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BREVE NEW WORLD ―蒼色症候群(ブルーライトシンドローム)―  作者: PRN
Chapter.3 【Sky,Clear Sky ―空、透き通るほど透明な空―】
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82話【VS.】オーガ特殊変異体 ビッグヘッド・オーガ

閉ざされた

未来


変わらない

世界


変えられる

ならば


魂を燃やせ

挿絵(By みてみん)

「GBBE! GBBE! GEBEEEEEEE!」


 昨日の自分は今日が当たり前にやってくると思っていた。

 その前の自分だって明日目覚めたら今日がやってくると信じつづけていた。

 なのに明日は閉ざされるという恐怖に怯える。当たりまえの今日に少しだけいつもと違う道を求めたら(ウン)の巡りが変わってしまった。


「ヒッ――あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」


「GBBE! GBBE! GBBE!」


 残されたもう1本の脚も同じく飴細工のように折れ欠ける。

 少女の慟哭に似た悲鳴が森の葉を揺らす。

 叫び疲れた喉はとうにかすれ、口を鯉のようにぱくぱくさせると端から唾液の泡があふれた。

 その行為事態がビッグヘッドオーガという残忍かつ狡猾な生物を物語っている。捉えた獲物をその場で処さぬ場合逃げられぬよう足を折りを加える。そうして巣穴へ持ち帰るのだ。

 捕らわれた母胎は幾度となき被虐を与えられながらも希望に縋ろうと足掻く。そしてビッグヘッドオーガは機を見てまた脚を折る。希望などないと教えこむように。

 そうして被虐と暴力に最後まで耐えたものが救われたという事例もある。大抵は精神が壊れ、足が瘤のように変異して凹凸としたまま助けられるのだとか。


「いや、だ!! 嫌!! こんな終わりかたをしたくない!! こんな、こんな恥辱に塗れた最後なんて絶対に嫌!!」


 少女は最後の抵抗とばかり腹ばいになった。

 煌びやかな金色の鎧には濡れ葉がこびり付き泥土に汚れた。

 うっ血し変色したハの字に折れ曲がった足をずるずる引きずって逃げようとする。無駄だとわかりながらビッグヘッドオーガから距離をとろうと這いまわる。


「GEEEEBE!! GRRRORORO!!」


 そんな無様を晒す姿を醜悪な1つ目が追いながら嘲笑う。

 尻を振って逃げる獲物をときおり指で突いてみたり、眺めたりしながら股の肉腫をとくり、とくり。脈動させる。

 もうこの少女は逃げられない、自分の所有物になった。そう、理解しているとしか思えない行動だった。

 そしてそれでもなお希望に縋ろうと足掻く幾度目かの縋る声も、儚い。


「助けて誰かッ!! フィナセス!! レイガリア!! ユエラ!! 私はここにいます!!」


 涙を散らしながら縋る。

 しかし森は聞き飽きたと、風で葉を揺らし悲痛な声をかき消してしまう。


「Frooo! Gubeeeee!」


「――きゃっ!?」


 さあもう余興は終わりだ。

 ビッグヘッドオーガの巨大な手が少女の長く流麗な銀髪を引っ掴んだ。

 そうして肉の袋を荷運びするようにずるずると引っ張っていく。


「やめてえ!! 離してッ!! 痛い、痛い痛いぃ”ぃ”!!」


 少女は引き離そうと藻掻くも、無駄な抵抗でしかない。

 小さな頭なんて容易に包み込んでしまう巨大な手。雑に掴んだ髪を万力の如く締め上げている。

 ずる、ずる、ずる、ずる。両足は骨が折られ動かず、武器を手放した細腕では敵わず。


 「いや”ぁ”ぁ”……! こんなのや”だぁ”ぁ”……!」


 そうして少女は運命へと呑まれゆく。

 ひ弱な悲鳴とそこにいたという痕跡を残し、日の差さぬほうへと消えていく。

 たとえ空が透けるほどに美しく照ったとして、もう彼女に日が当たることはない。

 永遠に日の差さぬ真の闇を見たら最後、生者として何気なくあったはずの空は、2度とは帰らぬ。


「……Grrrrr」


 ぴたり、と。巨躯が生み出す地鳴りが静寂へと変わった。

 ビッグヘッドオーガは、ふいに足を止めて喉を低く鳴らす。

 引きずられていた少女もまた涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった顔に戸惑いを浮かべる。


「っ、とま、った?」


 一つ目が向く方角には鬱蒼と茂った天蓋の森が満ちつづけていた。

 ビッグヘッドオーガは周囲に瞳をぎょろぎょろと回す。


「……rrrrrrrr」


 バカが。とでも言いたげに悠々と巨体をそちらへ向けた。

 葉の作る奥の影を睨みながら巨大な単眼を細む。

 そして次の瞬間。ビッグヘッドオーガの睨む方角とはまったく別のところから閃光が現れた。


「――きゃっ!?」


 現れた影は瞬く間に少女とビッグヘッドオーガの接点を断った。

 鋭利な刃物によって撫で切られた銀の髪が舞う。光をまといながら土の上に落ちていく。


「…………」


 じろり、と。凶暴な単眼が手元を見下ろす。

 するとそこにはすでに少女はなかった。あるのは握られていた毛先の髪束のみ。

 そして引き離された少女とビッグヘッドオーガの間を阻むようにして佇む影があった。


「恨まないでくれよ。髪は女の命だなんて言うけど本物の命を失うよりはマシだろ」


 手には短刀。手には細剣。腕には蒼き流線型。

 髪を切り裂き、救助し、距離を離すという行動をものの1手に担う。

 木を背もたれにした少女の瞳には、1枚の盾が映されている。


「あなたは……?」


 銀燭に濡れた瞳が映すのは、1人の背だった。

 盾の紋様が描かれた痩せこけて頼りない狭い背中。

 それでも彼女の瞳にはぼんやりとした希望が灯った。


『投石誘導とは古くさいけど案外効くもんだね。しかもこの身体下手に筋肉がついてないからか扱いやすいよ』


 少年の背にまとわりつく霧が形を変えていく。

 黒くもうもうとした霞は徐々に姿を形作り少女の姿をとる。


「後生大事に操ってくれよ。なにせ生産者不明の1点モノで換えがないんだから」


『なにより胸が邪魔にならないのがいいね。あれって戦闘とか鍛冶の時に重くってさ』


「なあ身体の持ち主の話聞いてる? 借りたんだからちゃんと壊さないで返してくれよ?」


 半身の幽体は少年の首に腕を回すように寄り添っていた。

 そうしてまるで背負われるような体勢で眉しかめる少年をからからと笑った。


「た、盾の紋章? あ、あなたたちはいったい……誰なのですか?」


 少女は救われてなお未だ胡乱げだった。

 しかしその問いに答えるだけの猶予は残されておらず。救えたといっても一時的なものでしかない。

 なによりこの一部始終の現況であるビッグヘッドオーガはなおも顕在しているのだ。どころか獲物を手元から掠めとられ完全にこちらを敵であると認識したはず。


「Gubeeeee……?」


 ビッグヘッドの巨大な瞳がゆっくりと余裕をもって見開かれた。

 敵に獲物をとって奪われたという事実さえ些末なことなのだろう。むしろ獲物が増えたと考えている可能性すら濃い。

 同時に幽体を宿したミナトは、洗練された動作で両手の(フォーム)異なる剣を構え直す。


『やるべきことは理解しているね? 君の選んだ道なんだから覚悟を示してもらうよ?』


「やれることは全部やってみるさ。その代わり時間稼ぎは任せたぞ」


 しばしそのままビッグヘッドオーガと睨み合う。

 体躯の差は図るまでもない。目測で2mは身長差がある。

 なにより敵の恵まれた四肢は人1人の厚さほどもあるのだ。奮われる暴力は剛となり触れるモノを容易に肉片へ変えるだろう。

 強大な敵をまえにひりつく。鋭敏になった肌に触れる空気が痺れをもたらす。

 呼吸さえも意識させられるほど、ままならぬ緊張感が満ちていく。


『《創製(ライズ)》』


 そして先に動いたのは、ミナトのほうだった。

 両手に構えた剣とは異なる別の剣が出現する。さらには足が地を駆ると同時に存在そのものが消滅する。

 そこからはもはや縦横無尽だった。木を蹴り、地を滑り、風を追い越し、宙を舞う。


「Gubeeeee!」


 ビッグヘッドによる大振りの豪腕が通り抜ける風をすり抜けた。

 狙い定めてなお追いつかず。ミナトの身体はもはや音さえ超越している。

 人成らざる身体能力どころではない。その身が体験したことのない世界をあまつさえ自分の身体が執り行っていく。

 しかしてその担い手はミナトにあらず。身体の行使権限は幽体の少女へと一存されていた。


『頸椎いただき! ――フッ!』


 様々なフェイクトラップを施し潜り込んだ隙に2本の剣が振る舞われる。

 瞳を欺ききった攻撃は見事にビッグヘッドの後ろ首へ斬撃をたたきこむ。


『つっ、さすがは大陸上位の魔物オーガの突然変異種! ゴムに食いこむみたいに刃が通らない!』


 だが完璧だったにもかかわらず両方の刃は通ることはなかった。

 刃を押し込むもうとするも厚い皮が侵入を拒んで押し返してきてしまう。これでは首を落とすどころか傷を与えることさえ叶わない。


「GEEEEEE!!」


 1拍遅れて敵の攻撃がぶおう、と振るわれた。

 だがこちらはすでに退却を済ませて後退している。


『やっぱりこのていどの粗製武器じゃ傷ひとつつかないか。さすがはヒューム王ミゼル・ファマナウ・ジャールが矢よけの羽織として好んでまとっていた最高級防具の素材ビッグヘッドレザーだ』


 首を捉えようとした剣心は欠けて刃こぼれしてしまっていた。

 少女は欠けた剣をなんの躊躇もなく放る。

 そして先に生んだ剣を地面から引き抜いてまた両手に構え直す。


『もうちょっと色々試してはみるけど、弾数は少ないから期待しちゃダメだよ。そもそも倒せるって話はしてないんだからね』


「たしかあの物の怪って魔物とか呼ぶんだったか」


『魔物、いわゆる魂の穢れだね。死んで肉体を抜けた魂が冥府と呼ばれる場所で……ってこれはいいか。とにかく倒すことに慈悲も遠慮も躊躇も要らない相手さ』


 ミナトの身体を借りた少女は、姿勢低く、異なる構えをつけた。

 握る剣も異なっている。先ほどは短刀細剣だったが、今回は波打つ形状を2本携えている。

 少女曰く、それこそが彼女の扱う《創製(ライズ)》という能力なのだとか。己が生涯を賭して産み、理解し、束ねた剣を再顕現させるというものらしい。


『この戦いを決するのはやっぱり僕じゃなくて誰でもない君だから忘れないでね。僕はただの気分屋な協力者ってだけだよ』


「そう心配してくれるなよ。元から相手に感情のカの字も傾けてやるつもりはないからさ」


 ミナトは僅かに指揮権のある左腕で額に浮いた汗を拭う。

 肩越しで実体化した少女が、そのがむしゃらっぷりに、フフと頬を和らげる。


『実は歌になるくらい注意喚起されてる事象でもあるんだ。魔物に同情したあげく巣に連れ帰られてしまうっていう童話がさ』


「森の熊さんみたいなもんか。でもそっちの歌の2番は聴きたくないな」


 談話していても戦場は刻一刻と姿を粗末にしていく。

 豪快に佇むビッグヘッドオーガに不可思議な挙動があった。

 全身のくまなくを脈動させ開いた口の端から緑色体の液体をごぼごぼと泡立たせる。


「危ない避けて!!」


『――ッ!?』


 高い声に反応し回避行動を反射的に行う。

 直後にビッグヘッドオーガの大口から砲の如き弾が吐きだされた。

 瞬く間に着弾した緑色体の弾丸は、ミナトの身体が去った場所に着弾した。


『うへぇ……溶解液とか吐くんだ』


 幽体の少女はげんなりとしながら着弾箇所を肩越しに覗く。

 緑色体が弾けた地面は沸騰するようにじゅうじゅうと溶けだしていた。


「どういう内臓してるんだよアイツ……胃潰瘍克服かぁ?」


『とにかく君はやるべきことをやる! それまでは僕がこの身体とあの子を守り抜いてみせるから!』


 ミナトはちら、と銀髪の少女のほうを見る。

 彼女は見られたことでひく、と肩を揺らす。

 それからミナトは「ああ!」視線を敵へと戻した。

 これは断じて作戦などではない。後先考えず飛びだしただけに過ぎない。

 ただもはやミナト自身の短絡的な思考のみで行われているのではなく、もう1つの大きな協力の下で無茶をしている。


『僕が君の身体にとり憑いて敵の攻撃を避けつつ少しの時間を稼ぐ! その間に君は自分の役割(ロール)をこなす!』


 間借りした少女が身体を動かす。

 地を駆れば風となる。重く古典的な武器を手足の如く振るうたび剣心は銀閃と化した。

 

「ちょっと未だにとり憑くうんぬんの意味はわかってないけどな! でもこのあり得ない身体能力と身体の自由がきかない辺り乗っとられてるってことだけは理解できた!」


『君は5秒間敵の動きを封じる手段を考えること! それでもし5秒止めてくれれば僕の技が発動できる! うん、とっても簡単だね!』


 再びビッグヘッドをかく乱して懐に潜りこむ。

 今度は片手の剣に両手を添え押しこむよう脇腹へと突きを食らわす。


「GEH!」


『つぅ!? かったぁ!?』


「GEEEEEE!!」


 しかしまたも貫くに至らない。

 飛び退いて豪快な薙ぎ払いを回避する。

 すり抜けた大腕はその背後にあった木を焼き菓子の如く容易になぎ倒した。


「ずいぶん買ってくれてるみたいだが簡単に言ってくれるなよ! これでも流れる景色に気を失いそうになりながら必死に持ちこたえてるんだ!」


『なら早く頭を巡らせ動きを止める方法を見つけることだね! そうすればあっという間にミッションコンプリートだ!』


 死の恐怖がひりついて伝わってくる。焦りが脳の回転を鈍らせる。

 少女は見事に敵の攻撃を避けていく。が、風圧だけで敵の攻撃の威力が理解できてしまう。

 おそらく1撃かすめるだけでミナトの脆弱な肉体如きは使い物にならなくなるだろう。そうなれば確実な死が待っている。


「そもそも信用するにしても本当に技とやらで倒せる保証はあるのか!?」


 ミナトが思い切って問うてみるも、少女からの返答は『確殺さ』早かった。


『マナがあればこんな回りくどいことしなくてもいいんだけど、今日はもう使い切っちゃったんだよね』


「マナ? マナってなんだよ?」


『そう、マナはマナだよ。あの剣をデカくするために毎日マナを注ぐのが癖になっててさ。もう今日の分注いじゃったからからっけつなの』


「アレって十字架とかじゃなくて剣だったのか!? それ全部本当のことだとしたら墓の主に失礼すぎんだろ!?」


 そうやって2人羽織をしている間にも死闘が繰り広げられた。

 少女の操作するミナトの身体はとうに人間という範疇から逸脱している。

 しかも振るわれる敵からの暴力はすべて彼女の意識下にあった。振るうという挙動を見せる直前に回避行動を開始している。


「GEEEEEE!! GGGGGG――BOH!!」


『甘いよ! その攻撃は溜めがあるぶん避けやすい!』


 幽体少女は吐かれる溶解液も難なく見極めて躱していった。

 仕返しとばかりにスライディングから大顎を下から打ち据える。

 も、効かず。

 回避のたびにちくりちくりと剣が叩きこまれていく。

 こうなってくるとはじめは児戯とばかりに余裕を見せていたビッグヘッドオーガも、目を剥かざるを得ない。


「GBEBE!! GBEEEBE!! BEEEEE!!」


 地鳴りを上げながらやぶれかぶれに太い腕を振り回す。

 すると周囲の木々が無残にもなぎ倒され、緑の葉が大地を埋めていった。

 戦場から離れた位置にいる銀髪の少女は、心奪われるように目を滲ませる。


「す、すごい……! あのビッグヘッドを相手に……あれほど昂然たる戦いをするなんて!」


 しかしこれでは勝ちの目がない。なにしろこちらの放つ10以上の攻撃すべてが敵の鎧を前に挫かれている。

 しかもそのつど幽体の少女が生みだす剣は、折れ、欠け、割れてしまう。このままでは在庫とやらが底尽きるのも時間の問題だろう。

 善戦する彼女に反し、ミナトは次第に追い詰められつつあった。


――考えろ、窮地を脱せ! このままじゃあの子もろともまとめてくたばるだけで延命にもならねぇ!


 この一切の訳がわからぬ状況で手綱を握るのは、ただ1人だけ。

 目まぐるしく変化する風景に気をとられそうになる。それでもとにかく脳に血流を回すことのみに集中する。


――オレはなにをもってる! オレのもつ手段はなんだ! たしか閃光手榴弾の余りがあったはず!


 道具を雑に仕舞っている腰のポーチへ意識を移す。

 そこにはビーコン係として使用していた道具が幾らかは入っている。そのなかからいくつかとれる手段を模索できるかもしれない。

 しかし見えたと思われた光明は錯覚だったと知る。ポーチの蓋の部分がぱたぱたと上下していた。


――ポーチの金具が開いている!? じゃあ落下したときに中身を全部ぶちまけたってコトか!?


 ここではじめて金具の止め忘れに気づいてしまう。

 あれだけ風圧と大空からの飛び込みを決めたのだ。なかは確認するまでもなく空ということ。


――閃光手榴弾は、ない! アズグロウと戦った時の手は使えない!


 ない、落とした。

 だからといって挫けている場合ではなかった。

 すぐさま次の手を思考するしか生き残る術はない。


『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ――フッ!』


「GEEEEEEG!! GAEEEEEEE!!」


『ッ、ふぅ……!』


 じりじりと追いやられていくのがわかってしまう。

 身体を共有しているのだ。幽体の少女が少しずつ精神を疲弊させていくのが直に伝わってくる。

 対してビッグヘッドオーガは、的確にかく乱するこちらの位置を捉えつつあった。

 学のない大ぶりの強撃だけではなく、小刻みな攻撃やらフェイントなどを繰りだすことで戦いの主導権を握っていく。


「GHA!! AAA……――GGGGGG」


『不意打ち!? まずっ、た!?』


 攻撃を躱した直後ミスが起こった。

 それがフェイクであると気づいてももう遅い。

 大きく振られた拳を躱した直後、躱した方角に大口が開かれていた。

 回避で飛んだ身体はすでに地を離れ制御を失っている。そこへビッグヘッドオーガの巨大な顔がぐるりと向けられた。

 喉が完璧な狙いを定めていた。緑色体の弾丸をごぼごぼと泡立たせていく。


「BOH!!」


『回避を――間に合わない!!?』


 そして溶解液が真っ直ぐこちらへ向かって放たれた。

 浴びれば、確実なる死が待っている。

 かすめても身体の損傷は確実。そこから徐々に詰められて結果敵に死から逃れられないだろう。

 しかも回避可能な選択肢はすべて塞がれた。絶体絶命の危機だった。


「――《ウォーター》!!」




(区切りなし)


※ 僕 が や り ま し た(犯行供述

挿絵(By みてみん)


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