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Arcana Starys  作者: はーみっと
2/3

モモのバレンタイン

遅くなってしまった。スランプ沼

「チョー絶カワイイ美少女ヒーローって言えば?もちろん私の事だよね♪」


今日は2月13日!バレンタインデーの一日前です!もちろん私は今年もたっくさんの人にチョコを渡しちゃいます!


「ねぇ、モモからチョコ貰えたら嬉しいかな?うん、みんなきっと嬉しいで溢れちゃうね♪」


はぁ、今年もこの時期が来ちゃった。私はモモちゃんと長いけど、バレンタインデーにはモモちゃんとっても張り切ってチョコを有り余るくらい作ってしまいます。なぜなら、今もモモちゃんの頭の中には、みんなの喜ぶ姿が映っているから。ちなみにいつも自分の部屋の姿見鏡を見つめながら、こんな事を言ってます。カワイイ。


「ねぇモモちゃん。今年は誰にチョコを配って回ろうと思ってるの?あの年からは毎年言ってるけど、知ってる人全員…と言うか知らない人にまで配って回るのは絶対にやめた方が良いと思うよ。お金は沢山あるのかも知らないけど」


正直色んな意味で、モモちゃんが大勢の人にチョコを渡すのは反対。それで勘違いしちゃう人とか、モモちゃんを好きになっちゃう人がいるかも知れないし。私だけがモモちゃんからチョコを貰いたい。


「今年はちょっとお勉強で忙しかったから少なめだよ?」


そう、最近モモちゃんは自称英雄として活動(自己満足)をすると共に、トップチームをストーキングする。自称英雄活動のお勉強を頑張っていました。


「モモちゃん、あれはお勉強と言うよりストーカーをしていたような気がするんだけど…」


ずっと後を着け回して追いかけているモモちゃん。今までは何をやっても私の方が出来て、モモちゃんに劣っている事なんてなかったけど、英雄が戦っている所を当てる直感。と言うか、もう特殊能力っていいレベル。この前狙撃手であるカイさんの狙撃を見に行っていた時はちょっと怖かったよ。


「大丈夫!もちろん許可は取ってあるよ♪」


「始めに、エドワードさんの所に行って許可を取ったよ。私が『英雄になりたいので、お勉強の為に見学させてもらっても良いですか?』って聞いたらね。『あぁ、うちのチームなら幾らでも見学してくれて大丈夫だ!英雄の新芽を詰む理由はないな。それにうちのチームなら見学者の一人や二人、護りながら戦えるさ』ってカッコよく」


あぁ、モモちゃんのモノマネ。全っ然似てないけどめちゃくちゃカワイイよぉ。


「なら、まぁ大丈夫。なのかな?」


確かにあのエドワードさんなら大丈夫。なのかな?でも、心配。


「あともう一人、いるよ」


モモちゃん、それは誰?基本的に最後に持ってくるのはきっと取って置き。モモちゃんが一番渡したい相手のはず。


「ちなみに、孤高の英雄さんだよ」


孤高の英雄?何故?あんな不親切な人の何が?もしかして私には分からない何かがあるの?


「あの人のどこがいいの?」


「えっとね、あの人一見不親切そうに見えるけど、そんなに悪い人じゃないんだよ?そんな気がするだけだけど、きっといつか仲良く慣れると思う。だからチョコをあげてみようかなって」


なんとなくいけない気がする。けど、モモちゃんが折角頑張ろうとしている事なのに、止めるのも違うような気がする。


「でも、あの人は辞めといた方がいいと思うよ?受け取ってくれないかも知れないし」


「大丈夫、その時にはそのチョコはリンゴちゃんにあげるよ。もちろん、リンゴちゃんの分は別に用意してあるからね♪」


そういう事じゃないんだよ、そうじゃないよモモちゃん。人にあげようとしたチョコを貰っても全然嬉しくないよ。気まずいだけなんだけど。モモちゃんはそんな事気にしない良い子なんだよね。カワイイ。


「てことでこれから頑張って作っちゃうからリンゴちゃんも楽しみにしててね。という事で、ここからはリンゴちゃんにも内緒のお楽しみって事で、ね?」


モモに追い出される形でリンゴは、モモの部屋を後にする。


---夢の中---


あれ、あなたは…。


「あの時の…」


モモは一度この人を見た事があった。モモが英雄を目指した理由。夢の中の王子様だ。


「王子様…」


顔もよく見えない。どこかも分からない。ここの時間が何時頃なのかも。


「また逢えたようだね…」


「私、きっと魔法少女になります!魔法少女は魔法を使って戦う女の子!だから私は英雄を目指すことにしました。それで大丈夫ですか?」


魔法も使えないモモにとって、今自分のしている事が本当に魔法少女に近づいているのかが分からなかった。


「そうだね、君が戦い続ければいつか君にも魔法少女になるチャンスがあるはずだよ。その時にきっと逢える。だから戦い続けていれば良いんだよ」


果たしてどうなるかは分からないけれど、モモにはその言葉を信じて突き進むしか無かった。


---2月14日---


「あぁ…王子様に逢う為にも、絶対に強くなってみせるんだから…。むにゃむにゃ…」


「は!もう朝だ!急いで準備しないとね。今日は幸い休日だし、みんながいる所はだいたい想像ついてるからね。急いで出発しないと…」


猛ダッシュで準備を済ませて、一時間ほどでモモは家を飛び出す。


「確か、馬鈴さんは今日大会があるから体育館にいるはず」


全力疾走で、剣術大会がある会場のセントラル闘技体育館まで駆け抜ける。体育館までの道はそこまで難しい事もなく、中央大通りまでたどり着けば直ぐに見えてくる。


体育館の中に入ったモモだが、大会中の馬鈴には直接会えない事に気づく。ならば、どうしたものかと辺りを見回すと、たまたま馬鈴と同じ学校で同じチームに所属する。これもまた天才である格闘家のゲンがいた。


「あーっ!ゲンさーん!ちょっと待ってくださーい!」


奥へと向かって歩いていく、ゲンに追いつくため、もう一度全力疾走で走り出す。


「ん?あ、よく俺達の戦いを見学しに来る。モモだったっけ?どうしたの?」


冷静そうに話してはいるが、ちょっとだけ嬉しそうな顔から、チョコを期待してるのではないかと伺える。


「バレンタインデーなので、チョコレートを渡しに来ました♪」


「あ、ありがとう…」


物静かながらも、少し動揺している所からきっと嬉しかったんだろうと想像がつく。


「あと、馬鈴さんにも渡しておいてください!」


と言いながら、バッグに入っているチョコレートの袋を2つ取り出して渡すと、笑顔ながらも少し寂しくも見える。きっと自分だけに渡しに来た訳じゃなかった事にがっかりしているんだろう。


「ありがとう、馬鈴にも後で渡しておくよ」


モモはその言葉を聞いて直ちに走り出す。


急いで追いかけてきたりはしなかったが、悲しそうにゲンは叫んでいた。


「あ、しっかりお返しはするから。待ってて」


「はーい」


そんなふうに聞き流して、モモは再び走り出す。次の目的地はエドワードがいる、彼等のチームの本部。セントラル王城の付近にある建物までもそこまで長くは無い。


全力疾走で走って本部に入ると、受付で話している天士を発見する。


「あ!天士さんバレンタインのチョコを渡しに来ました」


その声に気づいて、天士は振り返って、手を振りながら話し出した。


「あら、ありがとう。とっておきのお返しはするから期待しておいてちょうだい」


「あっあと、エドワードさんとカイさんは今何を?」


その質問に天士は少し厳しい顔をして答える。


「あの二人は今任務だから、しばらく近くで時間を潰しておいた方が良いと思うわ。今回の敵はちょっと強いみたい」


任務ならばだいたいどこで起きているかは予想がつくのだが、急を要する。急いでたどり着けなければ事件は解決されて、行き違いになってしまう可能性がある。その上、その後に向かう孤高の英雄の居そうな場所は滞在時間が短い事を踏まえると、ここはまたダッシュで行くしかない。


東に見えるビルの屋上。そこがきっとカイの狙撃ポイントであると見定めて、モモは再び走り出す。正直ここまで全力疾走を続けると体力には自信のあるモモでも呼吸なんかは乱れていた。


ビルに着いた後も、屋上まで登らなければならない。エレベーターはあるがそれも屋上には繋がっておらず、屋上へ行くためには5階分程の長さの階段を登る必要があり、上り詰めた頃にはヘトヘトだった。


予想通り、カイは屋上からその黄金のライフルを使い、敵を撃ち倒した様で、通信機からエドワードの声が聞こえていた。


「よくやったカイ、これで任務は終了。ナイスショットだった」


出来る限り呼吸の乱れを正して、声をかける。


「なっナイスショットです…はぁはぁ…」


そのモモの声でカイはビクッと体を震わせてから振り返った。


「ん?相変わらず…どうして狙撃ポイントが分かるのやら…。それで、そんなに息を切らせて何をしに来たんだ?嘘だよ。君が来た理由はさっき天士から聞いてる。まさかここまで来るとは思わなかったが、バレンタインのチョコを渡しに来てくれたんだね?」


優しく、カイはモモにそう尋ねた。声にして返事をせずとも答えられるようにしてるのも流石の配慮だった。


声も出せず、頷いた後、残る4つのチョコの袋のうち1つを渡した。しかし、モモは走り続けた疲れから、意識を失っていた。


気がつくと、本部の医務室だった。必死に思い出したモモは、きっとあそこで倒れて、カイに運ばせてしまった所まで考えついて頭を悩ませる。


それと同時に、窓の外の空を見ると、もう夕焼けに染まっていることが分かった。


モモの予想では孤高の英雄は今日の昼過ぎから、新作のゲームを買いにいくだろうと思っていたのに、もういまが夕方ならさすがにどこにいるかは分からない。


エドワードにもチョコを渡し終えた後、1人悲しくリンゴの家まで帰っていた道。


「この前の、元気娘。元気ないけどどうした?」


振り返ったモモが見つけたのは、孤高の英雄の英雄だった。手に持っているコンビニ袋と、その中に入っているエナジードリンクから、きっとゲームを買って徹夜でする為に買いにきた帰りなのだろう。察した。


「あ!見つけました!どうぞチョコ貰ってください!」


モモは喜びと共に慌ててチョコの入った袋を取り出した。


差し出された袋を手に取り、孤高の英雄は一言だけ。


「面倒だしお返しとかは期待しないで。じゃあ」


---リンゴの家---


「ていうことがあったんだよぉ凄いよね。はいこれチョコレート♪」


やけに上機嫌だなぁって思ったらそういう事だったの…。

次回は

「騒乱の世界」です

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