魚心あれば水心2
結婚相談所。
一口に言ってもいろいろな種類がある。
マッチングを中心で行う会社。
お見合いパーティーに特化した会社。
昔の名残からかお見合い形式の紹介の多い会社。
基本は抑えつつ、効率を重視した会社。
放任主義で勝手に頑張ってくださいという会社。
調べれば調べるほどわからなくなるー!
「さっちんはどこにしたのー?」
アイスコーヒーを混ぜながら、テーブルにぐてーっと伸びる。
困っていた時にまさに渡りに船!
さっちんから結婚式の相談を持ち掛けられたのだ。
私の手を払いのけ、チーズケーキを一口食べながらさっちんが言う。
「私は長々相談所にいたくなかったし、腰が重いからぐいぐい引っ張ってくれる所にしたよ。」
確かにずっと彼氏のいなかったさっちんは恋愛に関して無関心というか腰が重そうだが・・・。
「さっちんって決めると行動力すごいから、むしろ自分からガンガン行きそう・・・。」
ついジト目になる。
「確かにそうだけど、上手くいってない時はモチベーション下がるでしょ?そういう時に引っ張ってって欲しかったの。」
「なるほどー。」
「りなちゃんの性格からしてマッチングと放任主義な所はめんどくさくなると思うよ。」
ですよねー。
「お見合いが中心な相談所の男性会員は結構本気度が高いからいいって聞いたことある。」
確かに男性の本気度は大切だ・・・。
「なんだかんだ、一回目のお茶はよく見せようとして男性側が支払ってくれること多いからね。男性も真剣なんだよ。」
こういう時男性って大変だなぁー。なんて思ってしまう。
「りなちゃんさえ良ければ、私の相談所紹介しようか?紹介制度で入会金安くなるよ。」
「その話乗った!!!」
こうしてあっさり私の結婚相談所は決まったのだった。
そして、そこから3時間さっちんの結婚式に関するノロケと愚痴を聞かされたのだった。
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結婚相談所に入って方早2か月。
私は毎週のように面談という名のお見合いをした。
中には2回目のデートまで進んだ人や3回目の約束まで行った人もいる。
「高坂さんからお断りされたんですか・・・。ええ、残念です。」
結構いい感じだと思っていた5個年上の人。
条件も人柄も良さそうだったのになぁ。
こうしてお断りされると地味にくる。
『今回はご縁が無かったのよ。でもね!片瀬さんにご紹介したい方が私いるんですよね!』
相談所のアドバイザーさんからの電話。
『今まで片瀬さん見てきて、この人なら絶対に合うんじゃないのかしらって人がいたのよ!』
「そうですか、でも少し新しい方は控えて今つながってる方と向き合おうかなて思って・・・。」
『駄目よ!片瀬さんあんまり今の方たちも乗り気じゃないでしょ!』
『こうモチベーションが下がり始めた頃こそ、新しい方と出会いのが大切なんですよ。』
『ちょっとでいいから会ってみてくださいよ。絶対に損はしないんですからね!』
「はぁ」
『オーケーですね!相手の方に了承って伝えておきますから!頑張りましょうね!!』
あっという間に約束を取りつてけ電話がきれた。
確かに引っ張ってくれるけど、ちょっと圧が強いアドバイザーさんだなぁ。
そんなことを思っているうちに先方の都合のいい日時と待ち合わせ場所が送られてくる。
仕事早い。
さすが全国ランク入りしてるというアドバイザーの仲さん。
苦笑いしかでなかった。
そして出会ったのは優しそうで話の合う同級生だった。
『片瀬さん、本日はありがとうございました。
ご一緒できて本当に楽しかったです。
今度一緒に今日話していた映画でも見に行きませんか?』
森本さんからお礼メールが来た。
森本さんと話すのは楽しかったし、久しぶりにいいなと思えた。
でも、まさかの同級生。
気まずいにも程がある。
さすがにお断りするしかないよね。
返信メールを打ち込もうとした時、また森本さんからメールが。
『片瀬さんにひとつだけお願いがあります。
同級生だった事気にしてますか?
僕は同級生とか無しにして本当にお話しするのが楽しかったです。
もし、片瀬さんが同級生と言うことを気にされていたとしても、それをお断りの理由にしないでいただきたいです。
もう一度お会いしていただけませんか?
よろしくお願いいたします。』
こんなの、ずるい!
お断りできないじゃん!
そう思いながら次の映画デートの了承メールを打つことになったのだった。