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1-4 大阪の連中はどうも信用できない

 やっとのことで大阪についたものの、どうやら目当ての織田信孝も丹羽長秀も岸和田へ行っていて留守らしい。

 せっかく四国討伐のためにこれだけのまとまった軍勢がいるんだから、今すぐこの軍勢率いて攻撃すればチャンスなのになぁ。

 指揮官不在じゃどうしようもない。それどころか俺たちと前後して、本能寺の変の情報が入ったためにすごく動揺している。このままじゃ危ないなと思うが俺に何かできたものじゃない。


「どうする?

 岸和田ってとこへ行くか?」


 ここは坊さんの意見を聞いてみるか。


「私はそれが一番かと」


「ちょっと思ったんだけど、丹羽長秀のほうは信用してよさそうだけど、織田信孝のほうは信用できるのか?」


「信孝様は右府様の三男なれば……」


「そこが逆に気になるんだ。

 この坊やは嫡男の子なんだろ?

 後継者争いで邪魔になるからドサクサ紛れに今のうちに殺しちゃおうとかいう心配はないのか?」


「う……」


「信孝って坊さんから見て人間的に信用できるのか?」


「こう言ってはなんですが、そこまで信をおいていいかどうか……」


「他にこのあたりに坊さんから見て信用できるやつとかいないのか?」


「……そうだ。少し離れますが、ここより西の兵庫城におられる池田恒興いけだつねおき殿なら間違いないと」


 池田恒興か、聞いたことのある名前だな。詳しいことは知らないがな。


「よし、坊さんの人を見る目を信じて、そっちにするか」

 

 坊さんが替馬を手配してくれたので、そのまま西へ。

 兵庫城ってどのあたりだろう? 神戸のあたりかな?


 ☆

  

 馬を飛ばしたおかげで意外と早く目的地まで着いた。

 門番と坊さんがあれこれ言い合ってるが、ここは坊さんにまかせておこう。


「菅原殿、やっと話がつきました」


 俺は坊さんの後について城内へ入った。

 そのまま城主の間へ案内された。前に座ってるのが多分、池田恒興なんだろうな。


「前田殿、よくぞ参られた。

 京の状況、あれこれ真偽ままならぬ情報が入り乱れておる。

 配下の者を調べに行かせておるが、そなたならいろいろ知っておろう。

 上様はどうなられた」


「惟任日向守の謀反により上様は本能寺で討たれた様子、中将様も妙覚寺にて。

 私は中将様の命にて三法師様をお逃がせするため、妙覚寺を脱出する際に襲われたところをこちらの菅原殿に救われ、ここまで送って頂きました」


「むむ、上様はすでに。

 間違いであってほしいと思っていたが……

 それで、何故ここまで。

 大阪には信孝殿も居られたであろうに」


 坊さんから恒興に大阪での状況、そして信孝を信用していいのかということなどを正直に伝えた。


「確かに……

 その判断は正しかったかも知れん。

 それにしても、わしを信用してくれたことは何よりだ。

 その信用を裏切るわけにはいかんな」


「三法師様のこと、お頼み申す」


「わかった。わしにまかせろ」


「じゃ、そういうことなら、俺の役目も終わりだな」


 池田恒興というこの男、信用していいと俺は判断した。

 少なくとも嘘を言っていないことはスキルで確認済みだ。


「菅原殿と申したか。

 このまま織田家に仕える気はないか?

 腕に自信もありそうだし、すぐに明智との戦がある。

 三法師様救出の功に加えて、戦で功名立てれば立身出世もすぐだぞ」


 池田恒興からの誘いも面白そうではあるが、


「それより明智との戦ってなんとかなるのか?

 大阪にいる兵たち、あのままだと四散しちまいそうだぞ。

 そうなると兵が足らないんじゃないのか」


「んむ、この後、わしが大阪に出向いてみるが、それは心配だな。

 お主、何か考えはあるのか?」


「今、毛利相手に攻め込んでる兵力と合同できないのか?」


「木下に黒田か。あやつらが明智に与しているかが問題だな。

 木下秀長はあの性格でそういうことはなかろうと思うが、黒田官兵衛は得体が知れん。

 実は明智とすでにということも考えられる。

 だが、あの兵力は確かにほしい」


「よし、俺が行って見てこよう。

 木下秀長は信用できる。黒田官兵衛はどちらかよくわからん。

 そういう認識でいいんだな?」


「あぁそのとおりだ」


「ならそいつらの腹を確かめてこよう。

 もし、黒田官兵衛が明智と組んでいるような斬る。

 そして木下秀長と兵を連れてくる。

 それでいいな」


「それができれば万々歳だ。

 わしが秀長宛に一筆書いておこう」


「頼む。一刻を争うだろうから、準備できたらすぐ出発する」


「わかった。すぐ用意しよう」


 待っている間に俺は坊さんに目的地の地図を書いてもらっていた。

 ずいぶん適当な地図だが、まぁしかたがない。

 俺の理解した限りでは、どうやら目的地の高松城は岡山の北のほうらしい。


 ☆

 

 書状の準備が出来たようなので、さっそく高松城へ向かうことにした。


「召喚!グリフォン」


 お、ちゃんと使えるな。普通の魔法はともかく、召喚はこっちで使えるか不安だったんだが。

 召喚されたグリフォンは、あたりをキョロキョロと見回し、見慣れない光景にちょっと落ち着かない様子。

 だが、俺がまたがると安心した様子で、力強く大空へ飛び立った。

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