第2話「謎の広告主」
「また流すんすか?この人探しの広告。謝礼出すなら見つかりそうなのに、やっぱり深夜帯だと気づかれにくいんすかね?」
ラジオ局入社1年目のサカグチマサルが口をひらく。
「気づかれにくいのはあるわね。上層部が気を利かして、昼の時間帯に流さないか聞いてみたらしいけど、どうしても深夜でって広告主は譲らないそうよ」
スーツ姿で肩をすくめて答えたのはヒラカネミカ、入社6年目のラジオ局員だ。
「物好きもいるもんすね。わざわざ深夜に出稿しなくても、昼の番組に挟んだ方が効率良さそうっすけど」
「たった30秒の人探しの広告に1000万円の出稿料を出すくらいの人だもの。ちょっと変わっててもしょうがないわ」
ミカは疲れきった顔でマサルの肩を叩く。
「さ、噂の広告主の自宅へご挨拶に行くわよ」
え!会えるんすか!と嬉しそうなマサルとそんな能天気さが羨ましくなったミカのコンビは、謎の広告主の自宅へ向かった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「次のニュースは○○市内、火事についてです。本日未明、消防に一軒家が燃えていると通報がありました。警察と消防が駆けつけたところ、火は大きく燃え広がっており、明け方に消し止められました。家の中に住人の姿はなく、現在も行方を探しています。警察は放火の可能性も含めて、捜査を進めています」
「ヒラカネさんここって…」
サカグチマサルが青ざめた表情でテレビを指差す。
テレビには見知った風景と焼け落ちた一軒家が映し出される。
昨日挨拶に伺った人探しの広告主の家だった。
広告を出す本当の理由はあなた達だけに、と広告主にこっそり伝えられた内容が頭をよぎる。
『本当は…ヤマモトアユムを探しているんじゃないんです』
少しでもお気に召して頂けましたら、【ブックマークに追加】や【☆☆☆☆☆】欄でお気軽に評価をいただけたら励みになります!
感想もお待ちしております!褒められて伸びるタイプです!!!
*****************
ラジオの広告出稿料は、場所にも寄るとは思いますが、リアルは深夜1本10万円ぐらいらしいです。