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1-3 家康が無事でないといろいろ困るじゃないか

 夜通し駆け続けた結果、山城国やましろのくにを抜けて摂津国せっつのくにに入ったらしい。

 土地勘がないってのは困ったものだな。京都府から大阪府にはいったあたりと考えればいいのか?

 京都から大阪って新幹線だと30分かからないんだよなぁ。


 俺は元気なんだが、坊さんや子供はそろそろ体力の限界だろう。

 魔法でHP回復させたとはいえ、斬られて血も流してるから体力的に危なそうだ。

 とりあえずこのあたりまで来れば安心じゃないかということで一休みすることにした。

 近くの民家で、休ませてもらえるように坊さんが交渉。

 こういうときはいろいろ頼りになりそうだ。


 粥をご馳走になった。

 正直言ってあまり美味くはなかったが、米だと言うだけで懐かしくて涙が出そうだ。


 腹がふくれたせいか、そのまま二人はぐっすり眠ってしまった。

 俺も今のうちに少し体を休めておくか。

 一応、害意のあるものが近づけばわかるように三人を魔法で包み、うつらうつらと。


 ☆


 おっと、すっかり眠ってしまってたぜ。

 考えてみれば俺は魔王討伐からずっと寝てないじゃないか。

 坊さんたちよりずっと疲れてたってことをすっかり忘れてた。

 まぁ元気だったからいいんだが。


 あたりは夕方、しばらくすると坊さんも起きてきた。

 これからのことを打ち合わせてと思っていたが、遠くで何か剣の触れ合う音がする。

 坊さんに一言断って様子を見に行ってみたところ、街道をはずれた山中で十人ほどの侍の集まりが武装した農民たちに襲われていた。

 来るのがちょっと遅かったようだ。

 今から割り込んでも助けられそうにないな。

 どうやら落ち武者狩りってことか。

 危険なのは明智の追手だけではないってことだな、用心しないと。


梅雪ばいせつ様……」


 武士の一人の声が聞こえた。

 主人の名前かな?

 助けられなくてすまんが、特にどっちにも恨みもないんだからな。

 これ以上いろいろしょいこむのは、ちと勘弁してくれ。


 坊さんのところに戻って今の話をすると、


穴山梅雪あなやまばいせつ様かもしれないな。

 確か、徳川家康とくがわいえやす様とともにさかい見物をしていたはずだが」


 家康とか最重要人物じゃん。

 そういえば、本能寺の変の後に伊賀いが越えとかして九死に一生をえるんだっけ。

 大丈夫とは思うが少し心配だな。三法師も死にかけてたし、歴史どおりに無事とは言い切れない。

 ここで秀吉についで、家康までいなくなったりすると、もう歴史が修復不可能になりそうだ。

 なんか無性に気になる。

 すっごい嫌な予感ってやつだ。

 俺のこの予感は八割くらいで的中するんだよな。悪いほうにばかり。


「ちょっと気になる。

 ここで待ってろ」


 そう言い残して家康を探すことに。

 さて人物探知のスキルが使えるかどうか。

 本来は会ったことのある人物にしか使えない呪文なんだが、異世界では「魔王」とか重要人物には会ってなくても使えたからな。

 家康なら探知できるかもしれない。


 やったぜ。

 しっかり反応してくれた。

 五キロメートルほど先か近いな、山道っぽいし、馬より走ったほうが速そうだ。

 勇者の全速力ってやつを見せてやるぜ。


 そのまま駆けつけると悪い予感が少しだけ的中。

 三十人くらいの一行が落ち武者狩りと戦っている。頭数こそ襲ってる連中のほうが多いけど、侍たちのほうが押している様子。

 ほっておいても問題はなさそうだ。

 でも、万が一ってこともあるな、勝手に助太刀するか。


「助太刀するぜ」


 後ろから落ち武者狩りの連中を切り刻んでてラクチンと思ってたら、家康一行のほうからも攻撃されたよ。

 そりゃまぁ俺も怪しいやつってことには違いないけどさ。


 ほぼ片付いたようなので、また攻撃されないうちに退散するとしよう。


「待たれよ。

 助太刀感謝する」


 ステータスを確認しておくか。


 名前:徳川家康

 職業:大名


 うん、家康で間違いないようだな。想像と違ってデブじゃないぞ。

 あー、あの肖像は年取ってからのものか。

 まだまだ働き盛りだからな。


 家康はああ言ってるけど周りの家来衆が怖そうなので遠くから。

 だって、なんかすごい顔してこっち見てるよ。

 三河武士みかわぶしって怖そうだよ。


「これで失礼しておくよ。

 家康さんが無事だったら俺としてはそれで問題ないからな。

 これから伊賀越え大変だと思うけど気をつけて行ってくれ」


「伊賀越えとな。

 その手があったか」


 おいおい、他のルートを取るつもりだったのかよ。


「確かそちらの一行には服部半蔵はっとりはんぞうとかの伊賀出身のやつがいたはずだろ。

 それなりに、顔が効くんじゃないのか?」


「確かに山城を抜けるよりはるかに安全度は高い」

「いや、罠ではないのか」

「このようなやつの言うことを聞くとかろくでもないぞ」


 好き勝手言ってやがるな。


「まぁ好きにしてくれ。

 じゃ俺はこれで」


「待たれよ。名前だけでも」


「菅原翔太だ、生きていればまたそのうち会うこともあるかもしれないから、その時に。

 くれぐれも死なないでくれよ」


 本当は家康だけでも拉致って安全なところまで送り届けたいところではあるが、坊さんや子供という先約がいるし、何よりこの三河武士どもに話が通じそうにない。

 こいつら全員たたき殺していくわけにもいかないしな。

 まぁ錚々たるメンバが揃ってそうだし、きっとなんとかなるっしょ。

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