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3-5 天下ニ分の計

 官兵衛からの報告によれば、家康と信雄の密約が進んでいるようだ。

 信雄の重臣たちから一斉に報告があがってきたとのこと。なんだかんだとすでに信雄は家臣たちからも見放されてるんだよな。

 一人で踊ってくれるのも結構なんだが、どうしてこう馬鹿な真似ばかりをしてくれるんだろう?


「家康の本拠地って今は浜松はままつ? それとも駿府すんぷ?」

「浜松城でしょう。駿府と移ったという話は聞いたことありませんが……」

 官兵衛がそういうのなら浜松城なんだろうな、いつ頃、駿府に移転するんだろう?


「ちょっと家康に会ってくるよ。将来のことについて話してくる」

 俺は官兵衛にそう言い残すと、清須まで瞬間移動した。


 ☆


 あいにくと、東海地方は清須までしか来たことがないんだよな。ここからがグリフォンでの旅になる。

 なーに、浜松のあたりなら地形はわかると思う。多分だけどな。


 浜名湖を過ぎてすぐにそれらしい城を見つけることができた。なんか想像してたよりとても粗末な感じの城だな。

 姿を消してそっと忍び込む。

 徳川家の侍たちに見つかるといろいろ厄介そうだ。誰に聞いても三河武士は融通が効かないって言うからな。


 なかなか時間がかかったが、家康が一人でいるのを発見した。

 いきなり声をかけても大丈夫だろうか?

 まぁ騒がれた時はその時だ。


 俺は姿を現して名乗った。

「はじめまして、菅原伊勢守です」

 俺がいきなり姿を現したにもかかわらず、家康は落ち着いているな。さすがに腹が座っているようだ。


「以前、本能寺の変の後に会ったことがあるような気がするが」

 おっと、家康はあの時のことを覚えていたのか。


「覚えていていただいたとは光栄です」

「あのときもなにやら見慣れない格好をしておったしな。その後の伝わってくる名前もあり記憶していたよ。

 それで、今日はなにかな? わしの命でも取りに来たのか?」


「いやいや、あの時もそうだけど今もあんたには生きていてもらわないと、俺としても困るからな」

「おや、それは助かる話だな。それではどのような用が?」

「そうだな、まずは線引きをしておこうかと」

「ほー、線引きとな」


「信長とあんたとの清洲同盟をもう一度ってのはどうだい? 俺は尾張から西を統一しよう。

 あんたは三河から東を統一する。

 それで天下のことはなるってものだ」

「信雄殿も似たようなことを言っておったぞ」

「やつにそれができるとでも?」

「まさかな」


「信雄と同盟してたとえあんたが勝ったとしても何も利益はないぞ。

 それくらいなら、甲斐かい信濃しなのを早く安定させ、関東を狙ったほうがいいだろう」

「おや、甲斐・信濃をわしが領有することを認めると?」

「認めるも何も、実質すでにあんたがほとんど支配してるだろ。あとは真田さなだくらいか?

 越後えちごはすでに俺の方になびいてるから勘弁してほしいが、残りは全部好きにするがいいさ」

「話が早いな。だが、関東はさすがにわしの手にはきついな。北条ほうじょうとも悪い関係ではないし」

「四国のことが終わればこちらも手が空くから、北条との戦いは手を貸すぞ。そのかわり、それが終わったら九州攻めに手を貸せ」

「ほー、話がでかくなったな」

「九州が終われば奥州おうしゅうなどはどうにでもなるだろう。それで天下統一だ」


「その後はどうなる? わしとお前と二人で天下を分け合うのか?」

「んー、あんたの好きにするがいい」

「多分、その頃には俺はいなくなってる」

「いなくなる?」

「あー、俺はこの世界の者じゃないから。やることをやったら、俺は消えるよ。

 後はまぁ、あんたが好きにすればいい」


「ははははっ、なかなか面白い話を聞かせてもらった」

「まぁ、そこまで上手くいくとは思ってもいないがな」

「とりあえず、わしはどうすればいいのだ?」

「俺がちょっと信雄をお仕置きするから、黙って見ててくれればそれでいい」

「そうか、わしは知らずに真田でもいじめておるとするよ」

「真田はあれで手強いからな、噛みつかれるなよ」

 まぁいざとなったら真田と家康との講和は俺が斡旋すればいいか。

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