召喚したら思ったのと違ったのですが⁈
雲行きが怪しく、カラスが泣きわめく王城。
その地下で第二王子ことアルフォンソとフードを深くかぶった国随一のイケメン魔術師が怪しげな魔法陣の隅で密談をしていた。
王子「この国は今存亡の危機を迎えている。」
魔術師「・・・はい。」
王子「王国近郊の山に突如現れた怪しげな砦に、魔王があらわれた。」
魔術師「はい。」
王子「魔王はわが軍隊や魔術師を総動員しても、打ち勝つことはできないとのことだ。」
魔術師「はい。」
王子「そこで!魔王にわが王国が破壊される前に勇者を召喚する!」
魔術師「は・・はい?」
王子「望みとしては、神々しくてたくましく、だがおしとやかで清楚な感じがあり、魔王に負けない乙女な女性がいいな。」
魔術師「・・・いますかね、、、そんな人。」
王子「いる!いないと困る!華奢なひとだと魔王に勝てないだろ!しかも女性なら魔王を誘惑するということも可能だしな。」
魔術師「はぁ。」(めっちゃ極端な発想だな。しかも魔王が男という確証もないのに。。。すごい偏見。大丈夫か。。。。)
王子「とにかく!今言った条件で召喚する!準備は整ったか!」
魔術師「はい。準備は終わってます。あとは詠唱をして、召喚に応じてくれるのを待つだけです。」
王子「よし!では始める!」
魔術師「承りました。」
魔術師は深くお辞儀して、手を魔法陣の方に向け詠唱を開始した。
そこから魔法陣が光だし、しばらくすると爆発した。
ドカーン
魔術師と王子は爆風で壁にぶつかった。
幸い打ち身だけで済む威力だったので、命は助かった。
王子「げほっ。召喚は成功したのか?」
魔術師「っ。おそらく、煙で見えにくいですが人影が見えます。」
王子「よし!」
王子たちは魔法陣の中心に向かう。
そこで人影らしいものに近づくが、煙が消えた瞬間、王子が悲鳴をあげた。
王子「ぎゃぁあああああああ!」
?「きゃぁあああああ!」
王子の悲鳴に人影もさけぶ。
すると、人影は王子をおもいっきりこぶしを振り上げ、王子をぶんなげた。
王子「げほぉおおおお」
クリーンヒットである。
王子「がはっ。魔術師!思ってたのと違うんだか!」
魔術師「王子が言った条件で召喚したんです。思ってたのと違っても条件が合う人がいれば召喚は可能かと。」
王子「いや。見た目・・・」
王子的には見た目が華奢で強い女子が登場するのかと思ったらしい。
だがそこにいるのは、ガウンでは隠し切れないたくましい筋肉に、濃いめの化粧をしたおネェだった。
おネェ「ここはどこ!お風呂に入ろうとしたら急にまぶしい光が周りを覆って、気づいたら急に大声で叫ぶじゃない?びっくりするわよ。」
おネェは目をうるうるさせおびえる。
王子たちは召喚した人物に、ぞっとした。
魔術師「とりあえず王子。召喚に成功したということは、この人が魔王を倒せるかもしれない勇者なのです。きちんとした対応をしましょう。」
王子「え!やだよ。この人、元の場所に返せないの?」
魔術師「無理です。」
王子「は?」
おネェ「は?」
魔術師「大がかりの術をつかったんです。もう召喚するほどの魔術は一生かかっても戻りません。したがって、返すことも不可能です。」
おネェ「え?じゃぁ、私帰れないの?」
魔術師「はい。」
おネェ・王子「はぁあああああああ!?」
二人の声に城中が揺れる
王子「おしまいだ。魔王を倒すだけでなく、モンスターまで召喚してしまった。」
おネェ「失礼ね。この子。」
魔術師「申し訳ございません。なにせこの方は何不自由なく甘やかされて育ったもので。」
王子「おい!不敬だぞ。しかたない、召喚にしっぱいしたんだ、お前をこのモンスターのいけにえにしてやる。」
おネェ「男には興味ないわよ!」
そこで、一斉に部屋中が静かになる。
王子「今、なんて?」
おネェ「だから男には興味ないっていったでしょ。深くフードをかぶって全身をコートで覆っているみたいだけど、相当鍛えてるんでしょうね。筋肉質な体系は隠しきれてないわよ。それに私、かわいい女の子が対象なの。」
魔術師・王子「は?」
王子「見た目がそんなんだからてっきり男が対象だと思うだろうが、ややこしい!」
魔術師(私が魔法以外で鍛えているなんで見ただけで判断できるとはこいつ、侮れない。)
おネェ「この子は本当に、偏見の塊ね!いいじゃない!かわいいものを私も試したって!大好きなんだもの!」
王子「はぁ~。終わった。この国は終わったぞ。魔術師。」
魔術師「いえ。まず召喚するまえからこの国終わってます。」
おネェ「さっきから、この魔術師、王子に対して辛辣ね。」
「それに、さっきからふたりしてなに?辛気臭くてかなわないわ。ここは私があためふためく場面なのに、逆に冷静になってきちゃった。」
魔術師「あぁ。すみません。召喚したのに説明もなしにすみません。実はかくかくしかじか。。。」
間
おネェ「なるほどね。魔王が登場してから国の周りはモンスターだらけ。作物も育たず、国の存亡危機と。」
魔術師「はい。」
王子「魔王を倒せるのは勇者だけだと、相場が決まっている!なのに召喚したのがこんなだとは!」
おネェ「あんたは黙ってなさい。」
おネェが喝を入れると、王子が小さくうなだれる。
魔術師「まぁ。魔王が登場するよりも前から国は衰退の一途をたどってましたが、より危険になったので、しかたなく。」
おネェ「あんたも大変ね。」
魔術師「まぁ。生きるためには仕方のないことです。あなたにもこの国の事情に巻き込んでしまって申し訳ないとは思っています。ただ。」
おネェ「ただ?」
魔術師「巻き込んで申し訳ないのですが、召喚されたということは、何か糸口になるかもしれません。魔王対策の為にも、あなたには是非、協力をお願いしたく存じます。」
おネェ「やけに後半丁寧ね。。。まぁ。ここですることもないし、いいわよ。何をすればいいの?」
魔術師「話が速くて助かります。では、魔王を倒してもらいたいところですが、あなたの能力もわからないので、まず敵情視察から一緒に同行してもらいたいのです。」
おネェ「敵情視察?私これでも非戦闘員よ。敵に見つかったら一発で死ぬかもよ?」
魔術師「そうならないためにも私と王子が同行します。」
王子「は?やだよ」
魔術師「いかないと、王位継承権は剥奪されるでしょうね。」
王子「いきます。」
おネェ「この子大丈夫かしら?」
魔術師「あ、ご心配なく、これでも剣術は国随一で、一個大隊の隊長でもありますから、戦闘にかけてはまかせてだいじょうぶですよ。」
おネェ「はぁ。」
魔術師「それに、そんな王子を視界が悪いとはいえ、こぶし一つで吹き飛ばしたあなたも、相当すごいものを持っているはずです。すぐには死にませんよ。」
おネェ「・・・なんか癪にさわるけど、まぁそういうことなら、とりあえず行ってみましょう。ここであぁだこうだする時間ももったいないことだし。」
魔術師「話が早くて助かります。」
王子「ちっ」
おネェ「それで?これからどうするの?」
王子「出発の準備はすでにできている。もともと召喚した次の日には視察もかねて魔王城に行く予定だった。」
おネェ「なるほど、では今からいきましょ。」
魔術師「いいんですか?召喚した負荷なども考慮して、翌日と決めていたのですが」
おネェ「負荷は全然ないわよ。山を登るくらいの元気は有り余っているし。それに厄介ごとは早めに片づけたい派なの。」
魔術師「そうですか。ですが、その恰好では悪目立ちしますので、着替えてからいきましょう。」
おネェは自分の姿を改めてみる。
おネェ「そうだった!アヒルさんとバラを浮かべてゆっくりお風呂につかろうとしていたところだったのよ!これじゃ無防備ね!着替えとかあるの?」
魔術師「あひ。。ごほん。あなたのサイズだと軍で支給される服があうかと。すぐに手配します。」
おネェ「ありがとう。あ、それから、私の名前、ハルでいいわよ。」
魔術師「では、ハルさん。私は、デュラン。あの方は第二王子のアルフォンソ様です。」
おネェ「そ。じゃ、長いからアルって呼ばせてもらうわ。」
王子「な!不敬だぞ」
おネェ「不敬って。私この国の民じゃないし、不敬なのはあなたの方よ。召喚しておいてわめくは、モンスター呼びだわ、あげく魔王倒せないから手伝えだもの。人に何かを頼むときは対価が必要なのよ。それに、いま、交渉しているのはあなた達の方、交渉は対等じゃないと成り立たない。わたしが拒否をしたらどうするの?殺して、また召喚する?それとも交渉権を捨てる?そうすると、また一からやり直しね。」
王子「屁理屈だ!」
おネェ「屁理屈だろうと、なんだろうと、決定権は今、私にある。あなたが命令しても私はあなたの民ではないので、拒否できるわ。弱みもないもの。ここを出てサバイバルできるすべはあるわよ。モンスター退治はべつだけど。」
魔術師「たくまし。。。」
王子「ちっ。わかった。好きに呼べ。衣食住はデュランに任せる。魔王城にいくならさっさと準備しろ」
おネェ「ふん。まだまだおこちゃまね。」
魔術師「それでは、着替えから済ませましょう。準備が終わったら城門前で待ち合わせです。いいですね王子。」
王子「わかった。できるだけ準備しておく。」
数時間後
おネェ「かわいくなーい」
魔術師「しかたないでしょ。あなたのサイズに合ったものはこれくらいしかなかったのです。」
そういわれておネェは全身を確認しため息をつく。
もらった服は兵士が訓練で使用する服で、きつめの縦襟にすらっとしていて動きやすいズボン、腰に小物などがつけれる太めのベルトをしていた。
おネェ「はぁ。元の世界が恋し。私の背丈でもかわいい服がいっぱいあったのに。。。。」
魔術師「返す方法がないので、恋しと言われても、私には何もできません。恨むなら王子を恨んでください。もしくは自分でブランドを立ち上げるのが良いかと。」
おネェ「えらく合理的ねぇ。」
おネェ「ブランドといっても魔王をどうにかしないと、立ち上げも何もできないじゃない。はぁ。最悪。」
魔術師「そんな文句も王子にお願いします。あ、城門につきました。」
城門の前で仁王立ちしている王子が文句を言う。
王子「遅い」
おネェ「あら、ごめんなさい。私のサイズに合う服がなかなか見つからなくって。」
王子「服など適当でいいだろ。」
おネェ「はぁ~、これだからおこちゃまはおこちゃまなのよ!」
王子「なに!」
おネェ「いいこと!人間見た目が重要なの!特に服は己を表現するツールなの!適当に選んでちゃ、適当な人間に見られてしまうの!敵情視察するにしたって、そこに合わせた服を着ないと、目立つし、後々大変なんだから!」
魔術師「理にかなってる気がする・・・」
王子「お前はどちらの味方なんだ!もういい!魔王城はすぐ近くの山にある!いくぞ」
おネェ「あら、目の鼻の先じゃない!いままで攻め込まれなかったのが不思議ね。」
魔術師「同感です。」
王子「ここは魔物が入り込まないように結界がしてある。魔王と言えどすぐに破ることができない。ただ、城を出ればモンスターだらけで、商人たちは隣町までいけず、物価があがりつづけている。さらに、魔王城から出ている瘴気で作物も育たないときた。だから、先発隊をだして魔王城に向かわせたのだが、一人も帰ってきてはない。そればかりか、魔王城に近づいた冒険者は口をそろえて、この国はおしまいだと、全戦力をもってしても負けるだろうと、落ち込み引退していくらしい。」
おネェ「なんだか、陰気臭いわね。」
魔術師「だから、藁をもつかむ思いであなたを召喚したんですよ。まぁ、これで魔王がどうにかなるかは分かりませんが。」
王子「何もしないよりはましだろ。いくぞ。」
おネェ「ふーん」
3人は城門を抜け魔王城に向かう
途中、魔物に遭遇したが、おねぇが一撃で倒していった。
そして、魔王城前。
おネェ「ついたわ。魔王城」
魔術師「ぜぇぜぇ。はい。」
王子「はぁはぁ。きっつ。ちかくにあるっていうのに、モンスターに思ったより険しい道のり。死ぬかと思った。」
王子と、魔術師は浅い息遣いをしながら、現状を嘆く。
しかし、おねぇはぴんぴんしていた。
おネェ「だらしないわね。こんな距離で息が続かないなんて、鍛え足りてないわよ。」
王子「いや、いくら屈強な戦士でも、休憩なしでここまではたどり着けないって。」
魔術師「ハルさんがすごすぎるんですよ。あなた非戦闘員でしたよね。」
おネェ「そうよ。趣味で筋トレとテコンドーと合気道と、サバイバルはしていたけど、非戦闘員よ。普通のサラリーマン。」
王子「サラ?んたらは分からねーが、絶対非戦闘員じゃねーだろ。俺の今までの鍛錬はなんだったんだ。」
魔術師「ま。これで召喚した意味がでてきたんです。よしとしましょう。では、本題である敵情視察を始めましょう。情報では魔王城の一番上に魔王がいるらしいです。」
おネェ「RPGではお決まりの配置ね。それじゃ、あのベランダから入ってのぞいてみない。」
魔術師「賛成です。幸い魔力は少し残っているので、あそこまで魔法で飛びましょう。あと、姿をくらませる魔法もかけておきます。」
王子「そこまでできるんなら、はじめからしていた方がよかったんじゃなかったのか?」
魔術師「それだと、私の魔力が枯渇し、最悪死にますね。」
王子「は?お前、底なしの魔力で有名だったじゃねぇか。召喚って枯渇寸前まで魔力消費するのか?早くいえよ!」
魔術師「いったところで、状況はかわらないでしょ。結局召喚するんですから。さ、いきますよ。」
王子は不貞腐れる。が、魔術師は無視して、魔法を発動させる。
すると、風に乗って一番上のベランダに3人は降り立つことができた。
三人は目を合わせアイコンタクトをすると、魔術師が目をくらます魔法をかけ、ドアを開ける。
すると、奥でか弱い声が聞こえた。
?「誰?」
すると、おねぇは目を輝かせ、叫んだ
おネェ「きゃぁあああああ!可愛い!」
おネェ以外のそこにいた全員がびっくっとする。
そして、奥にいたか弱い声の主はよりおびえた。
?「ここには誰もこれないはず。私の作ったキメラちゃんたちが城の周りを巡回していたはず。」
おネェ「モンスターのこと?それなら倒したわよ」
?「はい?じゃ、ここの瘴気は?触れると落ち込んだり、ここに二度と来たくないように細工したのに!」
おネェ「それもなかったわよ。」
魔術師「それならハルさんのオーラで瘴気が吹き飛んでましたよ。」
?「????意味わかんない」
王子「おれもわかんねーよ。あんた誰だ?」
?「わたし?私はこの城の主よ!」
そういって、か弱い声の主は震えながら、声を大きくし、オーバーリアクションで魔王であることを主張した。
おネェ「きゃぁあああああ!可愛い!!」
おねぇはその姿に萌えを感じた。
なにせ、幼女のような姿に、小鳥のような声、フリフリのドレスに身をつつみ。あまつさえ大きなぬいぐるみをかかえているので、まさにかわいいの権化だったからだ。
魔王「な、なによ。」
おネェ「あなたが魔王なのね。」
魔王「そ、そうよ。この国を亡ぼす魔王がこの私。ティア・フォン・アイネクライよ!」
おネェ「名前までかわいい♥」
魔王はゾックっと背筋が凍る気配を感じた。
王子「アイネクライ?我が国の公爵家ではないか」
おネェ「公爵?」
魔術師「はい。我が国の先々代の王弟からの血族ですね。どうして、公爵家が魔王になっているのですか?」
魔王「復讐の為よ」
おネェ「復讐?物騒ね」
魔王「私はいわゆる私生児で、魔力が高すぎるだけでなく、負の感情で瘴気をまきちらすから、捨てられたの。だから、復讐するの、私を捨てた家族だけでなく、私のような存在を生み続けるこの国にも。」
王子「ざけんな!ただの癇癪じゃないか!そんな理由で国を亡ぼすんじゃない。」
おネェ「やめなさい。余計にあおるだけよ。」
魔術師「そうですよ。感情が激しくなると瘴気が濃ゆくなるんです。あおらない方が賢明です。」
魔王「ふん!お気楽ばか王子が!この国の現状をしってる?瘴気やモンスターだけで商人がこまっているわけではないのよ。関税が高く、わいろが横行しているから、物が売れないの。さらに、貴族たちは人を買っては魔力が高い子供を増やそうと実験もしているし、役に立たないとわかれば殺すなり、奴隷にしたりしているの人権なんてないのよ。」
王子「何?」
おネェ「深刻だわ。そして、あの子妙に賢くない?」
魔術師「そうですね。是非我が国の女王になっていただきたい。」
王子「お前ら何いってんだよ。」
おネェ「まぁ、不幸がつづけば復讐もやりたくなるわね。わたしもそうだもの、いけ好かないハゲ上司にぶつぶつ言われたら残り少ない毛をむしりとろうかともおもっちゃうもの。」
魔術師「ぶっそう。」
おネェ「でも、復讐は何も生まないわ。」
魔王「!」
魔王は気がふれたのか、瘴気を濃ゆくする。
しかし、おねぇは笑う。
おネェ「復讐の代わりに、私のものにならない?」
周りはまた静まり返る。
魔王「は、は?何言っているのこのおかま!」
おネェ「おかまとは失礼ね。おねぇさんといって。お母さまでもいいわよ。」
魔王「絶対いや!あなたのものって、私を奴隷でもするつもり!」
おネェ「奴隷なんて物騒な。違うわよ。家族が恋しいのなら私の子にしてあげるってだけ。」
魔王「は?」
おネェ「私の子になれば、この国なんて執着しなくても楽しい思いできるわよ。たとえば、そうね。。。おいしいものを食べ歩くなんてのはどう?ふわっふわのシフォンケーキとか、ほろ甘いチョコなんてさがして、お店を開くなんてのもいいわね。」
魔王「ケーキ!」
魔王は思わず甘いものにひかれてしまう。
そこにおねぇはにやっと笑って話を進めていく。
おネェ「女の子ねぇ。あとは、あなたの為のかわいい服をデザインしてもらってたくさんつくってもらうのもありね。それから、かわいいペットたちに囲まれながらのんびりくらすのもありじゃない。」
魔王「な、な。。そんなのむりよ。」
おネェ「無理じゃないわ。そういう風に行動すれば、おのずと答えは返ってくるものよ。」
魔王「むりよ!このくにだけじゃない。他のところも現状最悪だもの。おいしいものもかわいい服も作っている暇がない。」
おネェ「じゃ、作ればいいのよそんな環境を。」
魔王「!どうやって?」
おネェ「そうね。。まず、あなたを玉座につかせるなんてのもありね。」
王子「は!おまえ国に喧嘩売ってんのか?」
おネェ「喧嘩売ってるのは、そっち。まぁ、あんたんとこの国の王にならなくても王になれるわ。というか彼女もう魔のつく王だし。あとは土地の整備さえしちゃえば、暮らしやすくなるんじゃない。」
魔王「!どうやって?ここは私の瘴気で植物がそだたない。人も負の感情になってやる気もおきないっていうのに。」
おネェ「そうね。まず、あなたを幸せにすることが最善かしら?」
魔術師「なるほど、負の感情を抑え込むことができれば、現状かわりますしね。」
おネェ「えぇ。それに、わたしがいれば瘴気が消えるみたいだし。まずは、そうね。。。畑から作っていきましょうか。」
王子・魔王「?!」
おネェ「なぁに?その顔は?私こう見えても土地を開拓したり、仕事の交渉したりするの得意なのよ。いわゆるゼネコンってやつ。」
魔王「ぜね?ぁあ!なんでもいいけど、私、復讐はやめないわよ。この国を亡ぼすんだから。」
おネェ「滅ぼさなくてもここを改善していけば、おのずとあの国滅ぶわよ。」
王子「は!?」
おネェ「一度城下町をみてみたけど、人の流れはおろか物の流れも、お金の流れもわるいし、住みやすいとはいえなかったわ。いつ大量感染してもおかしくない環境だったし。ほおっておいても、滅ぶわね。」
魔術師「あの数時間でそこまでわかるとは、あなたもしかして一国の主だったのでは?」
おネェ「んなわけないでしょ。歴史は好きで学んだけど、結局どの時代も感染症やおごりで滅んでいた。ここもその例に漏れていないってだけよ。」
魔王「だから、新しく国を作って環境を整えるにはここが最適ってわけ?」
おネェ「そう!あなた賢いわ。かわいいし。それに、ここは山頂にちかいから、うかつに敵が襲ってくることもない。登山病がきになるところだけど、ここには魔法があるから、空気圧などの問題も結界とかでなんとかなるんじゃない?」
魔術師「なるほど。どうにかなりそうではありますが、妖精の力も必要にはなりそうですね。」
おネェ「この世界には妖精もいるの!是非あいたいわ!」
魔術師「波長が合えば会えるでしょうね。」
と、国について考える中、王子が怒りをあらわにする。
王子「おい!難しい話を俺抜きでやるな!それに、お前を召喚したのはおれだ!魔王の味方ではなく俺たちの国に貢献するのがすじだろ。」
おネェ「なにいってんの?私は召喚されていい迷惑なんだけど。それに言ったわよね。私には拒否権がある。あんたの国に貢献するつもりはないわ。」
魔王「?仲間割れ?」
おネェ「仲間でもないけど、意見の食い違いね。あなたを倒せば解決するっておもっているみたいだけど、現状ちがうみたい。私的には、平和的解決がしたいわ。どう?私の子になるていうの考えてみない?」
魔王「遠慮しておく。でも、ここにとどまることについては勝手にするといい。」
おネェ「じゃ、勝手にしようかしら。」
魔術師「あ、わたしも仲間に加えてください。」
魔王「勝手にして。」
王子「納得いかない。魔王を倒せば国は前の状態に戻るし、平和になるんだ!倒す!お前が倒さないのなら俺が!」
おネェ「やめなさい。」
そして、王子の頭におねぇのげんこつがふりかかる。
王子は一発でのされてしまった。
おネェ「これが国随一の剣の使い手ねぇ。」
魔術師「あなたのこぶしが見切れないぐらい早いんですよ。」
魔王「なんでもいいけど、あのバカ王子どうするの?邪魔なんだけど。」
おネェ「そうね。。。。一応王子だしね。交渉の材料にでもしちゃいますか。」
魔王「交渉?あの国に交渉しても無駄よ。王でさえ腐っているもの。実の息子も道具にしかならない。」
おネェ「そこまでわかっていて、あなたすぐにあの国を滅ぼさなかったのって、もしかして未練があるんじゃない?」
魔王「そ、そんなことない!ただ機会をうかがっていただけよ。」
おネェ「機会ね。。」
魔王「な、なによ。」
おネェ「ふふ。かわいいわね。」
魔王「さっきからかわいい、かわいいって。私かわいくない。」
おネェ「はいはい。かわいい。」
おねぇは魔王の頭を優しくなでる。
魔王はぶすくされるが、それを素直に受け入れた。
おネェ「さて、家に帰れないことだし、暇にもなったので、手始めにここで女王様のお手伝いでもはじめますか。」
そうして、おねぇはメイド姿になり、王子をこき使って国を豊かにしていったのだった。
魔王は優しい女王になり、栄華を極め。魔術師はおねぇの弟子になり宰相となり、国をささえたのだった。
王子は晩年こう語った。
「召喚したら思ってたのと違うのが出てきて、人生が狂った。思い付きをすぐ実行するのはよくない。」と。
だが、王子は最終的におねぇにしごかれ、女王の盾になったのだった。