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2-2 信長と面識なかったんだが葬式を俺がやってもいいのか?

「葬式をしましょう」


 官兵衛がやってきたかと思ったら、いきなりわけのわからんことを言い出した。


「なんか縁起でもないことを楽しそうに提案されてもわけわからないって」


「おや、翔太はいつもやたらと察しがいいのでこれで通じるかと思ったんですが」


 いや、歴史的な大イベントはそれなりにわかるんだが、あまり歴史通ってわけじゃないから細かいイベントはわからないんだよな。

 清州会議の後は賤ヶ岳の戦いまでその間にどう歴史が流れたとかさっぱり知らん。


 不機嫌そうに俺が黙っているので官兵衛が細かい話を始めた。


「信長様の葬儀を誰もやっていないようですので、我々でやってしまおうかと」


「我々って言われても喪主とかどうするんだ?

 三法師は信孝がガッチリ握ってるし」


「信長様のお子様のうち、四男の長勝ながかつ様が京におられますので、そちらにお願いするよう根回ししてあります」


 長勝って聞いたことがない気がするんだが……四男って言ったな、確か秀吉のところへ養子に行った子が一人いたよな。そいつか?

 秀吉の養子にならなかったから名前が違うんだな。


「ふーん、それでどこでやることにしたんだ?」


「信長様は朝臣で正二位しょうにい右大臣うだいじんですので帝にも列席いただき、京で葬儀を行うのがよいかと」


「京ねぇ……ってことで俺が絡むのか」


「翔太と小一郎の主催ということになります」


「ちょっと待った。俺が主催とかそれ変だろ、どう考えても織田家の重臣たちが文句言うだろ」


「いやいや、あくまで朝廷による葬儀ですから、官位の高いものが主催しないわけにはいかないでしょう」


「え?」


「菅原伊勢守と木下河内守は従五位上じゅごいじょう、他の柴田修理亮しばたしゅりのすけ織田信孝侍従おだのぶたかじじゅうらは従五位下じゅごいげですからねぇ」


 この官位自体が官兵衛の悪知恵であったか。誰もそんな官位の細かい上下とか知らねぇし。

 こいつ怖いよ。

 敵に回したくないタイプのナンバーワンだよな。


 それにしても、信長と一度も会ったことがない俺が葬儀の主催ってのは絶対何か間違ってるよな。


 ☆


 清州会議以降、織田家の家臣団は柴田派と木下派とに分かれて多数派工作が行われていた様子。

 主に山崎の合戦参加組から織田信孝を除いた面々が木下派の中心。それ以外の面々が柴田派って感じだ。

 織田信孝が柴田派に行くと、何故か織田信雄が(呼んでもいないのに)こちらへ来るってのが兄妹の対立だろう。


 織田家の面々に招待状を送ったのだが葬儀に出席したのは半数くらい。まだ旗幟不鮮明な奴らがそれなりにいるが、だいたい敵か味方か見えてきた。

 敵とわかった面々を一つずつ潰していって柴田勝家を孤立させるというのが、官兵衛の主たる戦略である。

 根回しが上手くいったのか近江の蒲生賢秀がもうかたひで美濃みの稲葉一鉄いなばいってつがこちらについたのが大きそうだ。


 葬儀は官兵衛の筋書き通りに上手く進んだ。信長の遺体は本能寺で灰になっているので、替わりに作った香木こうぼく荼毘だびに付すことで周りに香ばしい香りが広がった瞬間、俺のスキルの効果でまわりが光に覆われ、信長が天に召されるという演出だ。

 本当はただの解毒魔法なんだが、ちょうど魔法使ったときのエフェクトがいい感じだったのでこれにしたんだ。

 こういう演出はくさいほどいいってのが官兵衛の主張だが、なんか周りも喜んでるし、これはこれで成功なんだろう。

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