距離を取る。


足音を殺す。


踏む場所を選びながら、できるだけ音が出ない位置に足を置く。

完全じゃないけど、それでも“気づかれにくい動き”はできる。


森の中は静かだった。


葉が擦れる音が続いていて、その中に小さな鳥の鳴き声が混じる。

風も弱く流れていて、草が同じ方向に揺れている。


その中で――


一か所だけ、違う動きがあった。


――カサッ


右手の茂みが、一瞬だけ揺れる。


俺はその場で止まらず、歩く速度だけをわずかに落とす。


(……風じゃない)


風なら揺れは続く。

今のは一回だけで止まった。


視線だけを向ける。


数秒後。


――カサッ


同じ場所が、もう一度揺れた。


(……なにかいるな)


音を立てないように近づく。


一歩ずつ、踏む場所を選びながら。


完璧じゃない。小さく葉が鳴ることもある。

それでも、大きな音は出さないように気をつける。


茂みの隙間から、影が見えた。


灰色の毛並み。低い姿勢。


小型のウルフ系魔物。


一匹。


まだこちらには気づいていない。


(……いけるか)


風向きを確認する。


わずかに獣の匂いが流れてくる。


(こっちから行けば、バレにくい)


少し回り込む。


慎重に距離を詰める。


一歩。


二歩。


三歩目で踏み込む。


「――っ」


できるだけ小さく、でも迷わず剣を振る。


狙いは首元。


完璧じゃないけど、ちゃんと当たる位置。


手応えが返ってくる。


一瞬だけ抵抗。


そして――


魔物の体が淡く光り、そのまま崩れて消えた。


残ったのは、地面に現れた素材だけ。


牙が一本。

皮が一枚。

小さな魔石。


(……こんなもんか)


しゃがんで拾う。


そのとき、少しだけ手応えが変わる。


(……あ)


いつもの感覚。


《拾得 Lv.4》


発動したときの、あの微妙な違和感。


見ると、牙が一本多い。


それに、表面の傷も少ない。


(今回は当たりか)


毎回じゃない。


出るときと出ないときがある。


だから、あまり当てにしすぎない方がいい。


(でも、スキルが発動したのは運がいいな)


素材を袋に入れる。


雑に入れると傷むから、できるだけ重ならないように。


立ち上がって、周囲を見る。


さっきと同じ森の音。


葉の音も、鳥の声も変わらない。


でも、その中に少しだけ違う動きが混じっている。


草の揺れ方。

わずかな音のズレ。


(……まだいる)


焦る必要はない。


同じように、一匹ずつやる。


うまくいくときもあれば、少し手間取るときもある。

一撃で仕留めきれないこともあった。


それでも無理はしない。


確実に、少しずつ。


――


数十分後。


袋はしっかりと重くなっていた。


見た目よりも中身が詰まっている感じ。


(これで十分かな)


これ以上やっても、疲れるだけだ。


来た道を戻る。


開けた場所に出ると、カイルが先にいた。


肩で息をしている。


「はぁ……おう、遅かったな」


声はいつも通りだけど、疲れているのは分かる。


「そっちは?」


カイルがまだ息を整えきれていないまま、顎で自分の袋を示した。


「見りゃ分かるだろ……結構走り回ったしな」


言いながら袋の口を開く。


中には牙や皮がぎっしり詰まっていた。数は確かに多い。だが、ところどころ血が付いたままだったり、切り口が荒かったりと、状態にはばらつきがある。


(……量はあるけど、処理が雑だな)


そう思いながら視線を上げると、カイルがこちらを見ていた。


「お前は?」


短く聞いてくる。


俺は特に気負うこともなく、袋を差し出した。


カイルが無造作に中を覗き込む。


そのまま数秒、動きが止まった。


「……は?」


間の抜けた声が出る。


袋の中に手を入れて、一つ取り出す。


牙。


光にかざして、角度を変える。


「……なんだこれ」


表面を指でなぞる。


「傷、ほとんどねえぞ……?」


今度は皮を引っ張り出す。


広げて、しばらく黙って見たあと――


「いや、ちょっと待て。これもおかしくないか?」


顔を上げてくる。


「どうやったんだよ」


「普通にやっただけだけど」


「いや、その“普通”が分かんねえんだって……」


苦笑しながら頭をかく。


もう一度袋の中を見る。


「数もそこそこあるし……なんだこれ、すごすぎだろ」


「無駄に動いてないだけだよ」


「いや、それができねえんだって普通は」


半分呆れたように、半分納得したように息を吐く。


「俺、ずっと動き回ってたぞ?見つけては追って、逃げられて、また探して……って感じでさ」


「だろうな」


「なのにこの差かよ……」


悔しそうに笑いながら、袋を返してくる。


ちょうどそのタイミングで、ミアとレンも戻ってきた。


「どう!?どっちが――って、もう合流してる!」


ミアが駆け寄ってくる。


「結果どうなったの!?」


カイルは何も言わず、俺の袋を指さした。


ミアが首をかしげながら覗き込む。


「……え?」


そのまま固まる。


「なにこれ……」


一つ手に取る。


「めっちゃ綺麗じゃない?これ、同じ魔物の素材だよね?」


レンも横から確認する。


「……これは確かにすごいね。処理が丁寧っていうより、そもそもの状態がいい」


視線がこちらに向く。


「ユーナさん、何かコツとかあるの?」


「別に」


軽く肩をすくめる。


「無駄に動かないようにしてるだけ」


カイルがすぐに口を挟む。


「それができるやつが少ねえんだよ」


「そうなのか?」


「そうなんだよ」


はっきり言い切る。


それから少しだけ悔しそうに笑った。


「……今回は完敗だな」


あっさり認める。


でも、そのまま終わらない。


顔を上げたときには、さっきまでと同じ目をしていた。


「でも次は負けねえからな」


(元気だな)


「好きにすれば」


そう返すと、


「その余裕、ちょっと腹立つな……」


そう言いながらも、楽しそうに笑った。


――その横で。


ミアは少しだけ違う反応をしていた。


じっと袋の中身を見たまま、少し考えるように黙る。


(……?)


やがて顔を上げる。


「……すごいね、ユーナさん」


声のトーンが少しだけ落ちている。


「私も結構頑張ったつもりだったんだけどなぁ……」


小さく笑う。


でも、その笑いはさっきまでより少しだけ固い。


「なんか、ちょっと悔しいかも」


(……ああ)


納得する。


レンが横で穏やかに言う。


「いい刺激になったんじゃない?」


ミアは一瞬だけ考えてから、小さく頷いた。


「……うん。次は負けない」


横を見ると、カイルも同じように笑っていた。


「俺もだ」


小さく息を吐く。


(面倒だけど――)


三人を見る。


さっきより少しだけ距離が近い気がした。


(まあ、悪くないな)


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