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やけくそテイマー、勇者御一行をテイムする   作者: 成若小意


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 さて、レベッカがテイムしたこの勇者御一行。――世間の評判は今一つだった。



 まずは勇者アデル。


 勇者と言っても、別に勇敢な者でも、魔王を倒すために国王に任命された者とかでもない。ただの職業ジョブだ。つまり他にも勇者はたくさんいる。


 主にフィールドでハントを行うチームにおいて、先頭に立つ者、方針を決める者、いわばリーダーとなる者が勇者というジョブを名乗る。他のジョブとも兼任可能なので、大抵が剣士を兼任している。


 アデル自身は剣士であり、なかなかに見目のよい男であった。上背もあり実用的な筋肉もついている。少し長めに伸ばした金髪に甘いマスクなので、女性陣からの評判が良かった。反面、男性の同業者からはやっかまれることも多かったが。


 しかし、内面にやや問題があった。


「劇場型人間?」


 レベッカは目の前に浮かぶ文字情報を指でなぞりながらそうつぶやく。


 現在一行は、チーム・アデルの腕前を確かめるために近場のフィールドへ向かっている。その最中メンバーのステータスを確認するレベッカ。


 そのステータスのなかに見慣れない言葉が浮かんでいた。


「いったい何だっていうんだ、この女は。まさか、この俺の特異性を見抜いたとでもいうのか」


 先頭を歩くアデルは顎を撫でながら何やら思案をする。その動きはやや芝居じみていた。


 そんなアデルが率いるのだから、メンツも癖のある者ばかりだ。




 アデルにぴったり張り付いて行動しているのが、弓使いの女、リアナ。


 ハントをしに来ているのか、アデルとおしゃべりに来ているのかわからなくなるくらい、常にアデルにべったりだ。豊満な肉体に艶のある声音で話すので、こちらは男性陣からの評判がよく女性陣からは顰蹙を買っている。


 リアナの性格はシンプルで、『金を稼ぐ強くて格好がいい男が好き』との説明で十分だろう。


「あんな布面積の狭い防具、意味あるのかしら。防具をそろえてやる必要がありそうね」


 色気に関心がないレベッカのこの発言に、リアナはキッと睨みつけ、何か言ってやろうと口を開くがアデルに止められて、また黙々と歩いていく。 


「えっと。リアナは……恋愛脳?」


「アデル~。ねえ、あの人こわ~い」


 新種の虫を見つけたかのようにリアナを見つめるレベッカをよそに、リアナはアデルに抱きついて歩いていく。



 対して、ヒーラーのジョブについているのはメリッサ。こちらも女性だが、全身を黒いローブで覆い隠していて、その素顔をさらすことはあまりない。顔を見られてはいけない犯罪者、というわけでもなく単に極度の恥ずかしがり屋なだけなのだが。


 メリッサは、アデルに「顔に傷がついたら困るから、ヒーラーは必須」という理由で金で雇われたメンバーだ。控え目なので男好きのリアナと対立しないというのも雇われた理由の一つである。お金が必要だということ以外はメンバーもメリッサのことをよく知らない。


「メリッサちゃんとは気が合いそう」


 というレベッカの言葉に「ひっ」と悲鳴を上げて、小走りで前に進むメリッサ。


 レベッカの前に浮かぶ文字は『人を呪うヒーラー』



 そして最後のメンバーは、タンク。名前はダフ。敵陣突破要員であるので、体格がいい。荒々しい者が多いこの業界において、たれ目の丸顔という温和な顔をしている。


 そして、実は性格が悪い。ダフはよからぬたくらみをもってこのチームに入ったのだが、表向きは『優しく頼りになるダフさん』で通っている。


「私と同じで優しそうね」との発言に、ダフはニコッと笑っただけだ。


 ちなみに、ダフのステータスに表示されているのは『笑顔の守銭奴』。


 このように癖の多いメンバーなので、全員ある程度の実力は持ちつつも、ランクを上げることができないでいた。


 そうして中級でくすぶっているところで、不運にも狂人レベッカにテイムされた、ということだ。




 テイムをしているレベッカには細かなことまではわからないが、こうやってある程度の性格や特徴もステータス開示と呼ばれる魔法を使ってみることができる。


「なんだか、まともな人がいませんね」


 溜息を吐くレベッカに一斉に顔を向ける四人。


「「「「お前には言われたくない」」」」


 ばらばらだったチームが、初めて声をそろえた瞬間だった。

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