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女のときだけ人生がうまくいく件 〜拾った指輪でTSした俺の二重生活〜  作者: 生家事


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11/13

俺の名前はカイル!!!!

皆さんよかったら☆評価お願いします””

翌日。

ギルドの扉を押して中に入った瞬間、空気の中にわずかな“視線の偏り”を感じた。


昨日ほど露骨ではない。けれど、確実にこちらを知っている者の目だ。


依頼掲示板の前にいる冒険者、受付横で雑談している二人組、奥のテーブルで食事をしている連中――それぞれ一瞬だけこちらを見て、すぐに逸らす。

だが、その一瞬が妙に揃っていた。


(……またか)


昨日の一件が尾を引いているのは間違いない。

面倒だな、と内心で小さく息を吐く。

目立つつもりはなかったのに、結果だけ見れば完全に目立っている。

気にせず掲示板へ向かおうと足を動かした、そのときだった。


「お前!!やっぱり来たな!!」


横合いから勢いよく声をかけられる。

振り向くと、昨日壁にもたれてこちらを見ていた男が、まっすぐ歩み寄ってきていた。


同じくらいの年頃。無駄のない体つきで、軽装の装備もよく手入れされている。


昨日は静かに観察している印象だったが、今日は打って変わって感情が表に出ていた。目が妙に輝いている。


(……テンション高いな)


「何か用?」


できるだけ淡々と返す。だが男はまったく気にせず、ぐいっと距離を詰めてきた。


「昨日のことだよ」


少しだけ声を落とす。


「お前、やばかっただろ」


(……やばい、ね)


「別に」


短く返す。だがカイルは首を横に振った。


「いや、分かるって。強いやつって、ああいう空気になるんだよ」


(……いや、それは違うだろ)


内心で軽く突っ込む。


(あいつらが勝手に寄ってきただけだ。しかも理由はだいたい想像つく)


昨日、妙に距離を詰めてきた連中の顔が浮かぶ。


(どうせ“女だから”って軽く見て、様子見に来ただけだろ)


少し動いたら態度を変えただけ。


(都合いいな、本当)


カイルの言葉とは少しズレている。

けれど――


「周りがざわついてるのに、お前だけ全然違った」


一歩だけ引いて、全体を見るようにこちらを眺める。


「なんていうか……余裕があるっていうか、慣れてるっていうか」


少し考えて、結局そのまま言い切る。


「――ああ、こいつ強いなって思った」


(……直感か)


雑な言い方だけど、的外れではない。

さっきの連中みたいな軽さもない。

ただ“そう見えたからそう言っている”だけの目だ。


(……まあいいか)


「で?」とだけ返す。


「だから気になった」


カイルはあっさり言った。


「――ああ、そうだ。言ってなかったな」


軽く顎を上げる。


「俺の名前はカイル」


短く、まっすぐな自己紹介だった。


「……ユーナ」


一応返す。

カイルは満足そうにうなずいた。


「よし」


(何がよしなんだ)


そして少しだけ真面目な顔になる。


「それでさ。よかったら、一緒に依頼やらないか?」


さっきまでの勢いとは違う。

少しだけ落ち着いた、まっすぐな誘い方だった。


(……なるほど)


ただのノリじゃない。

ちゃんと見て、判断して、声をかけてきている。

それでも答えは変わらない。


「断る」


即答。

カイルは一瞬だけきょとんとした顔をしたが、すぐに苦笑した。


「まあ、いきなりは無理か」


あっさり引いた……ように見えたが、目はまだ諦めていない。


「でも、また声かけると思う」


「やめて」


「善処する」


(やめる気ないな、これ)


そのとき。


「ユーナさん!」


明るい声が響いた。

振り向くと、ミアがこちらに手を振りながら近づいてくる。その後ろにはレンもいた。


「おはよー!」


「……おはよう」


軽く返す。

ミアはカイルに気づいて、足を止めた。


「えっと……誰?」


「カイル。昨日ちょっと話した」


簡潔に答える。

カイルは軽く手を上げた。


「どうも。ちょっと興味あって声かけただけ」


さっきより落ち着いたトーンだ。


(外面いいな)


ミアは「ふーん」と言いながら、こちらとカイルを交互に見る。


「で、何の話してたの?」


「一緒に依頼やらないかって」


レンが少し意外そうに眉を上げる。


「へえ」


ミアは少し考えてから、にやっと笑った。


「じゃあさ、せっかくだし勝負しない?」


(嫌な予感しかしない)


「勝負?」


カイルがすぐに食いつく。


「同じ依頼受けて、どっちが成果出せるか。シンプルでしょ?」


一瞬の沈黙。


「……面白そうだな」


カイルが素直にうなずく。


(乗るのかよ)


ミアはさらにこちらを見る。


「ユーナさんも参加ね」


「断る」


即答。

だがミアは気にせず笑う。


「一回だけでいいから!ね?」


レンも苦笑しながら肩をすくめた。


「まあ、経験にはなると思うよ」


(……面倒だな)


正直、乗る理由はない。

でもここで完全に避けると、余計に絡まれそうでもある。

少しだけ考えて、息を吐く。


「……一回だけ」


折れる。

ミアがぱっと顔を明るくする。


「やった!」


カイルも満足そうにうなずいた。


「じゃあ、軽めのやつにしよう。無茶しても意味ないしな」


(最初からそれで来い)


四人で掲示板の前に立つ。

紙の束の中から、ミアが一枚を指さした。


「これどう?」


近郊の魔物討伐。難易度は中程度。

レンが内容を確認してうなずく。


「妥当だね」


カイルも同意する。


「うん、ちょうどいい」


自然に話がまとまっていく。


(……もう決定か)


小さく息を吐く。

完全に巻き込まれた形だが、悪くはない。


「じゃあ受付行こ!」


ミアが先に歩き出す。

カイルも続き、レンもその後ろへ。

少し遅れて歩きながら、私は周囲をもう一度だけ見た。

さっきまで感じていた視線は、いつの間にか薄れている。


(……まあいい)


前を向く。

昨日とは違う、少しだけ騒がしい日。

それでも――

(退屈はしなさそうだな)

そう思いながら、私は三人の後を追った。


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