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集団か? 単独か?




レン達は森の中を慎重に、探索を続けた。

しかし、なかなか標的の魔物が見つからない。


最初のブラックウルフを倒して、また三十分が経過しようとしていた。




「こんなに出会わないもの?」



レンは少し焦りを滲ませた。




「多分、他のパーティーも狩ってる所為だな」




フウマはしゃがみ込み、地面に残る僅かな痕跡を指でなぞった。

乾いた泥に刻まれた爪痕、獣の毛が絡まる茂み、そして血の匂いが仄かに漂う空気。


この短時間でも、敵の特徴や修正などを知るには、十分過ぎるほどの情報をフウマ生えていた。




「…ブラックウルフの習性から考えると、通常は群れで移動する筈だ」




フウマが静かに呟く。


その視線の先には、木の幹に擦りつけられたような、黒い毛が数本絡みついていた。




「でも、こっちには単独で行動している痕跡しかないね」




レンが首を傾げる。


通常、狼のような魔物は群れを作り、その中で序列を持つ。

しかし、見つかるのは単独で動いているような痕跡ばかりだった。




「群れが散り散りになったのか、あるいは…」

「もう狩られた後、という可能性もあるね」




フウマは少し険しい表情を浮かべた。



ーー暫く歩き回った後、彼らはある場所に辿り着いた。




「…奴らの住処だな」




目の前に広がるのは、土と岩で囲まれた大きな窪み。

周囲の木の根が絡みつくように巣穴を覆い、僅かに獣臭が漂う。

中を覗くと、其処には誰の姿もなかった。




「空っぽですね…?」




ディーネが小さく呟く。

レンは慎重に周囲を見回した。


もし中にブラックウルフが潜んでいたら、飛びかかってくる可能性もある。

だが、そんな気配は何処にもない。




「やっぱり、もう狩られた後みたいだな」




フウマが住処の中に散らばる足跡を確認しながら言う。

土に残る無数の爪痕と、血の飛沫がそれを物語っていた。


その微かな血生臭い匂いに、ディーネがs腰だけ顔を背けた。




「大丈夫?」

「え、えぇ…ちょっと吃驚しただけです…すみません」

「フウマ、先に外へ出てるね」

「あぁ」





レンはディーネの身体を支えるように、その住処から足を遠ざけた。

顔色の悪そうな彼女は、本当に申し訳なさそうに頭を下げていた。


辛い時は無理をしない方がいい。




それにしても、あの住処の惨状にはレン自身、顔を顰めるしかなかった。




もしかして、あの冒険者達がやったのだろうか。


…でも、こんな徹底的に狩るものなのか?



あるいは、他の魔物の仕業かも知れない。

寧ろ、その方がいいとさえ思う。


同じ人間が、そんな悪行するなんて考えたくなかったから…



フウマが立ち上がり、巣の奥へと歩み寄る。

其処で彼は、一つの異変に気がついた。




「これは……?」




住処の奥の地面に、何かの足跡が残っている。

しかし、それはブラックウルフのものとは明らかに違っていた。

大きさも形も異なり、爪の跡が異様に深い。




「ブラックウルフよりも、ずっと大きいな」

「そうだな――ってチビ?」




てっきりレン達と一緒に離れていると思っていたが、余りにも普通に其処に居たので、フウマは少しだけ驚いた。




「でも…住処を争っていた訳じゃなさそうだ」

「…血の臭いがするのにか?」

「やったのは人間だ」




淡々とそう告げるマオは、ふいっと顔を背けてレン達の元へ向かった。


彼の言う通りなら、やはり住処はあの冒険者達に荒らされたのだろう。

クエストの為とは言え、魔物や森の生態を脅かしてまで、やっていい事とは到底思えなかった。




「…同じ事をやっている俺達が、言えるセリフじゃねぇ、か…」




程なくして、フウマはレン達の元に合流する。

ディーネの顔色を窺えば、彼女はにこりと笑みを見せた。




「すみません。大丈夫です」

「無理すんなよ」

「はい…ブラックウルフさんはどうでしたか?」

「既に狩られた後だ。他を探してみよう。足跡が続いているからまだ居るかも知れない」




フウマは指で足跡をなぞりながら、推測を巡らせる。




「警戒しながら進もう」




レンの言葉に、全員が頷いた。




足跡を辿りながら森を進む。


しかし、ようやくブラックウルフを見つけたと思えば、全く別の魔物だった――と言う事が何度も続く。




「あぁ、またか…」




レンが溜め息を吐いた。


目の前にいるのは、赤黒い鱗を纏った四足歩行の魔物。

鋭い爪と長い尾を持つが、此方を敵視する様子はない。

ただ、じっとこちらを観察しているだけだった。




「こいつはブラックウルフじゃないな…」

「敵対して居ないなら、此方も戦う必要はありませんね」




ディーネが安心したように言うと、レンも頷いた。




「無闇に戦闘するのは無駄だからな」




フウマも同意し、彼らはその場を離れる事にした。

それは、敵意もなければ、ただの好奇心なのかも知れない。


じっと見つめていたかと思えば、一定距離を取りつつもしっかりついて来る魔物達。

警戒心はないのだろうか。




「フ、フウマ。着いて来るけど…?」




しかし、フウマは気づかない振りをする事を選んだ、



「…勝手について来られるのだけは、どうにも出来ないしな」




背後に感じる視線を振り払うように、レン達は先へと進んで行くのだった。




そんな時、森の中から一人の冒険者が姿を現した。




「おっ? お前らは…」




それは、先ほど入り口で出会ったパーティーの一人だった。

片方に派遣、もう片方には盾を構えた『ナイト』の冒険者。


しかし今、他のメンバーは傍に居ない様だ。




「お前ら、どんな感じ?」

「やっと一体倒せたところかな…」




レンは少し恥ずかしそうに答える。




「へぇ、一体か。俺はもう三体狩ったぜ」


「「…え?」」




レンとディーネが驚きの声を漏らす。




「たった一人でか?」




フウマが鋭く問う。




「おう。他の奴らもそれぞれ別行動してる。誰が一番多く狩るか、競争してんだ!」

「まるで『遊び感覚』だな?」

「そりゃそうさ。こいつぁ、腕試しみたいなもんだっ」

「でも…一人で戦うのは危険ではないですか?」




ディーネの声には心配の色が滲んでいた。


無理もない。

彼女は回復役として、仲間が無謀な戦いを挑む事を何よりも恐れていた。

それでも冒険者は自信満々に笑い、持っている武器を誇らしげに見せつけた。

ディーネが思わず言う。




「ははっ、大丈夫大丈夫。この装備のおかげでな!」




それは確かに高級な装備だった。


洗練された装飾、鍛え抜かれた金属の輝き。

そして何よりも、その武器や防具には普通の冒険者では手が届かないほどの価値があることが、一目で分かった。


装備一つ一つに『追加効果』が沢山エンチャントされている。

沢山並んでいるその効果を把握するのも、大変そうだ。




「凄い装備だね…」




レンが感心したように呟いた。

その時、不意にマオが小さく首を傾げた。




「でも…」




彼はじっと冒険者の持つ、大きな盾を見つめていた。




「どうしたの、マオちゃん?」




レンが尋ねると、マオはそっとその小さな手を伸ばし、盾の一部分を指差した。




「此処、ちょっとヒビが入ってる」




冒険者は目を細め、マオが示した部分を覗き込んだ。


見た目にはまったく綺麗なままだ。

ピカピカに磨かれた盾に傷などあるようには思えなかった。




「何処だ?」

「此処」




マオがもう一度指差した。


その部分をよく見れば、確かに細いヒビが入っている。


言われなければ気づかないほどの小さな傷。

しかし、それを見つけたマオの目は真剣だった。


冒険者は一瞬だけ怪訝な顔をしたが、次の瞬間には豪快に笑い飛ばした。




「ははっ。そんな小さな傷、大したことないさ!」




自信たっぷりに言い放つその声は、何処か誇らしげですらあった。




「小さな子どもは、細かいものを見つけるのが得意だなっ!」




からかうように笑う冒険者。

しかし、マオは真剣な表情を崩さなかった。




「…たったそれだけの傷でも、命取りになる事だってあるんだぞ」




その言葉に、レンは思わず息を呑んだ。

いつもの子どもっぽさは其処にはなく――マオの瞳には、確固たる信念が宿っていた。



ただの杞憂ではない。

彼女はこれまでに何度も、些細な油断が命取りになる瞬間を見てきたかのようだ。


しかし、冒険者はそれでも笑い飛ばす。




「お? 心配しすぎだって! こんなもん、戦いの中でいくらでも付く傷だろ?」

「戦いの中で出来た傷なら、尚更慎重にならなきゃいけないんじゃないか?」




マオの声は冷静だった。




「盾は、お前を守る最後の砦だろ?」

「お、おぉ…何か怖いな?




その言葉に、流石の冒険者も言葉を詰まらせた。




「まあ、忠告ありがとうよっ。俺は行くぜ。お前らも頑張れよ!」




冒険者は軽く手を振り、再び森の奥へと消えていった。




「…やばいよ。本当に先を越されちゃう…!」

「こ、此方も手分けして探した方がいいんじゃ…!?」




レンとディーネの焦りが募る。

しかしフウマは、断固としてディーネの提案を、受け入れようとはしなかった。




「いいかお前ら。俺達は俺達のやり方でやるぞ」




焦って動くのは得策ではない。

フウマはそう判断し、慎重に進める事を決めた。




「集団行動を選ぶ。これが、俺達のやり方だ」




そう言って、彼は先へと歩を進めた。






〇迷子の魔法使い〇




レン達は森の中を慎重に進みながら、次の標的を探していた。

気づけば空はすっかり暗くなり、森の木々が影を落とし、不気味な静寂が漂っている。




「そろそろヤバいな…視界が悪くなって来た」




フウマが低く呟く。




「夜になると、魔物によっては動きが活発になる。ブラックウルフは夜目が聞く。こっちが見つける前に、向こうから襲ってくる可能性が高い」


「こんなに探しているのに見つからないなんて…」




ディーネがロッドを握りしめ、不安そうに言う。




「もう、全部狩られてるのかな…」

「全滅と言う事はないと思いたいがな」




ブラックウルフの遠吠えは、森の中で何度か耳にする事があった。


鬱蒼とする森の中で、レンは密かに耳を集中させる。

仲間を呼んでいるのだと解っても、何処に居るのかまでは把握が出来ない。

四方八方あらゆる方向から、特有の遠吠えが聞こえてきているように聞こえてしまい、なかなか特定に至らないのだ。


昼間と違い、視界が悪くなるこの状況では、ブラックウルフにとって有利すぎる。

慎重に進むべきだった。




「暗くなってきましたね…」




ディーネは静かに呪文を唱え、ロッドの先端に灯りを灯した。


淡い光が周囲をぼんやりと照らし、僅かに視界が確保される。

彼女のお陰で、真っ暗な森の中を彷徨い歩かずに済みそうだ。

洞窟の時だけじゃなく、常に松明なんかも揃えておくべきだと、レンは今回のクエストで少し学んだ。



その時、ガサガサッと、茂みが揺れる音が響いた。




「来るぞ…!」




フウマがすかさずクナイを構える。

レンもダガーを抜き、ディーネも防御の準備を整えた。


しかし、茂みから飛び出して来たのは…意外な存在だった。




「――っ!」




姿を現したのは、一人の女性だった。

昼間、レン達が遭遇した別のパーティーの一員。


しかし彼女は、今やボロボロのローブを纏い、明らかに疲れ果てた様子で、震える足取りのままレンたちの方へと走ってきた。




「人…人がいる…! よ、良かった…!」




彼女は涙ぐみながら、レンの腕を掴んだ。

その表情には安堵と疲労が入り混じっていた。




「どうしたんですか? そんなに疲れ切って…」




レンが心配そうに問いかける。




「迷ったの…! 仲間とはぐれちゃって…!」

「はぐれた? お前ら、ブラックウルフを狩る競争してんだろ?」

「あ、あんな脳筋共と一緒にしないでくれるっ!?」

「元気じゃねーか」




先程まで弱々しかった筈だが、怒りと共に疲労を忘れてしまったのだろうか?




その魔法使いは、やはり昼間会った冒険者達の一員だった。

彼女のパーティーは、各自5体のブラックウルフを討伐すると言う方針を決め、個別行動を取っていたらしい。

しかし、魔法使いは単独で5体を倒したものの、いざ仲間と合流しようとすると、森の構造が変わったかのように同じ場所をぐるぐると彷徨う事になったという。




「コンパスも役に立たないし、通信機も繋がらない…」




彼女は疲れ果てた様子で、溜息を吐いた。




「戦闘の音が聞こえれば、そっちに向かおうとしたんだけど、着いた頃にはもう終わってたし…逃げ続けてもうクタクタ。おまけに出口は見つからない。ブラックウルフを相手にした所為で、魔力もすっからかんよ。魔法職を一人にさせるとか、あいつら馬鹿なのっ!?!?」


「どうどう…」




次から次へと出て来る愚痴の数々。

本当に彼女は大変な時間を過ごしていたのだろう。


たった一人でブラックウルフを相手にするのなら、魔力も温存する暇もなかったのだろう。

本来なら、魔法職はパーティーを組んだ方が効率はいい。

無駄に魔力を消費する事はないし、敵に襲われれば体力の少ない魔法職がピンチになるのは目に見えている。

他に仲間が居れば、彼女を護ったりとフォローする事で魔力回復を測れるのだろうが、次から次へと現れるブラックウルフの群れに、最後はもう逃げ回っていたそうだ。




「た、大変ですね…」

「まさか回復アイテムも持たずに、単独行動してたのか?」

「少しは持ってたわよ…でも、全部使っちゃったの」




魔法使いはバツが悪そうに視線を逸らした。




「すぐ合流出来ると思ってたんだから…」

「単独行動の危険性を甘く見すぎだよ」




フウマは呆れたように言った。




「迷ってる内にブラックウルフの群れに囲まれてたら、今ごろあんた、喰われてたぞ」


「ひぇ…っそ、それは…解ってるけど…!」




魔法使いは悔しそうに唇を噛んだ。




「ま、まあまあ、今はとにかく落ち着きましょう」




ディーネが優しく声をかける。




「疲れたでしょう? 温かい物でも飲んで、少し休んで下さい」




ディーネはカバンからマグカップを取り出し、粉末状のスープを溶いて彼女に手渡した。

因みに、お湯はスライムの『ぷちっとふぁいあ』で沸かしたものである。

此処でも彼は『えっへん!』と、鼻高々にドヤ顔をした。


はて、スライムに鼻ってあるのかな。




「…ありがとう…」




魔法使いはマグカップを両手で包み込み、ゆっくりとスープを口に含んだ。

その温かさが、冷え切った体にじんわりと染み込んでいく。




「…生きててよかった…」




ポツリと呟いた彼女の言葉に、レンとディーネは思わず微笑んだ。



暫く休憩を取った後、魔法使いが恐る恐るレンたちに尋ねた。




「ねえ…あたしも一緒に行動させて貰えないかしら? 勿論、貴女達を小馬鹿にした事は謝るから…」




レンとディーネは顔を見合わせる。

そして、ディーネは優しく微笑んだ。




「困った時はお互い様ですからね」

「魔法使いさんの仲間が見つかるまで、私達と一緒に行こう」


「えっ…」




すると彼女は、まぜぁ驚いた顔をした。




「帆、本当にいいの…? 駄目元で言ってみたのに…」

「勿論」




レンも頷く。




「暗くなって来てるし、一人で行動するのは危険過ぎるもん。…あ、仲間を探しつつでいいから、ちょっとだけ討伐に手伝ってくれたら嬉しいかな?」


「…ありがとう……本当に…ありがとう…!」




魔法使いは感動した様子で目を潤ませ、レンの手をぎゅっと握った。




「フウマさん、いいですよね?」

「別に反対はしねぇよ」




暫く黙ってみていたフウマは、肩を竦めた。




「仲間と合流するまでの間、一時的に俺たちのチームって事でいいんじゃねぇか?」

「フウマさん、やっぱり優しいですね」


「別に優しいわけじゃねぇよ。ただ、こいつをまた一人にしたら、すぐ迷いそうだからな」


「…ぐっ! あんた、ズケズケと物を言う坊やねっ」




魔法使いは悔しそうに顔を顰めたが、それでも嬉しそうだった。

こうして、彼女はレン達のパーティーに一時的に加わる事になった。




しかし――




「…森が、騒がしいな」




小さく呟くマオは、ざわめく木々の揺れを見上げてた。


この森には、まだ何か異変が潜んでいるような気がしてならなかった。











夜の森の静寂を破るように、魔法使いの愚痴が途切れる事なく続いていた。




「…ったく、アイツらときたら本当に最悪なのよ! リーダーは自信家過ぎていけ好かないし、ナイトは馬鹿みたいに突っ込むし、僧侶は寡黙過ぎて意思疎通が出来ないしっ! もう何なのあのパーティー!?」




ディーネは優しく相槌を打ちながら、彼女の愚痴を逐一聞いてあげていた。




「そ、それは大変ですね…」




ディーネは優しいな。

私だったら顔に出さずとも、聞いているふりをするよ?



ーーよくそんなパーティーに居られるなぁ…



レンは話半分で聞きながらも、心の中ではそんな事を思っていた。

一方、フウマは最初から無視を決め込み、前を歩きながら無言で周囲の警戒を続けている。




「どうしてそんなパーティーにいるんですか?」




ディーネが尋ねると、魔法使いは肩を竦めた。




「別に、雇ってくれるなら何処でもよかったのよ。でも、入ってみたら最悪だったって訳」




どうやら、彼女はパーティーを慎重に選んだ訳ではなく、偶然選んだ場所が地獄だったようだ。

しかし、報酬は悪くなく、装備も高級品を支給されていた為、なかなか抜け出す踏ん切りがつかなかったのだという。




「リーダーがボンボンなのよ。だから装備だけは妙に充実してるのよね」




しかし、そんな高級装備に囲まれた生活の所為で、彼女自身の金銭感覚は麻痺しつつあった。

そんな話をしながら歩く内に、ディーネは魔法使いの持つスタッフに目を留めた。




「そのスタッフ…ずっと大事にされていますね」




彼女は、一瞬驚いたように目を瞬かせた後、スタッフを愛おしそうに撫でた。




「これはね、師匠から受け継いだ大切な物なの。どんなに高価な装備を渡されても、これだけは手放せないのよ」




その言葉を聞いて、ディーネは微笑んだ。




「魔法使いさんは、とても優しい方なんですね」

「なっ…!?」




不意を突かれた彼女は顔を赤くし、そっぽを向いた。


そんな会話を交わしながらも、ブラックウルフの討伐は順調に進んだ。

ある程度は魔法使いの魔力を回復し、一発の魔法で狼を仕留めると、嬉しい事にその討伐数も、レン達にカウントされた。




「でもいいの? あたしがクエスト手伝っちゃって」

「助かりますよ。魔法使いさんの魔法、とても強いですから」

「ふふん、まあね!」




レン達は無事に20体の討伐を終え、後は森を抜けるだけだった。




お読み頂きありがとうございました。

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