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赤き荒野に黒字の帳簿を  作者: カルカロフ
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8話 遅滞攻撃

8話 遅滞攻撃


 ユーリーはロブ、メルと共にハーフエルフたちから馬を借り、ストーンウォールと数人のハーフエルフたちと共に集落から5マイルほど離れたかつては関所であっただろう廃墟に向かっていた。他のメンバーは斉射砲を設置するための手伝いと地形把握に努めてもらわないといけないので留守番だ。


 2時間ほど馬を走らせると、渓谷に挟まれた森林と湿地帯の出口にその関所跡が見えてきた……今にも通過しそうなアメミット10数匹と一緒に。

 150mほどの距離まで近づいたところでストーンウォールが号令をかける。


「全員銃を抜け!各自射程に入り次第任意射撃だ!一発撃ったら馬を下りて白兵戦に備えろ!」


 エルフたちは俺たちが持ってきたリピーティングカービンでなく、さらに破壊力に秀でたライフルマスケットを構えていた、雷管をはめハンマーをコックし各自のタイミングで発砲していく。

 一方で俺たちバヨネットの残党ででそんな騎乗射撃の腕前を持っているのはジェイだけだ、ここでは撃てない。


「メル!ロブ!下馬して射撃だ!エルフの5歩後ろにつけばいい。俺は馬上で囮になる。」


 例のとっておきの重量を背中に感じながらポンコツのレバーアクションピストルを構える。二人も馬から降りて銃を構える。ロブは例のリピーテォングカービンを、メルはいつも通りのトラップドアのようだ。


 最初の一斉射撃でマスケットから出た大量の煙が沸き立ち視界を悪くする。しかしそれをかき消すようにエルフたちが長銃身のリボルバーを抜き片手で撃ち始める。片手には驚くことにサーベルを抜いているやつがいる。


 一方メルとロブは兄弟ならではのコンビネーションでアメミットに弾丸を叩き込んでいる。

メルのトラップドアからキーンと薬莢がはじき出され、次の瞬間には俺たちに気が付いて走り始めたアメミットの一匹が滑るように転び叫び声をあげる。


「死ね!無駄に図体ばっかりでかくなった爬虫類め!」


 ロブが叫びながらカービンの残弾が切れるまで同じ個体に弾丸を撃ち込む。

 他の奴らよりも大きな銃声と破壊力だ、当然目立つのでもっと目立って彼らを守らなくちゃいけない、俺は馬を急き立てて彼らへと突っ込んでいった。


 群れとすれ違うように馬を走らせ、すれ違いざまに数発群れに適当にぶち込む。殆どは弾かれるが一発、偶然に口の中に入り大きく叫び声をあげて怯む、そこにライフル弾が集中して蜂の巣になる。


「ヘイ、バヨネットはまだ滅びちゃいないぞ!まだ栄光のかけらぐらいは残ってるんだ!」


そう叫びながらさらに馬を飛ばし、関所のゲートを超えたところで飛び降りる。ぐるぐると無様に転がりながら例のとっておきを抜くと膝を立てた状態で構え、一番近い奴にぶち込む。


 大砲と同じような音が周囲に響く。次の瞬間、俺は過多と膝にたたきつけられるような衝撃を受けた。強烈すぎる13mmの弾丸がアメミットの体に直撃し、大穴を開けて反対側のアメミットの足を吹き飛ばす。


「ニトロエキスプレスだ!アーティファクト級の威力を持つ火薬量が多いだけの弾丸を食らいやがれ!」


 続けざまに立ち上がり一発撃つ、一匹の頭に命中しその強靭な下あごを残して頭を消失させる。


 問題はそこからだった、弾を抜き出して死ぬほど高い弾丸を再装填しようとしたところで気が付いた、薬莢が膨張して排出されないのだ。目の前には轟音と威力のおかげでこちらに注意を向けた爬虫類どもが接近してくる。


「あ、死んだな」


 なぜか冷静にそう呟いたところで目の前で大口を開け、今にも喰らいつかんとしているアメミットが地面縫い付けられる……そして信じられないものを見た。


 それはハーフエルフがサーベルと銃剣をつけたマスケットを手にアメミットに踊りかかる光景だった。一斉射撃の後、俺たちに引っかきまわされ半分以下に減った爬虫類どもにその身一つで踊りかかり、サーベルを突き刺し、マスケットの柄で殴りかかり、そして爪を刃で受け流す……ファンタジーがそこにあった。


 そして数十秒の混沌の後に、静けさが帰ってきた。その場に、人型の生物以外の生きる者はいなかった。



戦闘シーンを書きなれていないので今くかけたか不安ですが、楽しんでいただければ幸いです。

なお、.500ニトロエキスプレスの威力ですが過去の経験上、車のエンジンブロックに食い込んで中で止まる程度でした。

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