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死亡フラグを回避したいだけなので!  作者: 春河マキ
第1章 回避のために
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3話 難航する婚約相手探し

「ぐううぅ〜」


 目の前の机に置かれた膨大な資料を見て思わず顔が引きつる。私は今からこの資料全てに目を通さねばならないのか...。


「お嬢様、大丈夫ですか?」


エミリーが心配そうにしてくる。


「あ、うん。大丈夫...。」


 この資料には私の住む国の全ての伯爵家、貴族家の名前と詳細が載っている。お兄様に婚約を認めさせるためには相手がある程度の地位にいないといけない。また、相手は長男以外がいい。長男だとゲームの攻略対象と関わる可能性が高いからだ。


生きるためだ。頑張ろう。


 私が一つ目の資料を手に取ったとき、ドアがノックされた。


「おや。ここにあったか。」


「お祖父様!何がですか?」


「いや、その資料が書庫から消えていて、失くしたのかと不安に思っていたのだよ。どうしてクリエラが?」


 ニコリと優しく微笑みながら聞いてきた。この微笑み、優しさ、温かさ。従兄弟のディランとは大違いだ。


「私は、他の家を全く知りません。社交界デビューを見据えて、今から勉強しようかと。ある程度の知識があると、話のネタを見つけやすいですし。」


私が言い終えた時、お祖父様は驚いた顔をしていた。


「クリエラ...そんな事を.....」


「お、お祖父様?」


 しまった!私はまだ13歳。この年でここまでの事を考えるとは思えない!前世の記憶が戻った事は出来るだけ悟られたくない。


 黙ってしまったお祖父様を見ていたら、いきなりガバッと抱きしめられる。泣き声が聞こえるような...


「成長したんだな!!私は嬉しいぞ!」


「えぇ?!」


 クリエラがワガママに育った理由の1つはこの人か!!良いように解釈し過ぎ!


★★★


「や、やっと行ってくれた...」


 あれからお祖父様は"私に何か手伝えることはないかい?"とか、"そうだ!踊りを今から教えようか?"とか、私の力になろうと色々考えてくれていた。正直今はほっておいてほしい。早く婚約者候補を探さねばならないのだから。


 私は資料を読みながら婚約者候補リストを作成していった。


★★★


「ふ〜。つ、疲れた。」


 リストを作成し終えた頃にはどっぷりと夜がふけていた。夕食はもう食べた。ちなみに、夕食の時は必ず家族揃って食べるのが我が家のルールだ。それに、お祖父様が一人で食べることを許さない。(寂しいから)


「お嬢様、そろそろお風呂に入られたらどうです?」


 いつの間にかエミリーが着替えを用意し、複数のメイドを連れてきた。


...お風呂か。


 前世ではお風呂が好きだったが、今の時代のお風呂は好きになれない。何故なら、他人(一応メイドだが)に体を洗われるからだ。正直恥ずかしいし、くすぐったい。


「(今までの私、よく耐えれたなぁ。)」


やはり、慣れは大事らしい。


「(それは置いといて、婚約者候補が思っていたよりもいて良かった...。)」


 明日は有力な人から順に手紙を送ろう。仲良くなってきたら実際に会って、交流を深めていこう。


★★★


「...え?」


 目の前に広がる返信の手紙の数々を前に、ただ呆然と立ち尽くす。


「どうして....」


どうして全ての人に文通を断られているの?!


「と、取り敢えず理由が書かれていないか確認しよう!」


 数分後、私はベッドに包まり、焦りを感じていた。それぞれの手紙には"貴女と僕は、おそらく合いません。"という内容が書いてあった。つまり、"性格が悪いとを僕は聞いています。そのような方とは関わりたくありません。"という事だ。ですよねー。


「(まさか全員に断られるなんて...)」


せめて一人だけでも良いから...


婚約者候補を見つけるのは中々難しそうだ。


「(自分磨きをして周りの私に対する反応を変えてから、もう一度手紙を出すか...。)」


あぁ、先が思いやられる......。


★★★


同時刻、ワトソン家のライバル家にて


「失礼します。」


その家の執事が1人の少年に手紙を渡す。


「手紙...。誰からだ?」


「グラス家でございます。」


「グラス家といったら現伯爵が軍事と商業関係で一気に急成長をした家じゃないか。外交を主に行うこの家とは接点なんて無いだろ。」


少年は訝しげな目をしながら手紙の封を開ける。


「(クリエラ・グラス...性格の悪い令嬢だと噂に聞いているけど、手紙はまともだ....。)執事。返信の手紙を。」


「はい。内容は?」


「来月の我が家の茶会への招待文を。」


「了解しました。名前はどうしますか?家の名前で出しますか?」


「いや、俺の名前でいい。」


「では。失礼します、リアン様。」


「(本当に彼女の性格が悪いのか、確認してみよう。)」


リアンは好奇心の笑みをみせた。

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