僕だけの幸せ
初投稿です。よろしくお願いします。
「ねえねえ僕、今日一緒にカラオケ行かない?他の友達もたくさん誘ったからさ!絶対楽しいよ!」
僕は正直迷った。友人はとてもいいやつだ。みんなでカラオケをすることが楽しくてしょうがないんだろう。だから、その楽しさを僕にも与えてくれようとしている。そこには悪意なんてない。
だけど・・・僕カラオケあんまり好きじゃないんだよね。歌下手くそだし。なにより人見知りだから友人以外とは歌いたくない。まあ結局は、いつも参加しちゃうんだけどね。せっかく誘ってくれてる友人にも悪いし。
カラオケが終わって、もう帰る時間だ。ここに残っているのは僕と、友人だけ。
「今日は楽しかったなー。あ、そうだ。いつも俺が誘ってどっか行ってるから、たまには僕のおすすめのところとかに連れてってよ。僕がどんなところ好きなのか気になるし!笑」
考えとくよ。そう言って僕は友人と別れた。そしてその帰り道、僕はあることに気づいてしまった。
僕、自分が何を好きなのか全然分からない・・・。いつも友人にどこかに連れてってもらってただけだ・・・。そういえばここ数年、心から楽しいと思ったことなんてあっただろうか。心から笑ったことなんてあっただろうか。
そんなことを考えていると、近くの公園で話し声が聞こえた。学生二人の声だろうか。
「うわ・・・お前ってよく昆虫の観察なんてできるよなあ。理解できねー。俺だったら無理だよ。怖くて近寄れない。」
「だって、私にとっては楽しくてしょうがないんだもん。だからこれはやめられない。誰にどう思われようともね。あなたにだってあるでしょ?何かそういうの。もしないんだったら、見つけたほうがいいよ。見つければ本当人生変わるよ。それが生きがいになるんだ。私は昆虫を見ていると、とても幸せな気持ちになる。私、よく考えることがあるんだけど、幸せってなんだと思う?人って誰しもが幸せになりたいと思って生きてると思う。でもさ、自分にとっての幸せが何か分かってない人って意外と多いよ。だから世間一般で幸せとされていることが、幸せなんだって思い込んで生きてる人がたくさんいるんだ。そんなのは実現できたとしても幸せを感じるとは限らない。でも、自分にとっての幸せが何か分かっている人は違う。それを達成できた時、本当に幸せな気持ちになれるんだ!」
「いや、話が長すぎるわ笑。ただなんとなく思ったこと口から出ただけだって!悪かったよー。」
僕は昆虫を観ていた学生を見て、衝撃が走った。あの公園からはもう大分離れたというのに、僕の心臓はいつも以上にバクバクと動いている。
言葉の力強さもそうだけど、なによりとてもキラキラして見えたんだ・・・!あんなに心から笑ってる人、なかなか見れるものじゃないだろう。
いや、待て。そういえばあんな笑顔を見せる人が、僕の近くにいるじゃないか・・・!あまりに一緒にいたから気が付かなかった。友人は、友人にとっての幸せが何か分かっているから、あんな笑顔を見せることができるんだ・・・!
あんな笑顔を見せることができる人間になりたい。心から笑える人間になりたい。僕も見つけよう。僕だけの幸せを。
幸せに限らずですが、まず自分自身のことがよく分かってないと優柔不断な人間になって、損することも多くなると思います。