誘いの言葉、はじめてのオファー
「これ、自分で作ったの?」
「え? あ、うん……趣味で。こういうの作るの、楽しくて」
光は少し照れたようにスケッチブックを抱え直す。
「へえ、すごいな……。なんていうか、ちゃんと“伝えるデザイン”になってるよね。
うち、広告系の会社やっててさ。こういうの見慣れてるけど、これは目を引く」
光の手が止まった。驚いたような、でも嬉しそうな顔だった。
「……ほんとに? 今まで、そう言われたことなくて」
「マジで。正直、びっくりした」
「でも、俺……学校でちゃんと学んでるわけじゃないし、知識とか全然なくて……」
光の声には、期待と不安がないまぜになっていた。
俺はその揺らぎを受け止めるように、“鑑定”を起動する。
───《鑑定結果》────
名前:佐藤 光(17)
感情:戸惑い(本心)
内心:「本当は、誰かにちゃんと見てもらいたい。でも笑われたらって思うと怖い……」
信頼度:+8
スキル傾向:デザイン構成:S / 色彩感覚:A
特性:即興スケッチ/広告構成/配色バランス
向いている職業:グラフィックデザイナー/広告プランナー
将来性:技術面は高水準。実践と成功体験を重ねれば、大きく成長する可能性大。
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なるほど。やっぱり、そういうことか。
「君さ、誰かにちゃんと見てもらいたいって、思ってるよな」
光の視線が上がる。目がわずかに揺れていた。
「でも怖い。笑われるかもしれないし、期待されるのも苦しい。……違う?」
「……なんで、それ……」
「なんとなく。でも、俺には君の作ったものがちゃんと伝わったよ」
少し沈黙があってから、俺は言った。
「いきなり何かお願いするつもりはない。ただ、うちの会社に一度来てみてほしい。
空気を感じてもらって、それで“何か”を感じたら、その時は、何か始めてみよう」
光はしばらく黙っていたが、やがて小さく頷いた。
「……見に行くだけなら」
「ありがとう。それで十分だよ」
目の前の少年が抱えている迷いは、きっと誰にでもある。
でもその一歩を踏み出せたなら――それは、もう“才能”なんだ。




