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1-7 中国大返しをよりスピーディーに

 毛利との交渉が終わったならすぐにでも出発しないとな。これからは時間が勝負のカギだ。


「ここから京まで全軍を引き連れて行くと何日かかる?」


「普通ならば二十日は必要かと。急げば五日ほどは短縮できるかも」


 官兵衛がそう答えるが、いくらなんでも今から二十日もかけていては遅すぎる。


「それでは遅すぎる。明智が迎撃態勢をし終えてしまう。

 それに徳川や柴田がどう動くか。」


 秀吉の中国大返しが歴史に残ってるのも、きっと常識はずれの行動だったんだろうな、具体的に何日かかったか記憶にはないが、二十日ってことはないだろう。その半分くらいだったんじゃないのか?

 秀吉抜きでやろうと思っても、ムリかもしれないな。

 となると、俺がなんとかするのがいいか。


「わかってはおりますが、なんとも」


「しかたがない。俺がそこはなんとかしよう。

 その前に事前に俺たちで予定戦場を見に行かないか?」


「「「は?」」」


「さっき、毛利の陣に行く時に瞬間移動使っただろ?

 俺の行ったことのある場所や見えている場所になら一瞬で飛べるんだよ」


 どうもポカーンとしちゃって理解できてないようだ。

 まぁムリもないか。

 自分ながらこれはチートすぎると思うからな。


「とりあえず、飛んでみるぞ」


 途中で徳川家康と出会ったあたりに四人で瞬間移動してみた。


「摂津と山城の境あたりらしいんだが」


 三人はあたりを見回していたが、そのうち、


「確かに見覚えのあるところだ。摂津国に間違いない」


 小六がボソリとそうつぶやくと、小一郎は


「もう二里ほど南西に兵を集めるのにいい平地があったと思うんだが、そこへ行けるか?」


「んー、あのあたりかな? 飛ぶぞ」


 おおまかな記憶を頼りにもう一度瞬間移動してみる。


「ここならもってこいだ。

 翔太、ここに兵を集められるんだな?」


「あー、一度に連れてこれるのは十人が限度だ。

 何度も往復することになるがな」


 瞬間移動は同時に飛ぶ人間のMPを利用できるから、MPのほうは問題ない。

 帰りも誰か一人ついてきてもらわないとMPの問題があるのが面倒だがな。


「兵は全部で何人いるんだ?」


「およそ二万人です」


 十人と言っても一人また戻さないといけないから、一度に九人として十秒で往復したとすると、一時間に三千人くらい運べそうだな。

 二万人となると七時間飛びっぱなしか……

 すげぇ重労働だな。 


「じゃ手分けして、向こうで兵を九人ずつひとかたまりにしておいてくれ。馬や荷物も持たせてな。

 俺はそれをこっちへどんどん連れてくる。

 こっちはこっちで、連れてきた兵をまとめていってくれないか」


「じゃ、小六は向こうで頼む。

 最初に浅野長政あさのながまさ堀尾吉晴ほりおよしはる山内一豊やまのうちかずとよの三人をこっちに連れてきてくれ。

 こっちで兵の整理を三人にさせよう。向こうでも適当に誰か使って整理させてってくれ。

 私と官兵衛とは早急にこちらでいろいろ外交に入りたい」


 小一郎からの指示で役割分担ができたようだ。

 俺は小六を連れて備中に戻り、さっそく瞬間移動での兵輸送の作業にはいった。


 そこからはもうひたすら単純労働。

 小六の指示に従った九人とその前の復路に使った一人を加えて摂津へ瞬間移動。

 先ほどとは違った一人を連れてまた備中へ瞬間移動の繰り返し。

 うーん、十秒で一往復はきつい。忙しいなんてもんじゃない。


 数えてなかったけどもう何時間経ったのやら、日が暮れてきてどちらも松明つけてやがる。

 腹が減ったなと思ってたら、小六が握り飯と水を用意してくれてた。

 気が利くじゃねぇか。

 でも、ひとくち食べては瞬間移動、またひとくち食べては瞬間移動と……

 自分で言いだしたこととはいえ、この作戦はつらたん。


 そしてもうすっかりあたりは真っ暗。

 完全に深夜だ。


「これで最後です」


 小六の声がした。

 終わりだな、本当に終わりだな。

 小六も連れて最後の瞬間移動。


 疲れた、とにかく疲れた。

 別に肉体的にはなんでもないが、精神的にはもう完全にグロッキーだ。

 二度とこの手は使わんぞ。


 最後の瞬間移動をした後、摂津で官兵衛がなにやら用があるようだったが、


「後はまかせた。限界だ、寝かせてくれ」


 どうだ。

 これなら秀吉の大返しより何日か早いだろう。

 

 用意してくれた寝所で俺は朝まで死んだように寝た。

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