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BREVE NEW WORLD ―蒼色症候群(ブルーライトシンドローム)―  作者: PRN
Chapter.6 【世界選択 ―Choice make your world?―】
148/364

148話 チーム『結束の祈り女神』《NEXT STAGE》

挿絵(By みてみん)


喪失の最中

先の見えぬ


暗雲


賭けにでる


世界に帰る方法は

止まらぬこと

 明朝、船員たちは決まった時間に定期連絡会議に出席することが義務づけられている。

 その日の体調や精神状態を互いに確認し合うことが目的のひとつでもあった。

 なにしろ住む世界が異なるという深刻な事態ともなれば同種同士の団結は必須であろう。

 しかし本日のブルードラグーンの操船室は喧噪に満ちていた。


「ザッッケんなよクソッタレがァ!!」


 咆哮とともに全体重を乗せた拳が突き刺さる。

 だが東は腕を十字に構えて容易く受け止めていた。


「やめて! ジュンダメだって!」


「離しやがれ!! この世にはいって良いことと悪いことがあんだろーがァ!!」


 夢矢に羽交い締めにされてもなおジュンの怒りの矛は曲がらない。

 せめて1撃。くれてやろうと夢矢の小さな身体を振りほどきにかかる。

 このような事態はとくに珍しい。しかも温厚なジュンがここまで激怒することは滅多にない。

 朝会に集まった面々も唖然としながら巻きこまれぬよう距離を置く。


「う、う~ん……どうしたもんですかねこれはぁ?」


 ミトス・カルラーマ・ヒカリはやれやれと制服を羽織った肩をすくませた。

 明朝に船内のミストサウナを使用したのか、活発的なショートヘアーの毛先が僅かに湿り気を帯びている。

 船内食の調理を任されているため彼女の朝は早い。ゆえにもうひと仕事終えたといった感じ。

 その隣では亀龍院珠が未だ眠た目をぐしぐしとこすっている。


「朝早くからうっさいなぁ……も~」


 ジュンと夢矢がドタバタしているのを遠巻きに眺め小五月蠅そうにむっつり唇を尖らす。

 船員たちはまごまごと煮え切らぬ様子で嵐が去るのを怯えながら見つめている。

 この騒ぎはどちらが悪いのかといえばジュンを怒らせた東が圧倒的に悪者だった。

 だからといって争うというのはやはり少し違う。そのため船員の人々ほぼ全体で手をこまねくという状態に陥っている。


「はっはァ! 俺を殴って気が済むのならいくらでも殴ればいいさ!」


 狙われている側だというのに危機感は皆無。

 東は両手を大きく広げてジュンを挑発にかかった。


「なら避けんじゃねぇ!! 面ァ殴らせやがれクソが!!」


「それは断らせてもらおう!  男前に箔がつくのと痛いのは勘弁だからな!」


 辛うじてフレックスをまとっていない辺りまだ自制できている。

 とはいえ2人のやりとりはまごうことなき喧嘩だった。

 しかもその発端となったのが暴言であるのだからますます下らない。

 この場に唯一いないとある少年に東が告げたという心無いひとことが元凶である。

 事実を明かされた次の瞬間ジュンはすでに東へと殴りかかっていた。


「俺は事実をありのままをアイツに伝えただけにすぎないし、なにも嘘はいっていないはずだ」

 

「そのせいでミナトが傷ついてんだっていってんだろ!! もうだいぶ船にすら帰ってきてねぇんだぞ!!」


 そう、ミナトが消息を絶ってすでに3日が経っていた。

 船員たちが彼の異常を悟るにはそう時間はかかっていない。

 ただ今日になって東に原因を尋ねたら正直に答えてくれたというだけ。


「アイツは誰よりもフレックスを使えるようになりたくて悩みつづけてたんだぞ!! それを言うに事欠いて使えないヤツ扱いってなんだ!! 舐め腐るのもいい加減にしやがれ!!」


 普段であればジュンがここまで怒り狂うことはないのだ。

 ただ1つ。彼の逆鱗に触れたのは友がバカにされたということ。

 しかもそれを行った人間がこの船でもっとも年長である者というのだからタチが悪い。

 ジュンが顔を真っ赤にして殴りかかるも、東はそれをひょいひょい軽くいなしていく。


「テメェだってアイツに何回も助けられてんだろーがァ!!」


「だが使えぬこともまた事実だといっているんだ。戦うことさえ出来ないヤツに戦場を語る資格はない」


 違うか? さすがは元軍人といったところ。

 生身での戦闘能力はジュンのそれを容易に上回っている。

 ジュンが躍起になって大ぶりな拳をいくら振る舞っても当たる気配がなかった。


「お前たちだけに戦わせてアイツだけは指を咥えて観戦というのは虫が良すぎるだろう?」


「ミナトは力が使えなくても常に俺たちと一緒に戦ってたんだ! アイツのこと全然見てねぇテメェ如きが俺らのこと気安く語るんじゃねぇ!」


 ジュンの怒りはおさまるどころか増すいっぽう。

 東も無理に納得させようとしなければ良いものを。これでは火に燃料を投下しつづけるのとまるで変わらない。

 こちらからの連絡にも音沙汰なし。これはミナトからの完全な拒絶を意味していた。

 虎龍院夢矢は、げんなり顔でこちらに戻ってくる。


「いまのジュンじゃだめだぁ。なにをいっても話を聞いてくれないよぉ」


 勇気をだして割りこんだもののけっきょく振り払われてしまったようだ。

 なにより中性的な顔立ちと同じでその身は少女と似て白くか細い。

 身長も体格も圧倒的に上回るジュンと能力なしでぶつかれば負けるのは必至といえよう。

 ヒカリは、しょんぼりへし折れて帰ってきた夢矢を「おっつ~」と軽く迎え入れる。


「しっかしこんな浮ついた状況でミナトくんまで失踪とはねぇ。波瀾万丈な上に問題が山積みですなぁ」


「エルフ国からの提案の件はびっくりだったよね。しかもそのせいで船員たちの間で軽い対立が起きてるし……」


 いま現在ブルードラグーン内では、2つの問題が並行していた。

 1つは、東の心無いひとことが引き起こしたミナト失踪である。

 いちおうALECナノコンピューター経由でおおまかな位置情報は掴んでいるため、緊急性は低いという判断だった。

 無理矢理捜索に向かわず、心の整理がつかねば解決はしないだろう。とりあえず彼が聖都内部にいるということだけは確認されているのは救いだった。

 そしてもう1つの問題は、それよりももっと解決が難解となっている。


「なあ、ジュン……ちょっと聞いて欲しいことがあるんだよ」


 未だ睨み合う場に1人の青年が踏み入った。

 彼は躊躇いながらも意を決したように東とジュンの間に割って入る。

 そうして青年はちらと東を一瞥してからジュンに向かって頭を下げた。


「……悪い」


 唐突な謝罪だった。

 それは同期や友に送るものにしてはあまりに真摯で、真面目。

 これには怒り心頭だったジュンもハッと我に返って呆気にとられる。


「な、なんだよ? 急に頭なんて下げてどうしたってんだ?」


 意図せぬ事態に水を打ったように怒りを静めた。

 すると顔を上げた青年は、1人の少女を手招く。

 そうして同期である男女の2人は横に並び肩を寄せ合う。


「俺たち昨夜遅くまで話をして決めたんだ。この静かな世界で平穏に生きていきたいってさ」


「私たちはもうあんな場所には……帰りたくないの。安定した生活を好きな人と一緒に送っていきたい」


 誰もがざわめきながらも、2人の言葉を重く受け止めた。

 あまりに真剣だった。とてもではないが冗談をいっているとは思えない。

 気さくなはずの笑みの端が痙攣する。


「お前ら……ノアに帰らねぇっていってんのか?」


 本気かよ? ジュンは震える声で問いかけた。

 しかしなおも隣り合う2人は実直な視線を彷徨わすことはない。

 ただ沈黙をまといながら互いの手と手を結ぶだけ。決して曲がらぬ意思を示す。


「ノアに帰らねぇってつまり親兄弟も友だちすら見捨てるってことだぞ?」


「俺の両親はアザーで死んだ。あれから骨を回収して墓を建てられたからもう悔いはない」


「私のお父さんも一緒、お母さんはずっと前に船の生活に耐えかねて自殺した。友だちは……」


 少女が悲しげに目を伏せた。

 青年はそっとそんな彼女の背に手を添える。


「未練がまったくないかっていったら嘘になる。だけど俺は……彼女とともに生きられる世界が欲しい。絆や愛を育める、引き剥がされることのない、異常じゃない世界がここにあったんだ」


 愛するものを傍に、凄まじく男らしい宣言だった。

 2人の本気具合から察するに決断までかなりの時間を要したことが窺える。


「仲間を……世界を捨てる気かよ?」


 ジュンがようやく絞りだせたのは、それだけだった。

 鬱屈するような白い表情で手を泳がせながら青年のほうに歩み寄る。

 そして青年はくしゃりと勇壮な顔立ちを歪めながら友の追いすがる手を静かにはね除けた。


「ジュン……俺たちは強くないんだ! お前のように特別な体質でもなければ、そう……第2世代に上がることさえ出来ないヤツらばっかりなんだよ!」


「――うッ!?」


 ジュンは彼から発される気概に押されるよう後ずさった。

 すると青年はより声の圧を高める。


「弱い俺たちじゃもう戦うことも失うのもいっぱいいっぱいなんだ! あの世界のスピードについていくのはもう嫌なんだ!」


 青年の頬には数えきれぬほどの滴が止めどなく流れ落ちていた。

 それを少女は制服のポケットからとりだしたハンカチで甲斐甲斐しく受け止める。

 1つの勇気だった。人がなぜ生きるのかという普遍的な問いへ、彼なりの答えだったのかもしれない。

 不幸から逃げ幸せ享受する。それは人間がもっとも望むある意味での本能的衝動でもあった。

 これこそがエルフ国からの提案によって勃発した船を直す派と直さない派の対立である。

 言い換えるのならノアに帰る派と大陸世界に住まう派。ノアの民を救うために帰るか、平穏無事に大陸世界で根づくか。

 エルフ国からの提案を聞かされた船員たちは、ものの見事に2分されるという事態に陥っている。


「僕とジュンなんかはミナトくんと同じで断然帰る派だけど、総意かと聞かれればそうじゃない気がする」


「私はちょっと悩んでるところかなぁ。正直なところあのぎょろ目の化け物のなかを戻るって怖いのよねぇ」


 夢矢とヒカリの間でも意見に大きな食い違いが発生してしまうのだ。

 それ以外のところからも船員たちの囁き声が漏れ聞こえてくる。


「俺は絶対に帰る。まだ妹が生きてるのなら必ず帰らなくちゃいけない」


「でも無事だっていう保証なんてないでしょ。ならこっちの世界に留まったほうが良くない」


「帰るったって現実に無理な話じゃないか? あの化け物のなかをどうやってまた掻い潜るんだよ?」


「っていうかあの化け物って結局なんなんだ? なんで唐突に宇宙に穴が空いたんだ?」


「もうなにもわかんないよ! なにもかもがわからないことだらけでもうなにも考えたくない!」


 好き勝手な意見が口々に飛び交う。

 意見を交換しているのではなくて、ただ混乱しているようなもの。

 場は混濁を極める。ブルードラグーンの操舵室に喧噪と戸惑いのみが充満していく。


「はっはっはァ!」


 そんななか軽快なフィンガースナップと高笑いが放たれる。

 一変して船員たちは静まりかえると、根源へ視線と思考を集中させた。

 いうまでもなく高笑いの発生源は、このチームのリーダーであり、もっとも年長の者。東光輝だ。


「そこまでさ迷っている意見を交わし合ったところで答えなんてでるわけがないな!」


 白裾をばさりと払い指を立てる。

 顔には日常とさほど変わらぬ臆面もない自信が貼りつけられていた。

 夢矢はどっと疲れたかのように額に手を当て呆れ果てる。


「なにを当たり前なことを……。しかも東がもっと上手くエルフ国からの情報を伝えてくれればこんなことになってなかったのに……」


 若者たちにすべての情報を明け透けに与えればこうなって当然だろう。

 しかも選択まで委ねるときた。割れるべくしてメンバーたちの意見は割れたのだ。


「未熟ゆえに世界選択が難しい! ならばこういう方法もあるぞ!」


 そしておそらくこの男にとっては若者たちの混乱でさえ掌の上なのだ。

 だからこそ飄々とした身の振りをしながら、なにもしない。


「確定してわかっていることは、ノアに魔女がいて人々を憎んでいるということくらいだ! そして先代先々代艦長たちが狂ったのも元凶が暗躍していたからと考えるのが筋だろうな!」


 のらりくらり。散歩でもするような足どりに硬い革靴の音が同期する。


「そして帰るためには船の修理と世界の狭間に住まう闇の化け物をなんとかしなくてはならない! そんな馬鹿げたことを成し遂げるくらいならノアを見捨ててこのルスラウス世界に住んだほうがマシに決まっている!」


 当然に等しい事実を1枚1枚丁寧に剥いでいく。

 東は、事実という現実を若者たちに突きつけていく。

 まるで見せびらかすかのよう。若者たち1人1人の前を通過しながら「はっはァ!」高笑いを配り歩く。


「ならば――それでも困窮するノアの世界へ帰るというのであれば最低条件としてここにいる全員が第2世代にあがるしかないな!」


 その発現に船内が端々までざわめいた。

 同時に彼の企てが少しずつ判明する。


「俺たちが帰るためには条件があるっていいたいのか!?」


「しかも全員が第2世代にならないと強制的にこの世界に残るってこと!?」


 夢矢とジュンはまったく同時に驚愕した。

 それ以外の場所でもざわめきがひしめく。

 あまりに強引だった。しかし意見をまとめるには残酷なほど最適。

 それもそのはず。この世界には人の生られきる環境が整っている。無酸素無重力の宇宙と比べればわざわざどちらが良いのか問うまでもない。

 帰るか、残るか。これは総勢20余名の船員たちにとって運命の決断でもある。

 しかし東という男はそのていどで満足するような器ではなかった。


「それと――誰かしらの第3世代の到来が必須事項だッ!!」


 ことこの場にいある誰よりも彼は我が儘だった。

 それでいて自信を微塵も乱すことはない。


「俺たちは船を直しつつ強くならねばならない! 奇跡的にノアの民たちが生き残っていたとして、我々が救う側だ! ゆえにノアの魔女の視線が通らぬこの世界で研ぎ澄ませる!」


 ペラペラと語られる夢の話はもはやペテンの手口だ。

 彼の提示する帰るための条件は、人類未到の次世代への到達と、それ以外の第2世代への進化だった。

 これはもう奇跡に媚びへつらう行為に等しい。さすがの若人たちも耳を疑い剛直する。


「賛成」


 しかしこの場に至って無言を貫いていた者がはじめて挙手をした。

 リーリコ・ウェルズは群がる視線を気にすることさえしない。


「条件が整わないのなら大陸世界に残留。条件が満たされれば帰還。とても簡単な方法」


「ま、待て待て待て!? そんな簡単に東の口車に乗るってのか!?」


「しかも第3世代なんてあるかもわからないものを目指すんだよ!? はじめから帰らないって決めているようなものじゃないか!?」


 リーリコの意見にジュンと夢矢は真っ向から立ち向かう。

 しかし彼女は2人のことなんて見ていない。

 ただ整然と。脇目も振らず己の意思を発言する。


「東だって帰りたいはずなのに私たちに託すといっている。それが大人としての覚悟だというのなら受けて立つしかない。上等」


「はっはァ! さすがは王に使える影といったところか頭が良く回る!」


 この方法、要するに若者たちが成長することに重きを置いている。

 つまるところ東にやれることは、なにもない。己の意思は関係なく若者たちにたすきを渡すということ。

 この大一番に至って東は東なりの決断を下す。そしてそれは大人として、若輩たちの背を押す決定打となる。


「俺は俺の意思に関わらずお前たちに命をまるごと全BETしてやる! だからお前たちも俺の期待に応えて本気を見せてみろ!」


 半信半疑で彷徨っていた若者たちの瞳に覚悟が宿っていく。

 道なき生にまさにいま、新たな道筋が完成したのだ。

 やりかたは説明するまでもない。強くなること。そして次の時代に進むこと。

 もし叶わなければ一蓮托生となる。ノアには戻らずこの平穏な世界で生きつづける。

 道が定まると次々に若人たちから気力があふれていく。


「よっしゃあ! そうと決まればやることはたんまりだぜ! フレックスの鍛錬もこなしつつ聖女ちゃんを玉座レースに勝たせなきゃならねぇからな!」


「うん……うん! やれるきっと僕たちはやり遂げられる! 諦めるのならやれることをやりきってからだ!」


「あー……なんか男子たちは熱血ですなぁ。っていうか料理人の私も第2世代目指す感じかぁ……大変じゃない?」


 若い芽が息吹くようにして船内が一致団結した。

 簡単にいうならば資金を稼ぎながら各自にレベル上げをしていくということ。チーム《祈り女神(シグルドリーヴァ)》御旗の元に各々がそれぞれ次のステージに進むことになる。

 そんな活性する若人たちのなかで、うつら、うつら。珠だけは小舟を漕いでちんまい頭を揺らす。


「んぇあ……? じゃあ2世代の私はなにもしなくていいじゃん?」


「良くない。第2世代は未知なる第3世代を目指す。自分だけ楽するのはダメ」


 リーリコにぴしゃりと言いくるめられ「ひえぇ~……」眠たげに不満を漏らすのだった。


「あっ! そういえばミナトくんどうしよう?」


「どうやら反応から見るに聖都にいるっぽいしな。迎えにでも行ってやるべきことを教えてやろうぜ」


 ただ1人だけがのけ者となっている。

 夢矢とジュンはふと気づいたとき「まあ待て」東が颯爽と止めに入った。


「アイツはそこいらの若者より賢いヤツだ。己の答えは己にしかだせないことくらい承知のはずだろうさ」


「ってことは……お前まさかワザと傷つけるようなこといったってことかよ?」


 さぁな。そういって東はジュンの問いを煙に巻いてはぐらかす。

 そうして彼は白裾をたなびかせながら窓のほうに歩み寄ってから一面に広がる空を仰ぐ。

 その子供より広い背には祈り女神の紋章が掲げられている。


「第3者の俺にしてやれるのは……燻っている現状を無理矢理壊してやることくらいだ。作り直すのはあくまでアイツの手次第だがな」


 夢矢とジュンの見つめる視線の先には、どうしようもないほど不器用な男がいた。

 必ず帰る。そう願いたいのは誰でもない。

 唯一の家族を残して世界を渡ってしまった父親のはず、なのだから。



◎  ◎  ◎  ◎  ◎

挿絵(By みてみん)

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