第12章:辺境の女王、幸福の旋律を奏でる未来へ
アメリアの毅然とした選択は、国王とエドワード王子、そして国民全体に深い感銘を与えた。自らの潔白を証明されてもなお、権力や名誉ではなく、自らの手で築き上げた辺境の地での生活を選んだアメリアの姿は、真の王族の鑑であると称賛された。
「アメリア・フォン・ヴァレンシュタインの功績、そして、その清廉な心に深く敬意を表する」
国王はアメリアの選択と功績を認め、一つの勅命を下した。グリムロック村とその周辺地域を、アメリアが治める新たな「ヴァレンシュタイン侯爵領」として設立することを許可したのだ。アメリアは、名実ともに辺境の地で「女王」となる。しかし、彼女の視線は、王都ではなく、いつも足元の土と、隣に立つレオンハルト、そして村人たちへと向けられていた。
エドワード王子は、アメリアに深く謝罪し、和解した。彼はアメリアから、真の豊かさとは何かを学んだのだ。これまでの自身の過ちを心から反省し、真に国民を思い、国を豊かにする王としての道を歩み始めることを誓った。彼の治世は、やがて公正で慈悲深いものとなり、王国は安定と繁栄を迎えることになる。聖女カレンもまた、アメリアの強さと優しさに触れ、自身が何のために「聖女」として存在するのかを再認識した。彼女は王宮にとどまることを選び、自身の能力を活かし、国の慈善活動や教育の分野に尽力するようになる。
『アメリアの庭』は、ヴァレンシュタイン侯爵領の中心として、さらなる発展を遂げた。その名は王国随一の美食の殿堂として轟き、遠方から訪れる客が絶えない。ルイスの料理はより一層洗練され、彼は王国で最も尊敬される料理人となった。レオンハルトは侯爵領の執政官としてアメリアを支え、共に土地を豊かにすることに尽力した。
そして。
「レオンハルト様……」
「アメリア。俺は、ずっとお前と共にこの土を踏みしめて生きていきたい」
アメリアはレオンハルトと結ばれた。質素ながらも温かい結婚式には、村中から祝福の声が響き渡った。彼女は真実の愛と、温かい家族、そして大切な仲間たちとの絆を手に入れた。数年後、彼らの間には愛らしい子供が生まれ、アメリアの人生はさらに彩り豊かになった。
かつての公爵令嬢アメリア・フォン・ヴァレンシュタインは、王都の虚飾とはかけ離れた、土と炎、そして愛に満ちた真に豊かな人生を歩んでいた。彼女が求めたものは、名声でも権力でも、ましてや復讐でもなかった。自らの手で築き上げた幸福と、愛する人々と共に生きる真の豊かさ。グリムロック侯爵領は、アメリアの愛と情熱によって、王国で最も豊かで幸福な地域として、歴史にその名を刻むこととなる。




