3-3 大阪城は日本一
阿波一国の制圧にはまだ時間がかかるだろうが、長宗我部軍の讃岐への補給路は完全に遮断できた。
かつて三好氏の居城であったと聞いた勝瑞城を本拠地として守りを固めることにした。
阿波の制圧より先に讃岐から長宗我部軍を駆逐することを最初の目的とすることになった。
そんなある日、勝瑞城に官兵衛からの使いの者が来て、何か話があるとのことで単身引き返すことにした。
官兵衛は河内国の高屋城で待っているとのこと。高屋城は小一郎が大阪方面に来た時に利用していた城だな。
官兵衛はあまり誰の城ってこと気にせずに使いまくってる気がする。
「四国攻略は順調そうで何よりです」
官兵衛は会うといきなりそういう話になった。一応お互いに情報は密に交換している。
「そちらはどんな感じなんだ?」
「信雄殿が信孝殿を謀殺しました」
やはりそういう展開になってるのか。
「それで、今日は改めて何の用なんだ?」
「翔太は城を建てるつもりはありませんか?」
「一応、山崎城が居城ってことになっているが」
「仮の城と思っていたら、いつのまにか居着いてしまってましたね。
信長様の安土城のようにもう少し立派な城を建てたらどうかと思うんですが」
もしかして、これはあれかな? 正確な建てた時期とかは知らないが、あの城がないとな。
「官兵衛はどこに建てるのがいいと思うんだ?」
「石山の本願寺の跡はいかがでしょう?」
やはり大阪城ってことだな、これは。
「あそこは今どうなってるんだ?」
「現在は池田恒興殿が管理しておりますが、池田殿は美濃の地に移転をご希望のようです」
「摂津が空くって感じか?」
「はい、翔太は賤ヶ岳の後も加増のないままですし、小一郎の旧領も含めて、今の山城の一部に加えて摂津・河内・丹波を領地としていただきたいと」
「それって俺がもらいすぎじゃないか?」
「そろそろ覚悟を決めてもいいんじゃないですか?」
痛いところを突かれてしまったな、これまで曖昧にしてきたんだが。
「小一郎がいなくなって、天下を考えるともう翔太しかいないんですよ」
「官兵衛はそのつもりはないのか?」
「本心を言いますと、実はそのつもりだったんですよ。翔太も曖昧な態度なんだからわたしが天下人になればと。
自惚れでなくそれだけの才覚はあると思っていましたので。
でも、ダメなんですよ。わたしが上に立つとうまく回らないことがわかったんです。
今までは小一郎を神輿にすることでうまくいってたのですが……
ここらで翔太には観念してわたしの神輿になってもらいましょう」
こいつ、ここまでぶっちゃけて来られるとは……
「俺は小一郎のように素直な神輿じゃねえぞ」
「わかっていますよ。何やら腹に隠し事もいろいろあるようですし。
それもこれもひっくるめて、神輿になってください」
ここまで言われたらもう後にはひけないか。
「わかった、好きに担いでくれ。神輿にでもなんでもなってやる」
「ありがたい、それで話は城に戻るんだが、石山でいいか?」
「あぁ、あそこならもってこいだ。
大阪城だ。でっかいのを建ててくれ」
「大阪城ですか、わかりました。
それで資金の話になるんですが、半分ほど当てにしてもよろしいですか?」
「んー、そのあたりは浅野長政の方に聞いてくれ。
どのくらい出せるのか、よくわからん」
「わかりました。さっそくいろいろ動かせていただきます。
城の縄張りなど一切わたしのほうで進めさせていただきますので」
「まかせたからには、一切合切まかせたから好きにやってくれ」




